◆地球歴2207年時点の、銀河系内の各国概況2
◆滅亡もしくは崩壊間際の星間国家
●デザリアム帝国（暗黒星団帝国）： ・概況： 銀河系東部辺境より40万光年の距離にある黒色銀河系を挟んださらに向こう側にある白色銀河系に本拠を持っていた。また、現存するいかなる主要国家よりも高い技術レベルを持つ文明を有していた高度文明国。 母星系にガス雲型ダイソン球殻を施して膨大なエネルギーを得ていたり、自分たち身体のほとんどをサイボーグ化するなど、物質面での科学技術文明の局地にあったと言える。あまりに科学が進んでいた彼らは、自らの母星すら機械の星にしていたほどだ。 ただし、科学の発達により生命の種として衰退期に急速にさしかかってしまい、自らの種の存続のために必要な有機体収集のため広く星間戦争を繰り返すようになる。そして必然的に、大規模戦争継続のための資源争奪にも躍起になった。物質文明の最も醜悪な形での発展系と言えるだろう。 地球歴22世紀までまでは、自らの白色銀河系、黒色銀河系内で戦争を繰り返していたが、彼らの長距離探査船団の報告により銀河系、大小マゼラン星雲内の有望な資源を得るため、各地へを遠征軍を派遣。極めて短期間で、さらに戦乱を広げた。それだけ種の滅亡が迫っていた証拠だと言える。 しかし地球連邦との戦いにより、偶然と必然から母星を含む白色銀河系、黒色銀河系の全てが崩壊したため痕跡も残さず滅亡してしまった。ごく限られた残存戦力が両銀河系辺境やそれ以外の場所で残ると考えられているが、種としての生殖能力を失っているため、本当の死滅も時間の問題である。 なお、本来銀河系の人類群にとっては未知の文明であり国家だったのだが、同国と地球の戦争の末期、地球で押収された多数の技術資料によりその実体の一部が明らかとなった。また、戦乱の経緯と戦場跡の遺物収集から、地球連邦が技術面での継承者ともなっている。
・主な決戦兵器： 無限α砲 無限β砲 ハイペロン爆弾（重核子爆弾） 自動惑星（自動要塞）
「無限α砲」は一般的な低威力型の「波動砲」である。しかし、搭載艦は自らを強固なシールドで覆っており、また波動融合反応が発生する自銀河系での使用は極力控えるようにとされていた。主に専用の砲艦（狙撃戦艦）と制圧自動惑星と呼ばれる機動要塞に搭載される。 「無限β砲」は無限α砲の改良拡大型で、弾道並びに破壊空間ごとシールドで覆う事で、自銀河系での使用を可能とした究極の破壊兵器である。弾道を破壊対象ごとエネルギーシールドで覆う事から、相乗効果による破壊効果も高い。ただし、シールドに多くのエネルギーを使用するため、装置は大型化し発射にも多くのプロセスを必要とした。 「ハイペロン爆弾」は、設定された特殊な電波で「脳波」を止めてしまう特殊なエネルギーを放射する爆弾である。地球との戦争時は、地球人類の脳に対してのみ致命的ダメージを与えるよう設定されていた。現物が地球連邦に捕獲されているが、いまだ技術解析の段階にある。 「制圧自動惑星」は、強固な装甲と超重力シールド、エネルギーシールドで覆われた高機動要塞である。要塞というより超大型戦艦に近い機能を持ち、これだけで数個艦隊分の戦力を持つ。主に拠点制圧や拠点防衛に用いられており、主装備として「無限α砲」複数を搭載している。 主に白色銀河外での侵略戦争に使用されたが、地球との戦いで保有する全ての自動要塞を一度に失い、主な装備と外観以上の詳細は判っていない。
・主動力機関（波動機関の特徴）： 「無限機関」と呼ばれる特殊な閉鎖型波動機関を使用する。 デザリアム帝国の存在した白色銀河系、黒色銀河系では、波動機関がタキオン粒子を多数集めると、この銀河でのみ存在する金属元素が波動融合反応を起こして大きな次元爆発現象を起こす性質を持っていた。このため長らくタキオン粒子型機関は広く製造されなかった（できなかった）。このため長らく同銀河系の文明は、反物質利用と超重力利用によるワープと技術体系を発達させていた。超重力シールド技術が発達しているのも、技術発展の経緯があったためだ。 だが、従来の超重力利用によるシールド技術の大幅な向上と応用によりタキオン粒子を限定空間内に密封し、さらにシールド内で触媒をタキオン粒子と反応させる技術を確立する事で、ほぼ同じ能力を得ることに成功している。 これはさらに、触媒とする放射性物質を粒子加速させる事で通常の波動機関より大きなエネルギーを得ることにもつながる。この特殊な機関は、粒子加速のために円形の装置を必要としていることから、「無限機関」と呼ばれるようになった。波動砲を「無限砲」と呼ぶのもこのためだ。 また、粒子加速装置の構造的特性から、必然的にデザリアムの艦艇は円形、円盤形になりがちとなる。 タキオン粒子のみが可能なワープについてのみ、他の波動機関と同じ特性を利用している。 なお、彼らの銀河系にのみ存在する一部の重金属元素は、原子振動数の関係のため波動砲のタキオン粒子と過剰に反応し亜空間的崩壊をもたらす性質を持っている。爆発エネルギー利用できれば大きな力となったが、デザリアムの優れた科学力をもってしても実用化できなかった。
