■解説もしくは補修授業「其の拾一」

 さて、ここでのテーマは、開戦以来の戦力を維持したままの聯合艦隊と、反撃力が整いきらないのに反撃に出てしまった連合国とのガチンコ勝負です。
 また、戦争の分水嶺をミッドウェーとするためのステージににもなります。
 史実との関連性はミッドウェーというファクター以外はなく、あえて類似点を探せばアッツ島玉砕になるでしょう。

 一方、私個人のドンブリ勘定では、日本軍が開戦以来絶好調で勝利し続けたとしても、このあたりが日米の戦力が拮抗する最後のラインだと思うのですが、皆様は如何お思いでしょうか。少なくとも、ハワイ攻略やましてや西海岸侵攻なんて考えることもできません。
 また、物量に勝る日本軍という条件が成立する最後の戦闘ステージであり、これをアメリカ軍が技術力によってどこまで対抗できるのかというのももう一つのテーマです。
 つまり、プレ第二次大戦型軍隊と第二次大戦型軍隊の激突を、技術力に劣る日本側に兵力のアドバンテージを与えて対等以上の状況を作り上げたバトルステージという事にもなります。
 そして、この戦場では戦略もへったくれもなく、ただ日米がガチンコバトルをするだけという状況です。戦略レベル的にはそれ以上でもそれ以下でもありません。この戦いが終わった段階を史実に当てはめると、海軍レベルではミッドウェー沖海戦とガ島攻防戦で日本が押し切られた頃で、それ以外の戦況は山本長官が戦死したぐらいという事になるでしょう。

 つまり、開戦以来日本が可能な限り有利に戦場で勝利を積み重ねたとしても、主力艦艇以外の戦力差から最大で半年から一年の時間を遅らせるのが当時の日本の国力の限界と算定しました。この時点でピークを過ぎた日本の戦力は、停滞を迎えるばかりか消耗によって一方的に降下線に入ります。一九三七年から総力戦しているんだから、当然の帰結です。
 反対にアメリカを主力とする連合国の圧力は一気に膨れあがります。そして、半年という時間も最低この半分、三ヶ月程度は縮めてくるであろうと言う結論が出てきてしまいます。
 そして、それまで何とかポートモレスビーで連合国側の攻撃を防いでいたニューギニアにて、マッカーサー将軍の復讐戦が開始されます。

 なお、日本側の空母を呆気なく沈めたのは、日本空母の不幸をお約束的な母艦群に背負ってもらうためと、ここで日本側に多少なりともダメージコントロールの考えを持ってもらうためです。ダメコンの点は、史実のミッドウェーでの戦訓をようやく得るためです。でないと、史実後半でのねばり強さは発揮できませんからね。

 あ、そうそうここで、栗田提督に負傷という形で前線から引いていただいたのは、架空戦記界の「お約束」ですのでご理解あれ。
 ただ、お話の中だけとは言え、様々な意味で抹殺するのは趣味じゃないので、負傷という形にしてみました。

■フェイズ十二「米軍の反抗と絶対国防圏」