ここでとりあげる曲は、ハイグレードなアンプとスピーカーから流れてくる音楽を、
ふかふかのソファーに腰を据えてワイン片手に聞く、という類のものではありません。
いやできたらそうしたいのはやまやまですが、経済的かつ空間的ゆとりのない身にとっては
車の中が最高のリスニングエリアということになりますので、コンセプトとしてはカーステレオ
で聞くお気に入りの一曲!ということになります。

平成二十九年 10月の”お気に入りの一曲!”
ワーグナー作曲
楽劇「神々の黄昏」
  飯守泰次郎指揮

新国立劇場の「リンク」の最後。ここではハーゲンが主役のような感じで歌唱もすばらしかった。
今回一番の楽しみはブリュンヒルデを説得に来るワルトラウテ役にヴァルトラウト マイヤーが
登場すること。ワーグナー作品ではクンドリ役などでもっとも印象に残っている歌手。その名歌手
が目の前で歌っていただけるだけで感激。CDでも聞いたことのある独特の息をしゅっと吐く声も
聞こえて満足した。ストーリー的にはジークフリートがあまりにも簡単にやられてしまうので好きでは
ないが、ジークフリートの葬送の行進のところは胸を打った。

平成二十九年 9月の”お気に入りの一曲!”
ワーグナー作曲
楽劇「神々の黄昏」
  カラヤン指揮

ゆったりとしたテンポで音楽全てを聞かせるという演奏。細かいところまで綿密に計算され、
丁寧な響きで心を震わせる。これがフルトベングラーとかになると勢いというか悪く言えば
やっつけみたいな感じ、よくいえばエモーショナルな演奏ということになって、カラヤンとは
対照的になる。スタジオ録音のせいか歌唱と演奏が同じレベル。ベルリンフィルの響きを
聞かせようという狙いか。

平成二十九年 8月の”お気に入りの一曲!”
モーツアルト作曲
オペラ「魔笛」
  ベーム指揮

夜の女王のアリアをはじめ、パパゲーノやパミーナの歌など聞きどころ満載のオペラ。しかし
そのストーリー展開はいまいちわかりずらい。たぶんフリーメイソンの教義などがそこの込められて
いるせいなのだろうが、男尊女卑的なところが気になる。その割にはアリアは女性陣のほうが
素晴らしい歌が多く、モーツアルトはそんなことはおかまいなしに作ったのだろう。ディースカウの
パパゲーノがちょっと知性的ではあるがとてもよかった。

平成二十九年 7月の”お気に入りの一曲!”
西岡たかし作曲
「まるで洪水のように」
  五つの赤い風船
オペラを見に東京へ行った折、ちょっとのぞいた中古CD店で思わず風船のCDを購入してしまった。
あまり過去を振り返るような音楽CDは買わないのだが、旅先の高揚感みたいなもので、手にしたが
帰って聞いたら懐かしさと共に、今こそこの曲をよみがえらせなければと思ったのがこの曲。この曲
のこめられたメッセージは現代の時代状況にぴったりあてはまる。中学生の合唱コンクールの課題曲
としてほしいくらいだ。すくなくともAKBみたいな時代におもねる音楽よりずっと若い学生のためになる。

平成二十九年 6月の”お気に入りの一曲!”
ワーグナー作曲
楽劇「ジークフリート」
  飯守泰次郎指揮

新国立劇場での公演を鑑賞した。やはりさすがライブの良さに感動。ジークフリートのグールドは
この役が適役。ブリュンヒルデ役も声量があって少しも引けを取らない。森の小鳥の演出には驚いた。
よくあの態勢(木にしがみつくような)で歌えるものだ。ミーメ役もよかったし、さすらい人も貫禄があった。
いよいよ東京リングも「神々」を残すだけ。
平成二十九年 5月の”お気に入りの一曲!”
ワーグナー作曲
楽劇「ジークフリート」
  フルトベングラー指揮

3幕目の前奏曲の力強さが何度聞いても気持ちいい。3幕目に関してはこの演奏が好きだ。ちなみに
1幕目はヤノフスキ盤、2幕目はショルティ盤ということにしておこう。この演奏でちょっとひっかかるのは
ズートハウスがジークフリート役というところか。上手い歌手でフラグスタートとの「トリスタン」なんかは
最高だが、ジークフリート役は若さという感じが必要だが、そのへんが。ズートハウスは「リング」では
クナッパーツブッシュ盤のローゲ役がよかったと思う。

平成二十九年 4月の”お気に入りの一曲!”
ワーグナー作曲
楽劇「ジークフリート」
  ヤノフスキ指揮

大変美しい演奏ではあるが、いささかきれいにまとまり過ぎという気もする。ただここのミーメは
ペーターシュライアーが歌って、堂々とした感じで好感が持てた。

平成二十九年 3月の”お気に入りの一曲!”
ワーグナー作曲
楽劇「ジークフリート」
  ショルティ指揮
6月に「ジークフリート」を鑑賞するのでその予習。まず「リング」の定番ショルティ盤。完璧な演奏
をする指揮者だけに安心して聞けるが、この楽劇で一方の主役ともいうべきミーメの歌唱が気になった。
この年代のミーメはこういう歌い方なんだろうが、ちょっと卑屈すぎるのではと思った。
ジークフリート

ヴィドガッセンやブリュンヒルデのニルソンは間違いのないところ。
平成二十九年 2月の”お気に入りの一曲!”

ヴィヴァルデイ作曲
協奏曲「四季」
  アンノンクール指揮ウイーンコンフェントゥスムジーク

ピリオド演奏のこの曲を初めて聞いたが、まったく今まで聞いたのと別の曲のように聞こえた
現代的な演奏やイムジチスタイルを聞くと、どうも喫茶店のBGMのような感じがして軽く聞いて
しまうが、ピリオド演奏で強弱緩急をしっかりつけてその時代の響きを再現されると、音楽が
実に生き生きとよみがえる。

平成二十九年 1月の”お気に入りの一曲!”
ハイドン作曲
交響曲48番「マリアテレジア」
  バレンボイム指揮イギリス室内管

ハイドンの40番台を集めたアルバムから。実に格調高い。44番45番ともそれぞれ特徴あって
よかったが、この曲もそういう作曲の要請があったからなのだろうが、まさにヨーロッパに君臨した
女王の風格を曲で表現している。バレンボイムの指揮もこういう曲は上手い。

平成二十八年 12月の”お気に入りの一曲!”
ハイドン作曲
交響曲31番「時鐘」
  トスカニーニ指揮NBC交

ハイドンの中期の交響曲は初めて聞いたが、安心して聞ける。しかも曲としてのコンセプト
がはっきりしていて、さすが職人という感じ。たぶん宮廷の演奏者にも気を使ったんだろうが
いろんな楽器が主旋律を演奏して、それが変化があって聞きやすい。ハイドンおそるべし。


平成二十八年 11月の”お気に入りの一曲!”

