■解説もしくは補修授業「其の弐拾壱」

 「死戦」。ここまで来ると実にこの言葉が相応しくなってきますね。
 状態としては、史実の沖縄戦が二度目のマリアナの戦いで行われるというのがテーマになります。
 戦力的には、日本の航空戦力が史実の一・五〜二倍ぐらい、海軍は何とか組織的作戦可能で、アメリカ軍(連合国軍)が主に海上機動戦力の面で七〜八割程度しかないという事になります。また、マリアナ各地で待ちかまえる日本陸軍は、増援が積み重なった結果史実の数倍の規模で、質の面では沖縄戦よりも充実しています。
 まあ、ここでは次の戦いで使われる戦力の数字を中心にあげていったので、基本的にそれ以上語ることはないですね。

 また、日本の海上交通線はまだ途絶していませんし、連合国軍の日本本土爆撃も低調なので、日本のこの時期の生産力はまだ史実の四四年冬頃のレベルで維持されています。史実のこの辺りで開発の止まったり生産の停滞していた兵器が少し早く登場できる下地がある程度揃っています。
 このためいくつかの軍艦が就役しており、新兵器のいくつかが前線に姿を見せるようになっています。
 とは言っても、戦争をひっくり返すような「すーぱーうぇぽん」はほとんど登場しません。史実よりもドイツとの連絡潜水艦が行き来している可能性は少しばかり高くなりますが、どのみち日本にドイツの最先端の兵器をそのままコピーして量産する技術なんてありません。だから、新兵器が登場しても和製バズーカ(ロタ砲)やタ弾が関の山でしょう。ジェット戦闘機(爆撃機)の量産など思いもよりません。これを日本で沢山飛ばすには、最低でも日支事変頃からの時間犯罪が最低必要になるでしょう。
 戦前の日本の基礎工業力では、ドイツ軍の兵器をごく少数なら「生産」できても「量産」は不可能に近いんですよね。冶金技術からして一部を除いて大きく遅れています。産業状態を調べていると、あと五年か十年あれば話しもだいぶ違ったものになるのではと思わずにおられません。
 と言うわけで、結局日本は特攻作戦を行わざるを得なくなるだろうと判断しました。
 もちろん、期間の問題から規模は史実よりも小さなものでしょう。ですが、抵抗力のある時期に本土が叩かれているので、史実のフィリピン戦と沖縄戦の中間ぐらいの規模にまで膨れあがり、対策のとれない連合国軍に大きなダメージを与えることと思われます(ただし、史実のように練習機を投入するほどではない筈です)。
 全般的な状態としては、航空戦力が一旦壊滅し海上戦力が半減したレイテ戦当時というところでしょうか。だから日本軍は、まだ何とかがんばれるんですね。

 それにしても、この段階でも自力で戦争の幕を引く事のできない日本政府・軍部って変えることできないんでしょうかねぇ・・・。
 結局私は何も思いつきませんでした。この件に関してはお手上げです。

■フェイズ二二「地獄の島」