●ディンギル帝国： ・概況： 現ディンギル人は、地球歴で6000年に地球に訪れた元ディンギル人が助けた地球人類を祖としている。回収された残骸から、古代メソポタミア文明の一部が、ノアの箱船の神話の頃に渡ったものと推察されている。 国家そのものは単一星系による星系国家だったが、他星間文明並びに星間国家の存在は知らなかったものと考えられている。地球の存在を知っていたのは、彼らの古い記録に残っていたため。 技術的にも閉鎖的で、23世紀までの地球人より高い文明発展速度にあったが、タキオンを利用する術をほとんど知らず、宇宙一般技術レベルには及んでいなかった。地球連邦との戦闘を互角以上に運べたのも、自分たち以外の敵を知らなかった彼らの蛮勇と特殊な技術体系、加えて奇襲攻撃という要素が大きかったからだと分析されている。事実、彼らの用いるガトリング型フェザー砲と地球側の一般的なショック・カノンの威力には大きな差が存在している。同じフェザー砲でも威力は断然小さい。 地球への侵略を始めるまで、比較的平穏に過ごしていたと見られるが、回遊惑星アクエリアスの突然の移動による影響で母星を失う。その後、種の存続をかけて「祖国」への強引な回帰をはかろうとするが、地球連邦との戦いに敗れて脱出艦隊も全滅し、国家としてばかりか文明、種族としてもほぼ滅亡した。母星系の母星以外の一部に残存戦力並びに残留組があると思われるが、特殊な社会性のため残存する女性人口が極端に少ないと思われるため、種族としての本当の死滅も時間の問題であると考えられている。 なお、西暦2209年を目標に、地球連邦による旧ディンギル星系に対する、十分な軍事力を伴った大規模な調査が実施される予定されている。これは同星系が本来安定した太陽系であり、地球からの距離も程良く、さらに移動と改造により新たにテラフォーミング可能な岩石惑星が確認されているためだ。
・主な決戦兵器： ハイパー放射ミサイル ニュートロンビーム
「ハイパー放射ミサイル」は、一般ディンギル軍の唯一にして最大の決戦兵器である。弾頭部に備えられた使い捨て型融合炉が一種の核融合反応により数億度に灼熱化して相手防御を突破。その時破壊と同時に多量の悪性の高濃度放射能を散布して、敵に致命的な人的損害を与える。 ただし、放射能に対して高い耐性を持つガミラス艦艇並びにガミラス人には無力で、最後の戦闘では一方的な戦闘を行う事になった。 「ニュートロンビーム（中性子粒子砲）」は、機動要塞ウルクに搭載が確認された防御兵器で、反物質と膨大な量の三重水素を利用した効率の悪い中性子ビーム砲である。技術としてはタキオン兵器の一段階前のもので、多量のタキオン粒子の散布によって回避できる事が判明している。
・主動力機関（波動機関ではない）： 三重水素を利用した融合炉を使用している。 ワープには、粒子加速器によって得られたごく微量の反水素（反物質）を利用した初期型の超光速量子遷移技術を利用していたと考えられている。詳細については、今のところ地球連邦にてデブリなどから調査中が勧められている段階を越えていない。 銀河で一般的なタキオン型波動機関は、利用どころか開発も本格的な理論的発見もされておらず、辛うじて重力制御技術だけが利用されていた。技術的には閉鎖的で遅れている事がよく分かる例と言えよう。
●イスカンダル王国： ・概況： 大マゼラン星雲のサンザー太陽系にある、単一星による星系国家である。 数千年の昔には、高い技術文明を有し各地に進出もしていた一大星間国家だったが、技術におごったためその後大きく衰退した。今も最盛期の高い技術は保存されているが、生産施設を扱う技術者がいないため、高度技術の産物を作り出す術を失っている。 しかし、ガミラスを始めマゼラン星雲各地に高度文明を伝えたのはこの国である。波動機関や波動理論の伝道者と言って間違いないだろう。そればかりか、銀河一般の人型生命体の基本的な形も、ＤＮＡレベルでイスカンダル人が元になっていると言われている。 しかし、母星以上に種としての衰退に直面しており、地球歴２２世紀末の時点で長命なイスカンダル王族以外にイスカンダル人の生き残りはいなくなってる。今現在では、純粋なイスカンダル人は女王ただ一人となっている。ほかの居住者もごく小数で、事実上滅亡した文明と言える。 