一九五十年五月二十七日早朝 チカプニ市
ここアイヌの聖地に近い街は、今まさに春真っ盛りといったところだ。
今現在この国は表面的な平和と春を謳歌している。
しかし、東京、倫敦(ロンドン)、伯林(ベルリン)の各マスメディアは、中国内戦終決により自分達が完全に戦略的優位に立ったことを華盛頓(ワシントン)に教えるべく行われるヤポンスキー達の大観艦式について報道している。
なんでも今回の季節はずれの大観艦式は、ヤポンスキー達だけでなく我らが海軍や英連邦、アジア各国からも艦隊を派遣している国際観艦式だそうだ。
もちろんここでもその報道を行っている。本当にそうなのだろうか?
我々の向うにいるアメリカンスキーは世界の半分の生産能力を誇ると言うのに……。
しかもメディアはもし戦争が起こっても次の戦場は欧州だと言っている。本当にそうならよいのだが。
しかし、どうしてこんなことになってしまったのだ?
どうして私はこんなところにいるのだ?
第三次世界大戦開戦直前のとあるロシア人の日記より
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