ロッシーニ作曲
オペラ「セビリアの理髪師」
  アバド指揮アルバ、ベルガンサ、プライ、ロンドン交

後年ベルリンフィルの指揮者となるアバドがイタリアオペラをしかもかなりのアップテンポで指揮して
いるのに驚いた。オペラブッファなのでそういうテンポになるのだろうが、ベルリンでベートーベンなんかを
指揮しているのとは別人のよう。喜劇なのでテンポよくとなるのだろうが、歌もかなりのアップテンポで早口
言葉みたいな感じ。プライはドイツ系と思うのだが、この早いイタリア語を歌いきるのは相当訓練したと思う。
作品全体はとても楽しく素晴らしいが、歌にかなり装飾がつくのにはちょっと抵抗があった。

平成二十八年 10月の”お気に入りの一曲!”
ワーグナー作曲
楽劇「ワルキューレ」
  飯守泰次郎指揮東京フィルハーモニー、グールド他

新国立劇場での「リング」。ジークムントにステファン グールド、ヴォータンにグリア グリムスレイ、
ジークリンデにジョゼフィーネ ウィーバー、ブリュンヒルデにイレーネ テオリン、フリッカにエレナ ツィトコーワ
という配役。さすがに生の迫力はすごかった。しかも前から4列目くらいで目の前でジークムントとジークリンデ
の愛の語らいを聞くと涙ぐんでしまう。グールドはさすがに声が響いている。ジークリンデは体形で双子の兄妹
とわかった。あとフリッカのツィトコーワが上手かったしきれいだった。こうしてライブで見たら、この劇は愛の
物語であることがよく分かったが、特にヴォータンとブリュンヒルデの親子の愛情が思っていた以上に
深いものであることが分かった。音楽だけ聞いていると、ヴォータンの娘に対する怒りが大きく、最後にローゲ
の炎で守るのは、わずかな憐憫の情かと思ったが、実はそれ以上に深い愛情に基ずくものであると
感じることができた。はやくジークフリートが見たい。

平成二十八年 9月の”お気に入りの一曲!”
ド二ゼッティ作曲
オペラ「愛の妙薬」
  リド指揮アラーニャ、ゲオルギュー、リヨン歌劇場

実に楽しいオペラ。「トリスタンとイゾルデ」伝説をもとにしているが、ワグナーの名作オペラとは切り口を
全く逆にとっている。愛を芽生えさせるという妙薬をゲオルギュー、ヒロインが「アッハッハ」と笑い飛ばす
ところは気持ちがいいくらい。ワーグナーは「神々の黄昏」でもこの手の薬を登場させているが、どうも
そのあたりは以前から解せない気がしていたが、こういうイタオペらしい喜劇は文句なく楽しめるし、
中にちりばめられた数々のアリアもすばらしい。

平成二十八年 8月の”お気に入りの一曲!”
ベートーベン作曲
ピアノソナタ29番「ハンマークラヴィーア」
  バックハウス(p)

ベートーベンのピアノソナタ全集をバレンボイムのピアノで聞いていて、その中ではこの曲がいいと思って
それではバックハウスの演奏ならどうなのかな、と思って聞いたらやはりバックハウスのほうが心に響いた。
どちらもライブ録音だったが年齢的にはバレンボイムは若いころで、バックハウスは円熟期という違いは
ある。微妙な間の取り方はバックハウスに一日の長があった。長い曲だが緩急つけてだれさせない、
曲のすばらしさもあるが、そこから独自の世界が展開される。こうなるとバックハウスの30〜32番も聞いてみたい。

平成二十八年 7月の”お気に入りの一曲!”
J.S.バッハ作曲
トリオソナタ
  ヘルムート ヴァルヒャ(og)

バッハのオルガン曲。トリオというから三重奏かと思いきや、オルガンで右手左手足を使った一人の演奏曲。
当時のオルガンという楽器の特性を生かした楽曲で、現代のシンセサイザーに匹敵するような音が奏でられる。
夏の暑いときにオルガン曲を聞くのは涼し気でいい。

平成二十八年 6月の”お気に入りの一曲!”
ワーグナー作曲
楽劇「ワルキューレ」
  カラヤン指揮ベルリンフィルハーモニー

カラヤンのスタジオ録音盤。さすがに締まった演奏で、ワルキューレの騎行の音楽も馬がかけていく様子が頭に浮かぶ。
この楽劇は前半は愛する二人の語らい、中盤以降はヴォータン対フリッカ、ヴォータン対ブリュンヒルデの葛藤と場面に
よって雰囲気が変わるがそのあたりを緩急の付け方でうまく表現されている。ただ惜しむらくはちょっと歌手陣が弱い
気もする。ヴィドガッセン、ニルソン、アダムらが力強い歌唱で引っ張っていくショルテイ、ベーム盤などに比べると声が細い
ように聞こえるのは時代が違うからだろうか。

平成二十八年 5月の”お気に入りの一曲!”

ブルックナー作曲
交響曲第5番
  クナッパーツブッシュ指揮ミュンヘンフィルハーモニー

ブルックナーはクナッパーツブッシュが合っている、となんとなく思っていたので、ブルックナーのボックス、
とりわけこの曲を聞いて自分の直感が正しかったことを確認した。5番というのはあまり聞いたことがなかったが
一つの主題を徹底的に掘り下げて、繰り返し変奏しながら深めていく。この時やはり緩急や強弱をつけていかないと
平坦な音楽になってしまうような気がする。もちろんそれでもきちんとしたハーモニーを紡ぎ出せれば、ブルックナー
の音楽は再現できるのだろうが、やはり聞いている方としたらもうちょっとドラマチックにしてもらった方が聞きやすい。
その点クナの指揮はぴったりな気がする。名盤本ではブルックナーといえばヴァントだが、確かに深みはあるがちょっと
聴き通すのがしんどい気がする。好みの問題かこちらの聴き方が悪いのか。


平成二十八年 4月の”お気に入りの一曲!”

ベートーベン作曲
交響曲第6番
  クリュイタンス指揮ベルリンフィルハーモニー

ベルリンフィルの常任指揮者として初めてベートーベンのシンフォニーの全曲録音に挑んだのが、ドイツ人以外で
初めてこのオケの常任指揮者になったクリュイタンスというのも面白い。正確なテンポと美しいアンサンブル。
ただし5番や7番ではクライバーやクレンペラーみたいなあざとさというか極端な緩急で曲を躍らせるような演奏が
あるがそういう感じはない。ちょうどこの6番のような曲がこの指揮者には合っていると思った。

平成二十八年 3月の”お気に入りの一曲!”
モーツアルト作曲
ヴァイオリン協奏曲第4番
  ムーティ指揮フィルハーモニア交アンネゾフィームター(VN)

ムターの若い時代のボックス。「四季」とか入っていたがそれはもうひとつ。このボックスの中ではモーツアルトが
一番良かった。ムターのヴァイオリンはテクニック正確性はあるが、あまりヴォリュームがあるとか情感豊かな演奏
とはいいがたい。そういう特徴からするとモーツアルトが一番合っていると思う。ムーティの指揮もよかった。

