■解説もしくは補修授業「其の拾弐」

 史実でのブーゲンビル島沖航空戦を中心にしたソロモン、東部ニューギニアでの戦闘がここでのテーマです。要するに、航空撃滅戦での日本の負け戦ですね。
 また、日本の絶対国防圏設定がもう一つのテーマになります。
 ここでは、それまで勝利に浮かれていた日本全体にミッドウェー、ポートモレスビー陥落という見た目にも分かりやすい冷や水を浴びせかける事で多少は現実を見据えさせ、史実よりも多少まともな絶対国防圏を建設すべく日本軍に奮闘してもらうという流れになっています。
 日本軍だとあり得ない行動ではあるのですが、これぐらいしとかないと後が大変ですからね。
 また、ポートモレスビー陥落からマッカーサー将軍の怒濤の反撃が始まりますので、それまで前線でいっぱいいっぱいに戦っていた日本軍は、泥縄式の増援を行う間もなくこの地域を手もなく明け渡してしまいます。おかげで、史実で行われた悲劇的な増援作戦と戦闘が、日本側の後手後手の対応によって回避されるか小規模なものへと変化しています。
 当然、船舶、艦艇、兵員の損害は低くなり、その分が内南洋の防衛力強化に横滑りしていきます。
 もっとも、書きはしませんでしたが、ダンピールの悲劇に類似した戦闘は一度や二度必ず発生しているでしょう。

 そして、絶対国防圏の設定(時期はほぼ同じ)にともない、ソロモン方面から戦闘力をそのまま残した兵力の暫時引き上げを実行して内南洋に再配置してもらい、連合国に日本への道のりがいかに高い代償を必要かと言うことを分からせ、多少は自力で講和の道のりを作りやすくしようという意図があります。
 もっとも、南方での戦死者の数は膨大ですので、仮にここでの戦死者が半減したとしても、この想定でも東部ニューギニア・ソロモン戦域では、最低五万人近い将兵が不本意な末路を辿る事になるでしょう。こればかりはどうにもならないかと思います。
 すでにここで戦っている事が、当時の日本の国力の限界を超えていますからね。

 最初から絶対国防圏を設定して、聯合艦隊の全部を通商破壊と海上護衛に投入して、それでも兵力が余っていたらインドにでも振り向けてイギリス虐めをして来るべきアメリカ軍との決戦を迎える方がずっとよいのは自明の理ですが、誰かこういうプロットで一本書いてくれないものでしょうか。

■フェイズ十三「東部戦線」