現在は、ガルマン・ガミラス帝国の強い庇護の元にあり、同空間にガミラス星が存在していた事も重なって、ガルマン帝国の特別保護区といえる状態にある。かつてガミラス帝国と戦っていた国々もこれを認めており、文明の墓標と呼ばれるようになりつつある。 ちなみにイスカンダル人は、幼少期の成長が非常に早く1年程度で成人（15才程度）する。また成人後は極めて長命で、基本的に年老いることがない。これは高度文明を有している間に、ＤＮＡを生殖遺伝できるレベルにまで改良した結果である。また、王族には強いテレパシー能力がると言われ、これが地球（ヤマト）の危機を幾度か救ったと言われている。 なお、地球のごくごく一部で、イスカンダル星への移住を行った者がいるという例があると噂されるが詳細は不明である。
・主な決戦兵器： なし
イスカンダル星は武力を放棄しているため、兵器・武器そのものを保有していない。倉庫の奥深くにその名残が存在するが、どれも稼働状態には置かれていない。また、武器が他国に供与された例もここ数百年存在していない。
・主動力機関（波動機関の特徴）： イスカンダル式波動機関は、タキオンの集束並びに圧縮に特化した機関で、機関エネルギーの充填に時間がかかるが、超長距離航行に威力を発揮する。また放射性物質を使用しないためか、小型化技術も優れている。 その他の先端技術も含めて、技術のほとんど全ては、地球連邦に無償譲渡されている。
●テレザート： ・概況 地球から約6000光年先に存在した単一型星系国家。 ガトランティス帝国の脅威を銀河系に伝えた人物を擁する文明国だったが、白色彗星到来よりも前に国内戦争上でのＭＡＤ（相互確証破壊）により国家、種族、文明の全てが事実上滅亡してしまう。 その後もごく僅かに生存者がいたとされるが、公式上ではガトランティス帝国の進撃途上に惑星ごと破壊され、完全に滅亡している。 なお、ガトランティス帝国の地球侵攻に際して、地球連邦は多大な恩恵と援助を受けたと公式記録にも残されている。このため、テレザート文明の遺産の収集が地球連邦の手により進められている。またテレザート星系は安定した太陽系のため、同星系内の岩石惑星を移動、改造するテラフォーミング計画が、地球連邦の手により進められている。
・主な決戦兵器： ・主動力機関（波動機関の特徴）： 共に不明。 しかしＭＡＤ（相互確証破壊）では、反物質を広範に利用したとも、超自然的な精神エネルギーを用いたとも言われる。
●シャルバート王国： ・概況： ボラーやガルマンが隆盛するよりさらに昔、かつて銀河系に覇をとなえた一大星間国家。国家自体は、星間国家としても数万年の歴史を持つと言われる。かつての銀河統一国家だったと言っても間違いない。 今では自らの手で強力な武力と高度文明の全てを封じ、自ら居住する星も空間ごと他から隔離している事が未確認ながら判明している。 ただし今存在、シャルバートの存在はは伝説上でしかなく、銀河系に広く分布する「マザー・シャルバート」を神聖視するシャルバート信仰がその名残となっている。 なお、地球連邦の一部などが近年短期間の接触に成功したと言われており、太陽異常増進をくい止めたのもシャルバートの技術であったと噂されている。ただし、全ての事は公式記録には残されておらず、地球連邦やガルマン帝国政府の最高機密の向こう側にしか真実は存在していない。
・主な決戦兵器： ・主動力機関（波動機関の特徴）： 不明、もしっくは共になし。
武力並びに機械文明の多くを放棄しているため、高度技術、兵器・武器は全て封印されていると伝えられる。しかし、保有している技術レベルの高さは、デザリアム帝国をも大きく上回ると考えられている。
●アクエリアス王国： ・概況： はるか昔に存在した星間国家。 亜光速で移動する氷惑星（水惑星）を本拠としていたと考えられているが、今は惑星上の遺跡に名残を残すのみ。 母星のアクエリアス星は、6000年周期で太陽系とディンギル星系を亜光速で回遊する極めて特殊な惑星である。自らの星内部にある三重水素の反応により内側から暖められており、水分が水のまま存在し続けている。 かつて地球に生命の源をもたらし、一方で古代文明を破壊する自然災害ももたらしたとされる。またディンギル星系を破壊したのも、この星に存在する膨大な量の三重水素による反応が原因である。 今現在は、太陽系から1光年の位置にあり、地球連邦による本格的調査と資源開発が行われている。また、地球軌道付近にとどまるアクエリアス災害の名残である水衛星から資源採掘と平行して、同衛星に水没した「ヤマト」のサルベージ作業が進行中である。
・主な決戦兵器： ・主動力機関（波動機関の特徴）： 共になし