平成二十八年 2月の”お気に入りの一曲!”
ベートーベン作曲
ピアノ協奏曲第5番
  クレンペラー指揮ニューフィルハーモニア交バレンボイム(P)


実に堂々とした演奏である。クレンペラーのベートーベンは悠揚な響きで定評のあるところだが、それに
若きバレンボイム(20代か)が渡り合った名演。バレンボイムは指揮者のイメージが今では強いが、ピアノのテクニックも
当然素晴らしく、弱い音の際立たせ方や流れるような指の運び、クレンペラーのゆったりとしたテンポに合わせて、
壮大なベートーベンの音楽の世界を作り上げている。

平成二十八年 1月の”お気に入りの一曲!”
ワーグナー作曲
オペラ「タンホイザー」
  クリュイタンス指揮バイロイト祝祭管


フランス人初めてのバイロイトの指揮者ということでいろんな注目を浴びたであろうクリュイタンスの「タンホイザー」
ゆったりとした流れで過度に強弱をつけすぎることなく、心地よく聞き入ってしまう。歌手陣の歌も素晴らしく、歌合戦
という題名にぴったりとした音楽になっている。ラベルなんかのフランス音楽の演奏で知っていたが、こういうドイツオペラ
も存分に振ることができる懐の深い指揮者だ。

平成二十七年 12月の”お気に入りの一曲!”
シュトラウス作曲
オペレッタ「こうもり」
  クライバー指揮バイエルン国立響

オペレッタは喜歌劇と訳されて、オペラよりレベルが低いような錯覚をしていたが、この「こうもり」を聞いて、まったく
認識がくつがえった。ワーグナーのように全編音楽ということではなく、セリフの部分も多かったが、なんといっても
クライバーの指揮の躍動感がすごい。それに歌手陣もルチア ポップやヴァラディ、プライ、ルネ コロと名歌手が
競い合って歌唱を披露するのだから盛り上がらないはずはない。まあストーリーはばかげているといえばそれまでだが、
これが喜歌劇で「フィガロ」が歌劇に分類されるのはよくわからない。

平成二十七年 11月の”お気に入りの一曲!”
ヴェルディ作曲
オペラ「ファルスタッフ」
  トスカニーニ指揮NBC響

このオペラは対訳が長いので演奏時間も長いのかと思っていたら、CD2枚で十分収まる長さ。対訳が長かったのは
何人かで歌う重唱がそれぞれ別の歌詞を歌うので長くなっただけのようだ。コメディだがなかなか歌詞には示唆にとんだ
言葉もあり、人間の本質を暴くのには喜劇の方がいいのかもしれない。ワーグナーの「タンホイザー」のように深刻になると
ちょっと重たい。
平成二十七年 10月の”お気に入りの一曲!”
ワーグナー作曲
楽劇「ラインの黄金」
  飯守泰次郎指揮東京フィルハーモニー、ラジライネン、グールド、シュレーダー、マイヤー

とうとうリングのライブを鑑賞した。まあ一番短い「ライン」ではあるが、ここから始まるのだからこれを見逃す
わけにはいかない。ちょっと舞台設定はちゃっちい感じがしたが、さすがに本場の歌手は上手い。以前琵琶湖ホール
で日本人ばかりによる日本語の「ラインの黄金」を見たが、それなりによかったが歌手の声量というか貫禄が違う。
ヴォータンはちょっと重みに欠けたように思ったが、ローゲが抜群に上手い。このオペラはローゲが影の主役でも
あるのだが、こんなに目立ってもいいんだろうか。それにやはりアルベリヒやミーメといった悪役の個性も重要だ。
エールダ役のクリスタ マイヤーも登場場面は少しだが存在感を示した。やはり生は違う。

平成二十七年 9月の”お気に入りの一曲!”
ベルリーニ作曲
歌劇「ノルマ」
  セラフィン指揮スカラ座管、カラス、ルードヴィヒ、コレルリ

しばらくぶりのこのコラムだが、音楽はずっと聴いていて色々聴きすぎてこの月にはこれ、と決められなかった
が、今月から復活。というのもこのオペラのCDを日本版対訳付きで聴いて感動した。カラスといえばノルマと
いわれるくらいの当たり役だそうだが、対訳がないと聞けないと思っていたら、中古CDで2000円であったので
購入したらこれが大当たりだった。さすがに全盛期はちょっと過ぎていたのかカラスは迫力、声量はそんなでもないが、
主人公の心情を表現する歌唱力が凄い。言葉の意味がわからなくてもその心情はびんびん伝わってくる。それに
脇にまわったクリスタ ルードヴィヒがまた上手い。こちらは年齢的に声量も一番出る頃だし、カラスに十分対抗している。
セラフィン指揮もカラスのよさを引き出す術を心得ていて、あらためてカラスこそ1であることを確認。

平成二十七年 1月の”お気に入りの一曲!”
ブラームス作曲
交響曲 1番
  高関 健指揮大阪フィルハーモニー


新聞社の愛読者向けのコンサートだから名曲を並べてあたりさわりのない演奏かと思ったら、この曲
はものすごく力が入っていて感動した。最初の緊張感のある出足から少し落ち着いてまた最後に盛り
上げる。序破急を感じさせるような演奏。途中では咳の声とか聞こえたが最終楽章では全くそれが
なかった。おそらく聴衆は全員息をのんで聴いていたので咳も出なかったのだろう。本当にすごい
演奏では咳も出ないということを体験した。

平成二十六年 12月の”お気に入りの一曲!”
ビゼー作曲
組曲 アルルの女
  クリュイスタンス指揮フランス国立放送管弦楽団

この曲は断片的に聞いたことはあったが、通して聴いたのは初めて。これほど親しみやすいメロデーが
ちりばめられてあるとは驚いた。メヌエットなど今まで何度も耳にしていたがここにある曲とは知らなかった。
ビゼーは「カルメン」といい、作品数は少ないが曲作りに関しては大変な才能の持ち主だったことが
よくわかる。

平成二十六年 11月の”お気に入りの一曲!”
ベートーベン作曲
交響曲1番
  ブリュッヘン指揮18世紀オーケストラ

古楽器によるベートーベンの交響曲集。現代楽器と違いまた編成も小規模なので迫力は感じられ
ないが、その分余分な枝葉が取り除かれて、本体の音楽を存分に味わえる。1番はモーツアルトというより
ハイドンのような感じだ。これは古楽器にもっとも適合している。ベートーベンもこの音を聴いていたのかと
思うと、ここから大きく羽ばたいていった才能の原点をみるようで感慨深い。

平成二十六年 9月10月の”お気に入りの一曲!”

