特集:VSエコワット3兄弟




さて、我が家にも7台ほど積算電力量計などがあり、各箇所ごとに毎日どれだけ電気を使用しているかを測定・ 記録しております。 その積算電力量計の中で誰にでも手に入る簡易型積算電力量計のエコワットが3台あるのですが、同じ家電製品を測定するのであれば目安 として十分な能力があるのですが、どうも精度があまりよくないものがあるので、調査してみることにしました。
エコワットは今のところ3世代目まであり、それぞれの世代のエコワットを用意し調査してみました。 ・・・さて結果はいかに?!

我が家の積算電力量計
便利な省エネナビ
写真は別のページで紹介しました省エネナビです。 かなりの優れもので、これを取り付けると、今日・今週・今月・今年消費電力量や表示切替でCO2発生量、電気料金、温度が測定・表示できるようになっている。 更に各スパンの予想消費電力量やそれに基づいた省エネ率なども表示できます。
詳しくは省エネナビ特集ページへ
アナログ積算電力量計
写真は家の中にある積算電力量計で、リビング全体と冷蔵庫に接続して毎日メーターの記録をいております。
エコワット3兄弟
写真は私の持っているエコワットで、左から旧型、新型、最新型で、1代目、2代目、3代目といったところです。
旧型:T3T-R
新型:T3T-R1
最新型:T3T-R2
エコワットの説明書には・・
このエコワットの説明書には色々と細かな字で取り扱いや誤差などの製品仕様の表示がなされています。
それによれば・・・
最大負荷:15A
誤差:±10%
測定可能範囲:最小5W
力率:100%に固定で計算
波形が歪んでいる場合は正確に測定できない・・・
と書かれております。
基準となるワットチェッカー
写真で青い旧型エコワットが突き刺さっている大き目の測定器が我が家にあるデジタルで積算電力量計で一番正確なワットチェッカーというもので、1W単位の消費電力や積算電力量(Wh)・電流(A)・電圧(V)・皮相電力(VA)・電力(W)・周波数(Hz)・力率(%)・積算時間を測定、表示されます。
残念ながら、1W以下の微小な待機電力は測定できませんが、誤差1%で十分正確なデータを取ることができます。
このワットチェッカーを基準にそれぞれのエコワットを検証してみたいと思います。
あと、測定した負荷の力率によって測定データのばらつきがあるようですので、データレコーダでCT電流センサーを使い、電流・電圧波形の測定と解析も行うことにしました。

実験開始
我が家にある家電製品で調査開始!
写真のように負荷となる家電製品に直列に接続したワットチェッカーとエコワット3兄弟、これで色々な家電製品で調べてみることにしました。
 
 

 

調査結果が出ました〜!!
色々な家電製品につないで傾向が見え出しました。
全ての家電について調べるにはまだ時間はかかりそうですが、結果を発表したいと思います。



結果発表〜♪
各種機器別の測定結果
2008年9月に各家電製品に対して消費電力量をそれぞれのエコワットと基準機としたワットチェッカーで測定してみた。
消費電力・力率についてはワットチェッカーの値を記録した。
  - ノートPC 掃除機 エコ給湯器 食洗機 IH圧力炊飯器 平均誤差
使用時間
5時間0分
7分
3時間0分
30分
42分
-
ワットチェッカー
(kWh)
0.19 0.08 0.91 0.50 0.17 -
エコワット
旧型:T3T-R
(kWh)
0.21 0.08 0.86 0.47 0.16 -0.2%
エコワット
新型:T3T-R1
(kWh)
0.86 0.11 1.14 0.51 0.20 85.4%
エコワット
最新:T3T-R2
(kWh)
0.17 0.09 1.01 0.50 0.17 3.0%







力率(%) 59 60-98 80 99 99 -
消費電力
(W)
35 1042 230 1035 958 -







標準偏差 0.34 0.01 0.12 0.02 0.02 -
補足:力率というのは簡単に言えば家庭用電源AC100Vの電流波形が正弦波なら100%、歪んでいると100%以下ということで効率が悪いということです。

力率悪化で誤差が増える傾向に
これは、それぞれの取扱説明書にも書かれているのですが、力率はある程度考えて測定はしているが正確ではないという結果がそのまま出たことになります。エコワットの誤差±10%というのは間違ってはいないようでした。 力率が悪化するほど標準偏差が大きくなりばらつきが大きいということです

新型のT3T-R1注意が必要!
ある程度、問題の無い範囲で旧型と最新型は測定できることがわかりましたが、新型の2代目のT3T-R1は問題があります。 特に力率の悪い機器については表記されている誤差範囲を大きく超え、過大に表示されます。
今、入手できる最新型は問題ないことがわかりました。

