◆アイヌ王国
総人口 2500万人(百万単位以下四捨五入)
首邑 オタルナイ
元首 アイヌ国国王
首相 なし
国家形態 直接王制
国力比重 20(帝国全体で100)



●特徴
地理
 かつては北ユーラシアや北米に広がる広大な領土を有していたが、近代以降日本列島を構成するモショリ島とチウプカ列島、そしてクイエ島をその領土としている。
 その風土は、亜寒帯地方にある土地柄上、アジア的と言うよりは、北方騎馬民族や欧州的な面が強い。
 モンゴルの支配以前は、原生林に覆われた森の大地だったが、モンゴルの支配、アイヌの王権の確立により開発が進み、15世紀には平野部の森林の大半が農地や放牧地となり、現在では山間部の広大な王立公園の原生林がその名残を残している。
 王立公園内には樹齢1000年を越える杉やブナの巨木がいくつもあり、緑豊かな国として海外からは評価され、またアイヌの自然崇拝の対象ともなっている。
 また、反対に19世紀以後モショリ島の港湾部や平野部は開発が進み、産業国家アイヌの根幹を形成している。

政治
 建国時より続く、8つの王家より選出される国王による直接王制を実施している。世界的に見ても珍しい制度だが、ある種世襲の大統領制度に似ており、各時代においてすぐれた王を幾人も輩出し、建国時より今まで国を発展に導いてきている。
 1789年の革命以後、17世紀後半から衰えて始めていた国王の権限が再び強くなり、現在においても国民の圧倒的支持の元その制度を存続させている。
 貴族や士族に常時徴兵制を布くなど、上位者や官僚に厳しい制度を設けている珍しい法律がいくつも存在するのもその特徴となっている。
 また、清廉で職業意識の極めて強い官僚団は、「アイヌの官吏」として世界的に有名である。
 日本帝国に属していながら、「アイヌ圏」と呼ばれる独自の勢力圏を持ち、日本帝国内において日本皇国と勢力を二分しており、大きな政治問題となっている。
 なお、600年間も実質権力を維持し続けている王権は世界的に見ても稀。


文化
 北方民族系の流れを汲み、またそれを根幹として各地の文化を取り入れ成立した独特の「アイヌ文化」があり、これがアイヌ人や古アイヌ語として一つの形をつくり、「日本人」の中にあって、「アイヌ人」という確固たるアイデンティティーを作り上げている。
 なお、17世紀前後に多数流入した東欧系移民により欧州文化がもたらされ、これを取り入れた事から他のアジア地域とは違った文化を創り出している。
 また、独特の精霊崇拝に近い宗教観を持ち、各地に進出しては当地の土着宗教と同化、文化浸透を行うという珍しい進出を繰り返す事で、自らの文化もその都度変化を遂げ、現在では文字、言語においてはほとんど日本と混合してしまっているが、その特徴的な文化風土はそのままとされ、「日本人」との間に一定の距離を置いている。
 なお、16世紀の自らの東欧侵略により、欧州文化を取り込んでおり、アジアにあって独自の色合いを濃くしている。さらに、域内の人種間での混血が進んでおり、髪や瞳、肌の色でアイヌ人と定義付けするのは難しい。


産業
 もとが軍事国家として成立した経緯から、文明や技術という点における関心が高く、18世紀頃までは、軍事技術を中心に世界最高レベルの科学技術を誇っていた。
 その後、帝国主義時代において西欧列強に追い抜かれたが、19世紀半ばにはそれらの文物を取り入れこれに追いつき、以後順当な発展を遂げ、高度な産業国家の位置を占め続けている。一方、北方にあると言う地理的要因から、農業などの一次産業は、どちらかと言えば輸入に頼りがちでおざなりにされており、外から技術輸入する事でバランスが保たれている。
 また、モショリの炭田やクイエ島のオハ油田などに代表されるように、域内にある程度の鉱産資源はあるが、それでは到底まかないきれないので、日本皇国同様加工貿易国家としての側面が強い。
 ちなみに、世界的な捕鯨国家としても有名である。


歴史
 13世紀のモンゴル人侵略を発端として起こった国家。建国600年に達するが、建国から現在においても8つの王家からなるサンクスアイヌ王家により政が行われている。
 建国後、針鼠軍事国家的色彩を色濃く持っていたが、国力の増大と共に防衛思考が薄れた後は、その軍事力を以てユーラシア、北米大陸、太平洋各地域において大きな進出を行い、強大な貿易帝国を作り上げ覇を唱えた。
 その後17世紀後半には、外敵が存在しないと言う事もあり、国家・民族としての停滞期と安定期を迎え、貿易帝国として繁栄しつつも安寧した時を過ごす。
 このため、西欧の文明進歩に若干の遅れを見せていたが、1789年の宮廷革命を契機に近代化に成功し、以後順当な発展を遂げる。
 日本帝国が発足すると、これに域内の全ての影響圏と共に参加、以後日本帝国構成国の最有力国として現在に至っている。


第二章 日本帝国内のその他の地域