クラウディオ アバドのボックスを聴いた所感をメールした抜粋
アバドはベートーベンの5番を聴きました。 さすがにベルリンフィルでこの曲だけは譲れないという格調高い
締った演奏です。
とくに1楽章の丁寧な緩急、強弱の付け方は見事です。3、4楽章の盛り上げ方も
一部の隙もないという演奏でした。
ただこの曲の場合はやはりライブ演奏のほうが盛り上がる気がします。
去年聞いたティーレマン指揮ウィーンフィルの演奏は、 最終楽章では指揮者が飛び上がるほどのオーバーアクションで
オーケストラを鼓舞していましたから、最後はすごい盛り上がり方でした。

 アバドのベートーベン4番を聴きました。 4番はクレンペラーやクライバーが愛聴盤なんですが アバドの演奏は
ちょっと行儀がよすぎる気がしました。
4番はちょっとエキセントリックな演奏の方が好きなんですがアバドは緩急、
強弱はつけていますが、ちょっと当たりが弱いというか切れ味に欠く気がしました。
これはリマスターというか録音の
仕方が変わってきているのかもしれません。
リマスターも新しいやり方は柔らかい音になってきているようです。

今日はアバドのベートーベンの1番と3番に入りました。 1番はやはりハイドンやモーツアルトに近いですね。
3番はかなりメリハリをつけていました。2楽章の葬送行進曲は本当にゆっくりとしていてかなりこの楽章は意識しているようでした。
その分といってはなんですが3,4楽章がちょっと軽すぎるかな、と思いました。 この曲は名盤の本では、
アバド、べルリンフィルは評価が低かったです。というよりこの曲はやはり
1位フルトベングラー2位トスカニーニですから
往年の巨匠の演奏がいまだに追随を許さないということでしょうか。

 今日はアバドのハイドンで100,101,102番を聴きました。このあたりは耳になじみもある曲で、指揮者の工夫というのもなんとなくわかりました。
緩急や強弱の付け方がかなり思い切っているように感じました。特にそれぞれの曲の有名なところの際立たせ方が巧みです。 100番は太鼓のところ、
101
番は、2楽章のリズムを刻むところ、102番は1楽章の出だしが実にゆっくりと入ってメリハリを付けています。

101番「時計」はトスカニーニの演奏が名盤に上がっていました。 こういう曲は指揮者の腕のふるいがいのある曲かもしれません

平成二十六年 8月の”お気に入りの一曲!”
マーラー作曲
交響曲2番「復活
  クレンペラー指揮フィルハーモニア管シュワルツコフ(S)


この8月はマーラー月間ということで、バーンスタインのボックスとクレンペラーのボックスを車に持ちこんだ。クレンペラーは
マーラーの直弟子だし、この曲にも思い入れはありそうだが、それ以上にバーンスタインの演奏が思い入れあり過ぎ。1楽章
の長さも19分と24分位の違いはある。それだけ緩急をつけたり濃厚な演奏になっているのだが、個人的にはこの演奏に
関してはクレンペラーの方が好きだ。フィルハーモニアが幾分迫力に欠けるきらいはあるがまとまりがある。それに演奏に直接
関わりはないが、1枚のCDに収まっているのもいい。車でCDを入れ替えるとそこで気分が途切れてしまう。

平成二十六年 7月の”お気に入りの一曲!”
ショスタコービッチ作曲
交響曲7番「レニングラード
  コンドラシン指揮モスクワフィル

ショスタコービッチという作曲家も時代にほんろうされたというか、今は無きソ連に捧げつくした作曲家だが、その才能や
音楽はもっと評価されてもいい。初期の前衛的な作風がスターリンに批判されて、5番以降社会主義リアリズムなんだか
ロマン主義に懐古したのかわからないがわかりやすい曲調になって、まあスターリンにもわたくしにも理解しやすくなった。
この曲は作曲家自身レニングラード攻防戦に参加しそれに触発されて書かれたと言われているが、途中のボレロ風の演奏が
何を表現しているのか、迫りくるドイツ軍の行進か、スターリニズムの恐怖が少しずつ大きくなっていくのを表わしているのか
わからないが、コンドラシンのショスタコービッチの全集の中ではこの曲の演奏がよかった。

平成二十六年 6月の”お気に入りの一曲!”
ブラームス作曲
パガニーニの主題による変奏曲
  (P)アルトゥール ベネデッティ ミケランジェリ


パガニーニの主題の変奏曲は以前に聴いたことがあったが、このミケランジェリの演奏はそれぞれの曲が生き生きとして
全く別の顔を見せてくれる。こういった曲は元の旋律は同じなのだから、如何にそこにヴァりエイションを際立たせる技量が
あるかが要求される。その技量が中途半端だと同じような曲の羅列になって退屈極まりないものになる。そういった意味に
おいてもブラームスの要求に100%以上応えた演奏と言えると思う。

平成二十六年 5月の”お気に入りの一曲!”
スカルラッティ作曲
ソナタ集
  (P)エミール ギレリス


スカルラッティはバッハと同時代の作曲家だが、この鍵盤楽器のソナタはバッハよりもっと後の世代の作品かと
思わせるほど完成度が高い。バッハが少し硬い印象なのに対し、このギレリス奏するソナタは抒情性に富み、始めから
ピアノ向けに書かれたものではと錯覚するくらい素晴らしい。アマゾンで購入した10人のピアニストの演奏を集めたボックス
だが、これは得した気分になった。

平成二十六年 4月の”お気に入りの一曲!”
ドビッシー作曲
前奏曲集
  (P)ヴァルター ギーゼキング


ドビッシーのピアノ曲集はワイセンベルグなどで聴いていたが、ギーゼキングの演奏は一味もふた味も違う。
いままでどちらかというと甘い印象があったが、ギーゼキングはそこに力強さのようなものも感じられる。緩急、強弱
テクニックいずれも素晴らしいがそれぞれの曲の持っている内面的な本質も表現されているように思う。まだまだすごい
昔の名人がこの世界にはいて、その演奏がリマスターされて世に出てくるというのはありがたいことだ。

平成二十六年 3月の”お気に入りの一曲!”
ラヴェル作曲
「ボレロ
  ラヴェル指揮コンセールラムール管


作曲者が自身で自分の曲を指揮する場合、当然その曲の本質を表現できるのだが、どちらかというと別の指揮者が
指揮した方が音楽に広がりが出るような気もしていた。しかしこの曲の場合は曲の微妙なテンポがいままで聴いてきた
別の指揮者の演奏と、作曲者の指揮では違うような気がした。元々ダンスのための音楽だそうだが、このラヴェル指揮では
ベジャール振付の有名なバレーは踊り辛そう。20世紀前半と後半では人間の感性が変わってきているのかもしれない。


平成二十六年 2月の”お気に入りの一曲!”
モーツアルト作曲
ピアノ協奏曲21番
  セガル指揮イギリス室内響 (P)ラドゥ ルプー


ルプーのピアノの音色は美しい。独特のタッチでやわらかな音がして、この有名なコンチェルトにもはまっている。
1楽章のティラララ ティラララ ティララララ のところなど鳥肌もの。ボックスで購入したがそこに以前持っていてどこかに
いってしまったシューマンとグリークのコンチェルトもありそれらもよかったが、今回はモーツアルト。