旧型と最新型は問題なし..でも何故?
旧型のT3T-R、最新型のT3T-R2は問題なく使用できますので良いのですが、新型の2代目T3T-R1は何故おかしな値が出るのでしょう?・・少し調べてみることにしました。

T3T−R1は何故おかしな値が出るのか?
T3T−R1
T3T−R1は何が違う?
異常な値を示すT3T-R1と最新型のT3T-R2の外見がほとんど同じなのですが少しだけ違いがあります。
それは、メス側のコンセント挿入口が白(T3T-R2)か黒(T3T-R1)かです。 あとは、背面のラベルにT3T-Rxと表記されているので見分けがつきます。
しかし中身は分解して調べない限りわからいと思いますが、表示される数値や入力される電流・電圧波形から推測することが可能です
ノートPCの電流波形
力率が悪い(小さい)と過大表示される
力率が悪いと過大に表示されるということはどういうときに起こるだろうと考えた時、電子回路の専門家ならすぐに判るのですが、説明いたします。
それは、電力測定ということは交流の場合・・・
電力=電流×電圧×力率
なのですが、電流波形を絶対値とし平滑化(平均化)すると電力≒電流×電圧×α
となり、簡単な回路だとあまり正確ではないのですが電力の測定が可能となります。(実効値演算が必要)
私の推測ですが、旧型T3T-Rと最新型T3T-R2はこの方式を採用してると思います。
左の実測波形でイメージしてみてください、今回実験で4倍以上の値が出たノートPCの波形で、赤線が電流値です。
ノートPCの電流波形
新型T3T-R1は回路が違う!
それに対して、新型T3T-R1は、電流波形を平滑化するのですが、回路が少し違い、電流波形を絶対値化してその最大値をもって平均値とする、ピークホールド回路というのを使用していることが容易に推測できます。
やはり4倍以上高い値になります。
説明書の力率1で固定と書いているのは悪い意味で間違いではないようです^^;

左の実測波形でイメージしてみてください、今回実験で4倍以上の値が出たノートPCの波形で、赤線が電流値です。

ノートPCの電流スペクトルです。
高調波だらけです・・^^;

自作エコ給湯器の電流波形です
これで力率は80%です
製造元に聞いてみました
このエコワットシリーズを製造販売している大阪の会社にメールで質問したのですが返事が帰ってこないので、電話で9月半ばに質問してみました。
:新型T3T-R1だけおかしな値が出るのですが?

:エコワットの値は正確ではないので目安としてご利用ください・・・。

話にならないので、技術的な内容が説明できる人に代わってもらいました。

:新型T3T-R1だけおかしな値が出るのですが?もしかすると、これだけ平滑化回路がピークホールドを採用していませんか?

おっしゃる通りで平滑化回路がそうなっており、T3T-R1を発売して異常な値が出ると多方面から質問がありT3T-R2で旧エコワットのT3T-Rの方式に戻しました。

:新型T3T-R1は説明書にある誤差±10%を大きく乖離した値が出るので、最新型のT3T-R2に交換していただけませんか?表記ミスや誤差の範囲ではないですよね?

:申し訳ございませんができません・・。
目安としてお使いいただけるのでそのままお使いください。


話がかみ合わないので国民生活センターにでも連絡でもしようかと思いました(笑)

T3T−R1
T3T-R1にご注意を!
このコンセント差込口が黒いT3T-R1のエコワットは力率の悪い物をつなぐと実際より大きく測定し、表示されます。 しかし、メーカーが申しますように、単一機器を測定して電力消費の推移を知るのには十分な効果があると思われます。
ワットチェッカーとエコワットの精度
予断ですがこの一連の実験から内部で使われている量子化の分解能が推測できます。
エコワットは8bit程度で電圧AC100V固定、ワットチェッカーは電圧・電流波形も測定し分解能は10bit程であることが最低・最高測定電力と実験で得られた精度からですがわかり、量産品とはいえ両者ともかなり工夫されて良い商品になっていると思います。
もし、ある程度正確な測定をするなら、最新型のエコワット、倍以上の価格はしますが正確なワットチェッカーをお勧めいたします。
皆さんもひとついかがですか?

電気代やCO2排出量測定にエコワット

ひとランク上の測定には ワットチェッカーがおすすめ


お役立ち情報源や商品紹介 



2008.9.5〜(第一弾完了)
最終更新:2008年9月25日
つづく・・


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