■解説もしくは補修授業「其の弐拾弐」

 要するに、サイパン島で日本側に多少(かなり)分のよい沖縄決戦をやっちまおうと言う事です。
 だから、アメリカ軍の編成の基本は、作戦名と同様に沖縄戦で登場した未曾有の大艦隊と侵攻部隊になっていて、日本側の作戦名称も作戦の大筋も沖縄戦に対するオマージュになっています。だから日本軍側の空襲の主力としてカミカゼ・ストライクが入ってます。
 またこれ以外の要素として、日本側の地上兵力は、ソロモンで消耗しなかった分とサイパンにいた戦力が中心になって、これに沖縄戦で活躍した砲兵部隊と司令部組織を持ち込んでいます。この点が沖縄戦と違っており、対するアメリカ側はこれまでの負の財産(負け戦)によってかなり目減りしています。
 特に戦艦や高速空母などの補充の難しい大型艦艇は、数の上でも史実の沖縄戦での七割程度に過ぎず(重巡に至っては目も当てられないぐらい少ない)、しかも日本側の抵抗力が高いので、空襲による大和撃沈劇は発生していません。
 そしてこの上に、これまた史実の大和特攻のオマージュの拡大版となる大和級戦艦複数による殴り込みと、史実で第三十二軍が企図していた反撃作戦を実施させてみました。
 そして、日本艦隊が簡単にサイパンまで到達出来るように、お約束のカミカゼ(台風)を配置してみました。ですが、この時期の日本側の気象情報がまともに見つからないので、B29の本土爆撃スケジュールを見て、この時期にサイパンあたりの気象が悪かったのかと考え、勝手に設定しました。この台風はフィクションの可能性が高いと思います。
 昭和20年9月中頃に沖縄戦でもあれば、観測史上屈指の規模を誇る枕崎台風で米艦隊を壊滅できるんですけどね。アメ公は荒い海が唯一の弱点ですから(苦笑)

 ただ、ここまでしても、やっぱりアメリカ軍をサイパン島から叩き出すのは難しいなぁ・・・というのが結論でした。日本海軍の突っ込みが足りないなどと思う方もいるでしょうが、闇雲に戦っている日本側の状態を考えると、これでも某宇宙戦艦並にやりすぎだと思います、ハイ。

 なお、日米の戦争に間に合わなかった兵器が前倒しで少し登場してきていますが、出ていているという程度以上のものではなく、サービス程度の気持ちしかありません。
 そしてこれが実現できるのは、劇中でも少し触れたように、まだ戦線がフィリピン、マリアナ諸島で押しとどめれれていて、日本本土の人間の危機感が低く、日本国内での根こそぎ動員が開始されていなかったからです。生産や根こそぎ動員については史実の半年から一年遅れで推移しており、史実で動員された一二〇番台以降の師団の過半は編成される事なくカーテンコールを迎えるでしょう。

 また、日本海軍の状態が良好なのは、様々な理由で日本の工業力がまだ何とか維持されているからで、頭数の少ないレイテ戦という程度のレベルで送り届けてみました。
 もちろん、質は多少(かなりかも)高めに設定していますし、攻撃力も当社比一二〇%でお送りしています。
 でないと、架空戦記らしい「まともな戦闘」ができませんからね(苦笑)
 
 まあ、もうここまで来ると趣味以上のものではなく、多くを語る事もないでしょう。
 真面目に語りだしたら、寂しいデータや話題しか出てきませんからねぇ・・・

■フェイズ二三
 「ファイナル・カウントダウン」