平成二十六年 1月の”お気に入りの一曲!”
R.シュトラウス作曲
オペラ「ばらの騎士」
  カラヤン指揮フィルハーモニアオーケストラ E.シュワルツコフ クリスタ ルードヴィヒ


今年はシュトラウスの生誕150年ということで、そのオペラの代表作を聴いた。1950年代の録音でカラヤンの
初期の傑作と言われているだけあって歌と演奏が締った感じで融和している。クリスタ ルードヴィヒは20代での
抜擢だったそうだが、実にのびのびとして清々しい。一方のシュワルツコフもワーグナーを歌う時のような勢いに
任せるようではなく、老いのわびしさみたいなものを抑えた歌唱で表現して素晴らしい。しかし女性歌手同士が恋人
役というのもちょっと納得しがたいものもある。フィガロを意識した作品ということでケルビーノ役を踏襲しているのだろう。

平成二十五年 12月の”お気に入りの一曲!”
ビゼー作曲
オペラ「カルメン」
  レヴァイン指揮メトロポリタン歌劇場 ホセカレーラス、アグネスヴァルナイ


さすがに超有名なオペラだけあって最初のハバネラから珠玉の名曲が連なっている。実はホルストシュタイン指揮の
「カルメン」も聴いたが、歌詞がドイツ語になっていたので、やはりそれでは本来の切れのよさみたいなものが出ない。
メトロポリタンの舞台のyou tubeでみたのだが 舞台も大きく衣装も本来の時代ものでさすがにお金のあった時代の
大アメリカだけのことはある。なんといってもここではホセカレーラスの最後の辺りの熱唱がすごい。


平成二十五年 11月の”お気に入りの一曲!”
オケゲム作曲
「死者のためのミサ曲」
  ターナー指揮プロカンツォーネアンテクァ


バロック時代の曲だが実に美しい。人間の声のコーラスでともかく一番美しいようにと作られた曲なので、変な技巧や
革新的なことを試してみようなどという雑念がないので、純粋な音楽としての美しさと宗教的な敬虔感情も相まって
モーツアルトの「レクイエム」をしのぐと言ったら言い過ぎかもしれないが、私にはそのように思えた。

平成二十五年 10月の”お気に入りの一曲!”
ヘンデル作曲
「合奏協奏曲」OP3
  シュレーダー指揮バーゼル室内管


バロック時代の巨匠の作品だが、バッハにくらべてシンプルで古楽器の演奏でもあったので素朴な味わいがある。
それでも音楽自体は美しく、バッハより優雅というか華やかな感じがする。合奏協奏曲とはおかしな名前だが、この時代
はそういうジャンルがあったのだろう。聴いていくうちにその世界に心地よく浸って行ける。

平成二十五年 9月の”お気に入りの一曲!”
J.S.バッハ作曲
「マタイ受難曲」
  リヒター指揮アンスバッハ祝祭管 ヘフリガー他 


こうした宗教曲はちょっとその本質がわからないかもしれないと思って避けてきたが、バロックを聞き始めてやはり
クラシック音楽では避けて通れない分野ということで挑戦してみた。さすがに名曲だ。コラールの美しさは聞いていて
心が洗われる。無責任な民衆の声みたいなところは変に陽気な音楽だったりして、ストーリーと曲が対応している。
内容は人間の弱さみたいなものが主題となっているのでうなずけるところもあるが、ユダにたいしてキリストが「あなたは
生まれてこない方がよかった」みたいな訳文になっているところはちょっと理解できなかった。

平成二十五年 8月の”お気に入りの一曲!”
モーツアルト作曲
オペラ「ドンジョバンニ」
  フルトベングラー指揮ウィーンフィル シエビ、グリュウンナー 


1954年10月の録音録画のカラー映像。フルトベングラーが亡くなる数か月前の最後の映像だが、さっそうとして
実にカッコイイ。序曲の部分だけだが指揮する姿が鮮明に映されている。映像も古い録画であるにもかかわらずきれいで、
衣装や舞台設定がオーソドックスなものだけに安心して見られる。最近の現代的な舞台では味わえない本物のよさみたいな
ものを感じる。録音と録画は別撮りみたいだが、レマスターされてあるのか音もいいしよかった。特にジョバンニ役のシエピは
この役の最高の歌手と言われるだけあってぴったりとはまっている。

平成二十五年 7月の”お気に入りの一曲!”
ショスタコービッチ作曲
「チェロ協奏曲」
  オーマンディ指揮フィラデルフィア管 ヨ−ヨーマ(チェロ)


チェロコンチェルトはドヴォルザーク、エルガーというところしか聞いていなかったが、ショスタコのコンチェルトも
攻撃的で素晴らしい。チェロというと優しい音色でバッハの無伴奏なんかをイメージするが、オーケストラと対峙
するにはこれくらい激しくいかないと埋没してしまう。ヨーヨーマも若い頃だろうが、入魂の演奏でよかった。

平成二十五年 6月の”お気に入りの一曲!”
モーツアルト作曲
オペラ「フィガロの結婚」
  ムーティ指揮ウィーンフィル キャスリーンバトル、マーガレットプライス、トーマスアレン 


ムーティのモーツアルトは躍動感があって序曲から結構飛ばしている感じ。バトルのスザンナは透明感のある声
で聴きやすいのだが、本来のスザンナの勝気な性格からみるとちょっと上品すぎるか。プライスの伯爵夫人は
2幕目の冒頭のアリアなど聴きほれる。名曲のアリアがちりばめられ、聴いていてわくわくする。ただストーリー的
にはだいぶ無理があるようにも思えるが、それはこの時代のお約束みたいなものか。

平成二十五年 5月の”お気に入りの一曲!”
ストラビンスキー作曲
バレー曲「ペトリューシュカ」
  ストラビンスキー指揮コロンビア交響楽団 
 

スタラビンスキー自作自演の演奏を集めたボックスの中の1枚。自作自演だけにオーソドックスに聴こえる。
他の指揮者だとそこにそれぞれの個人的な解釈が入ってくるのであろうが、作曲者だけに楽譜に忠実に演奏
される。それでも前衛的なリズム、調性は聴いていると衝撃を受ける。「春の祭典」も有名だが、あの「乙女の踊り」
以外は今一つの気がするが、この「ペトリューシュカ」は最後まで耳が離せない。ストーリーもはっきりしているという
こともあるが、道化の悲劇ともいうべき内容が胸に迫る。演奏もよかった。

平成二十五年 4月の”お気に入りの一曲!”
ヴェルディ作曲
オペラ「ボエーム」
  ヴォットー指揮ミラノスカラ座 カラス、ステファーノ 
 

このオペラのヒロインはトスカと打って変って病弱で可憐という役がら。ここではさすがにカラスの歌は聴かせる。
ただどうもストーリーがややこしくて感情移入しにくい。イタリアオペラはベタベタのメロドラマの方がわかりやすい。

平成二十五年 4月の”お気に入りの一曲!”
プッチーニ作曲
オペラ「トスカ」
  サーバタ指揮ミラノスカラ座劇場 
 マリアカラス、ステファーノ

プッチーニの名作。トスカはカラスにあった役柄だと思うが、レナータデバルディの方が力強かったような気もする。
悪役を刺し殺すという役柄だから、カラスの声では少し線が細いような気もする。「レナータの歌はコカコーラの味、
カラスの歌は高級ワイン」、と自分で言ったのか他人が言ったのかわからないが、そういう感じではあるが、コーラが
あうところもある。「歌に生き愛に生き」のアリアが自らの信条と重なるところがあるのか、この歌は感動した。


平成二十五年 4月の”お気に入りの一曲!”
ヴェルディ作曲
オペラ「オテロ」
  チョンミョンフン指揮フェニーチェ歌劇場 
 

新しくなったフェステバルホールの?落し公演として、ライブで観賞した。さすがに音響はすばらしく、オーケストラ
の響きが鳥肌もの。特に金管の音はさすがにヨーロッパで鍛えられた本場の実力が遺憾なく発揮された。日本の
オケだと弦は美しいが管は今一つ、と感じることが時々あるので、トランペットの安定した音程はさすがと感じた。
シェークスピアの原作を、イタオペに作り変えて人間の疑心暗鬼が招く悲劇を劇的に歌い上げるヴェルディの傑作
だけに、主役、悪役、ヒロインが丁々発止の歌のバトルで、最後は目頭が熱くなった。それぞれの歌手の実力も
申し分なく、イタリアにいくことを思えば、歩いて行けるこの劇場で本場のオペラを堪能できてよかった。

平成二十五年 3月の”お気に入りの一曲!”
ヴェルディ作曲
オペラ「ナブッコ」
  グイ指揮ナポリ サンカルロ劇場 マリアカラス、ステファーノ
 

1949年の劇場でのライブ録音なのでかなり音が悪かった。世界史のバビロン捕囚の場面が舞台となるので
そのあたりの史実にくわしくないとオペラに入りこむのはしんどい。この中で歌われる故郷を終われるヘブライ人が
合唱する「金の翼に乗って」のところで劇場の観客がものすごい盛り上がりで一緒に歌っているのには驚いた。
なんでもこの歌は第2のイタリア国歌とも言われているそうで、このオペラが作られた当時、分裂していたイタリアが
国としてようやく一つになった、そういう思いがこの歌に込められているとか。1949年といえば敗戦間もないイタリア
でこの歌が観客のイタリア人にとってはまた特別なものだったのだろう。

平成二十五年 3月の”お気に入りの一曲!”
ヴェルディ作曲
オペラ「リゴレット」
  セラフィン指揮ミラノスカラ座マリアカラス、ステファーノ
 

道化者が主人公。職業的に差別されていることを悲劇のモチーフにしているので、ストーリー的にはなじめない
ところもある。ここではカラスも脇という感じになる。ステファーノの「女心の歌」が絶好調で聴きほれる。

平成二十五年 3月の”お気に入りの一曲!”
ヴェルディ作曲
オペラ「椿姫」
  ジュリーニ指揮ミラノスカラ座マリアカラス、ステファーノ
 

ライブ録音で音は幾分悪いし、拍手も入っていて聞きづらいこともあるが、歌はやはり拍手が入ったりするとノリがいい。
ヴィオレッタは最初から登場しているのでカラスの歌唱は存分に楽しめる。1幕目の飲んでいる時が一番楽しい、という
フレーズから最後の方の悲しみまで刹那的な人生をオペラにして聴きやすい。

平成二十五年 2月の”お気に入りの一曲!”
ヴェルディ作曲
オペラ「アイーダ」
  カラヤン指揮ウィーンフィル レナータ テバルディ
 

こちらはオーケストラの力量が存分にはっきされる曲だけに、カラヤン=ウイーンフィルの演奏がよかった。レナータの
アイーダもよかった。実はカラスの30演目完全収録のボックスを購入したので、そちらも聴いたが、演奏がスカラ座のオケ
なので凱旋の音楽の金管が弱い。このオペラは歌唱と演奏とが両方よくないといけないので、これはカラヤンが上手。

平成二十五年 2月の”お気に入りの一曲!”
ヴェルディ作曲
オペラ「イル トロバトーレ」
  カラヤン指揮ミラノスカラ座管弦楽団 マリア カラス
 

今年はヴェルディで、ということでこのオペラから。ストーリーはなにこれ、という感じで、ちょっと差別的なところも
あるが、歌の楽しさ、というか様々な技法でともかく歌を目立たせていく、これはワーグナーにはなかったところか。
レオノーラ役のマリアカラスはさすがという歌いっぷり。マンリーコ役も頑張っていたが、カラスの「恋はバラ色の風に」
の歌にはしびれる。カラヤンの指揮も多少カラスに遠慮があったか。あとで聴いた「アイーダ」のようなさえはなかった。

平成二十五年 1月の”お気に入りの一曲!”
ワーグナー作曲
楽劇「タンホイザー」
  トリンクス指揮東京交響楽団
ステー・アナセン、ヨッヘン・クプファー、ミーガン・ミラー、エレナ・ツィトコーワ

1月末に新国立劇場での公演を鑑賞した。やはりライブはいい。多少管楽器の音の薄さは感じたが、弦の響き、特に
コントラバスの音は生なればこそ、という気がした。舞台は簡素だが音楽が主であればそんなに気にならない。歌合戦
の場面などではタンホイザーの歌唱が光ったが、ヴェーヌスやエリーザベトとのからみでは少し声量が不足しているかな、
とも感じた。あと巡礼の合唱や2幕の歌合戦前の合唱はよかった。3幕目のエリーザベトが巡礼の中をタンホイザーを
さがすところは心に迫る。1幕目のバレーといい、見所が多く、堪能した。ただエリーザベトは面食いではないということが
はっきりわかる配役でもあった。

平成二十四年 12月の”お気に入りの一曲!”
ワーグナー作曲
楽劇「リエンツィ」
  ホルライザー指揮ドレスデンシュターツカペレ
 

序曲は管弦楽で聴いていたが、オペラとしても十分聴きごたえがある。なぜバイロイトで上演されていないのか
わからない。最後はやはり悲劇的な結末だが、その最後のあたりが聴かせる。序曲でも用いられる
リエンツィの旋律で歌われる四面楚歌の状況での歌は身に沁みてくる。ただ対訳がなかったので、概説で想像
するだけだったので、それがちょっと辛かった。

平成二十四年 11月の”お気に入りの一曲!”
マーラー作曲

交響曲2番「復活」
  クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団
 

マーラーの直弟子であるクレンペラーが格別な思いを持ったマーラーの楽曲ということで、どれだけ華々しいかと
思っていたら、じつに抑えた感じの淡々とした演奏。バーンスタインとくらべたらそれが顕著。しかし本来のマーラーは
こんな感じなのかもしれない。どうもマーラーといえばそれを広く紹介したバーンスタインの演奏を思い浮かべるが、
特にこの宗教的主題を持つ曲は深みを重視するよう指示があったのかもしれない。ソプラノのシュワルツコフもワーグナー
の時と違って抑えた歌唱で崇高さを表現している。なによりこの曲がCD1枚に収まっているのがいい。こういう曲を
途中で入れ替えるのは気分がなえる。

平成二十四年 10月の”お気に入りの一曲!”
ワーグナー作曲
楽劇「ニュールンベルグのマイスタージンガー」
  クナッパーツブッシュ指揮バイロイト祝祭管弦楽団
 1952年

ワーグナーの主要なオペラの最後になった。歴史的事実に基ずく内容のようだが、喜劇というにはちょっとひっかかる
ところもある。敵役のペックメッサーの扱いがどうも解せない。「リング」のミーメもちょっとひどかったが、笑い物にする
根拠みたいなものがあるとすると、やはり問題だ。歌合戦がテーマだけに歌唱は技巧をこらし、また有名な序曲も、
クナッパーツブッシュの重厚な指揮に合っている。この劇も最後にドイツ万歳という感じで、ヒトラーが好きだったというのも
わかる気がする。最初の教会の合唱曲などルターのプロテスタントの影響もあるようで、歴史的な見方も必要かもしれない。


平成二十四年 9月の”お気に入りの一曲!”
ワーグナー作曲
楽劇「神々の黄昏」
 ブーレーズ指揮バイロイト祝祭管弦楽団  

演出が変わったのでいろいろ論議を呼んだバイロイトのDVDを見た。その後の変わりようの激しさからみたら
こんなものかと思ってしまうが、やはりここでこんなことを許してしまったので、現代にいたるまでその罪が残った
ということだろう。なにしろラインの乙女たちがいるのがダムのようなところでは興冷めもいいところ。ちょっと
ジークフリート役も線が細い気がしたし、ジークフリートを殺すハーケンの服装が緩んだネクタイによれよれのスーツ
で槍を持っているのだからどうもいただけない。ブリュンヒルデの歌唱のよさが救い。


平成二十四年 8月の”お気に入りの一曲!”
ワーグナー作曲
楽劇「ジークフリート」
  フルトベングラー指揮RAIローマ交響楽団


この楽劇はヒーロー「ジークフリート」の一人舞台。育ての親ミーメが簡単に殺されてかわいそうな気も
しますが、なかなか面白い展開だと思いました。殺した大蛇の血を飲んだら、相手の考えていることがわかったり
小鳥の声が話声として聞こえたり。フルトベングラー版は多少音は悪いところもありますが、ジークフリート役の
ズートハウスが素晴らしい。それにフルトベングラーの指揮もライブレコーディングということもあって、のりのりの
ところもあり、1楽章の最後など聞いているだけで指揮する姿が浮かんでくるような気がします。

平成二十四年 7月の”お気に入りの一曲!”
ワーグナー作曲
楽劇「ワルキューレ」
  ヤノフスキ指揮ドレスデン管弦楽団


「リング」の2作目。といっても「ラインの黄金」は導入部らしいので、ここからが物語ということになる。
最初はラブストーリー。ジ―クムントとジークリンデの双子の兄弟の禁断の愛ということになるが、ここは
ジ―クムントの歌唱力がものを言う。何人かの歌手で聴いてみたが、2010年のバイロイトのNHKの
実況生中継のヨハン ボータが映像を見ているということもあるが一番よかった。後半のワルキューレの騎行
からブリュンヒルデとヴォータンの言い争い、というかヴォータンが正妻に頭が上がらなさ過ぎでジークムントと
ブリュンヒルデが気の毒。ここの音楽では例の勇ましいメロディーもいいがワルキューレの「ホヨ ホーヨッ」という
多分馬のいななきを表現したのだと思うが、独特の歌唱で素晴らしい。

平成二十四年 6月の”お気に入りの一曲!”
ワーグナー作曲
楽劇「ラインの黄金」
  ヤノフスキ指揮ドレスデン管弦楽団


「ニーベルングの指環」4部作の第1作目。物語的には登場人物も多くおもしろいのですが、
音楽的にはあまり親しめるところがないように思う。最初のラインの乙女の掛け合いは
楽しめますが、あとは詐欺、騙し、強奪、呪いに人殺しと悪のオンパレードだけに、堂々と歌い上げる
ような場面が少ないということになるのも仕方がないのでしょう。しかしここから始まる導入部分
としては、きっちりと聞いておかないと、これからあとの展開で、登場人物のテーマ音楽を
聴き分けられなくなる。

平成二十四年 5月の”お気に入りの一曲!”
ワーグナー作曲
楽劇「タンホイザー」
  サバリッシュ指揮バイロイト祝祭管弦楽団


この楽劇の主題となるのは人間の愛欲、業の深さということになるだろう。一方純愛を貫こうとする
エリーザベトの悲しさ。3幕目のエリーザベトが巡礼者の中にタンホイザーの姿を探すシーンは泣ける。
音楽もすばらしい。最後ちょっとわかりにくい気もするが、登場人物で本当の悪役はでてこないで、人間
の業を徹底的に描き出しているところが感心した。

平成二十四年 4月の”お気に入りの一曲!”
ワーグナー作曲
楽劇「ローエングリン」
  ネルソン指揮バイロイト祝祭管弦楽団


この楽劇は信じるべきものを疑ってしまう人間の弱さがテーマだと思った。白馬ならぬ白鳥の騎士に
救われたのに、名前を尋ねてはいけないという約束を守れなかったエルザ。しかし名前もわからない
男と結婚するのはいくら助けてもらった恩人とはいえ、疑心を抱いても仕方がないようにも思える。
この劇では悪役も結構よく登場するし、音楽も心に沁みこんでくる。ただ結婚式でこの中の音楽が使われる
のは、結末から考えるとちょっと相応しいとは言えないのではないかと思う。

平成二十四年 3月の”お気に入りの一曲!”
ワーグナー作曲
楽劇「パルシファル」
  クナッパーツブッシュ指揮バイロイト祝祭管弦楽団


ワーグナー最後の楽劇である。キリスト教色が濃いといわれていたが、そんなに気にならなかった。
聖杯や聖なる槍などは特別な意味があるのだろうが、それより人間模様に関心がいった。「聖なる愚者」
英語では「イノセント フール」と字幕にあったが、その青年が白鳥を射落とす。何も考えていない愚者なのだが
知らず知らずのうちに罪を犯している。それに聖杯の騎士団の王も誘惑に負けて、大事な槍を奪われ瀕死の重傷
を負う。その罪を犯した者たちが、最後に救済されていくというストーリー。2幕目にパルシファルを誘惑する
クンドリという異教徒の女性が、悪であるはずなのに救われていく、罪の自覚ということがいわれているのではと
思われた。

平成二十四年 2月の”お気に入りの一曲!”
ワーグナー作曲
楽劇「さまよえるオランダ人」
  クナッパーツブッシュ指揮バイロイト祝祭管弦楽団


ワーグナーの最初のオペラ。合唱ありデュエットあり、かけあいあり歌合戦のようなところもあり、その後の
オペラの要素が凝縮されている。しかもわかりやすいオランダ人のモチーフとノルウエー人のモチーフがあり
しかも婚約者がありながら違う男性に惹かれていくという「トリスタンとイゾルデ」と同じパターン。曲も覚えやすく
楽しいが、最後がちょっとあっさりしている。イゾルデの感動的な歌唱みたいなものがよかった。

平成二十四年 1月の”お気に入りの一曲!”
ワーグナー作曲
楽劇「トリスタンとイゾルデ」
  クナッパーツブッシュ指揮バイエルン国立歌劇場楽団


とうとうワーグナーを聴いた。ケルトの民話をもとにした楽劇だそうだが、前奏曲から最後のアリアまで
どっぷりと音楽に浸らせてくれる。この楽劇のテーマは「人間には真実はない。人間にあるのは欲望である。」
ということになるのではないだろうか。トリスタンは自分の気持ちを偽り、王を傷つけ名前まで偽ったりした。
イゾルデは本当は心から愛していながら、毒薬をもって殺そうとしたし、その侍女は毒薬を媚薬に入れ替えた。
罪を作りながら生きている人間への讃歌ということになるのではないだろうか。まあ最後は死で終わっているので
悲劇といえるのかもしれないが、恋を成就したかのような最後の「愛の死」は美しい。

平成二十三年 12月の”お気に入りの一曲!”
マーラー作曲
「交響曲9番」
  バーンスタイン指揮ロイヤルコンセルトヘボー


この時期に第9といってもマーラーの第9はベートーベンのそれとはまったく逆の世界が展開される。
順風、狂騒、停滞、そして静寂に向かうような感じ.。ブルックナーの霧で終わっていくようなので、不安が
増幅されるような感じ。

平成二十三年 11月の”お気に入りの一曲!”

「ビッチェスブルー」
  マイルスデイビス グループ

聴いてみると少し前のフュージョン系の音楽のようだが、これがいまから40年も前に発表されたということ
だから驚く。それからの2〜30年の音楽シーンを先取りした音だ。コルトレーンとは違うやり方でマイルスも
常に前へ前へと演奏の形を進化させていったということだろう。既にビッグネームであったにもかかわらず
そうした取り組みを続けられるのも、天才の証拠だ。

平成二十三年 10月の”お気に入りの一曲!”
マーラー作曲
「交響曲3番」
  バーンスタイン指揮ニューヨークフィル


CD11枚入りのボックスセットでバーンスタインのマーラー全集を、4000円少しで購入。もし音が悪かったら
どうしようと心配したが、音質はよく安心した。ただニューヨークフィルとロイヤルコンセルトヘボーでは前者の方が
よく、どうせなら全部オケはニューヨークでやってもらったらよかったのにとは思ったが、そうはいかない事情もある
のだろう。この曲は超大曲で全体を把握するのは困難で、歌唱の部分は歌詞がわからないこともあってこれは
いらないのではと思ったりするが、最終楽章の美しさはそれまでの苦痛を一気にやわらげてくれる。

平成二十三年 9月の”お気に入りの一曲!”
ブルックナー作曲
「交響曲6番」
  クレンペラー指揮ニューフィルハーモニア管弦楽団


クレンペラーでブルックナーを聞いたらどんなものかと思って購入したら、これが大当たりだった。
ブルックナー得意の2楽章のアダージョが実に美しく、その曲の精神性を捉えるのが巧みなクレンペラー
ならではの名演。またブルックナーに溺れたくなってきた。

平成二十三年 8月の”お気に入りの一曲!”
J.Sバッハ作曲

「管弦楽組曲 3番」
クレンペラー(指揮)バイエルン放送交響楽団

この何度も耳にしたことのある曲が、指揮者によってこんなにも違うのかといい意味での驚きが
あった。特に有名な2楽章のなんとゆったりとしたペースであることか。バッハが聞いたらびっくりする
だろうが、しばらく聞いたらうなずくことになるのではないかと思う。その曲の精神性というものを最大限
音楽に表現しようとすれば、こういう演奏になるのではないか。少なくとも凡庸なBGMみたいな薄っぺらい
演奏よりは(そういう演奏が多いが)ずっと感動する。

平成二十三年 7月の”お気に入りの一曲!”
西岡たかし 作曲
「時計」
五つの赤い風船

これもYOU TUBEで見つけた。昔 風船の名曲と聞いてはいたが、曲を聞いたのは初めて。風船は
中学、高校の頃によく聞いたが、やはりフーコちゃんの声がないと風船らしさが感じられない。西岡たかし
の曲とフーコちゃんの声が懐かしく、何度かアクセスして聞いた。

平成二十三年 6月の”お気に入りの一曲!”
松任谷 由実 作曲
「水の影」
シモンズ

このごろYOU TUBEで懐かしいフォークを聞いていたら、この曲に出会った。好きだったシモンズがこの
ユーミンの名曲を歌っていたとは知らなかったし、またメロデーも曲の終りの部分がユーミンの歌では音程が
下がっていたのに、シモンズでは上がっていくようになっているのには驚いた。歌い手の特性によってメロデー
まで変えていたのか、アレンジャーが勝手にいじったのかわからないが、意外に楽しめた。

平成二十三年 5月の”お気に入りの一曲!”
ヴィヴァルディ作曲
「四季」
ナイジェル ケネディ(VN)ベルリンフィルメンバー

定番のイムジチの演奏と比べると革新的といえるのかもしれないが、いまひとつ魅了されるにいたらないのは
曲自体の単調さによるのか、奏者の力が入っている割には崩し切れていないことによるのか、もうひとつ
ピントがずれた感じ。やはりこれだけ聞きやすいメロディーの曲は定番の演奏には勝てないものかもしれない。

平成二十三年 4月の”お気に入りの一曲!”
南 佳孝 作曲 松本 隆 作詞

「魔天楼のヒロイン」

○十年前にレコードを聴いて、短いけれども小粋な旋律としゃれた歌詞でいつまでも記憶に残って
つい今でもハナ歌で出てくる。ところがもう一回聞こうと思っても、YOU TUBEにもアップされてないし
CDは出ていないと思っていたら、アマゾンにあったので、つい購入してしまった。久しぶりに聞いてみたら
確かに歌は間違っていなかったが、思っていた以上に前奏が長く、これではこの歌のよさを消してしまって
いる。せっかくの名曲がアレンジの失敗で、これではベスト盤なんかにも再録されない。

平成二十三年 3月の”お気に入りの一曲!”
J.Sバッハ作曲

インヴェンション 13番
グレン グールド(P)

だいぶ前に「ゴールドベルグ変奏曲」の演奏のことを書いたが、衝撃度ということではインヴェンションの
この演奏の方が度肝を抜かれた感がある。初心者の練習用にはゆっくり弾いてもらった方がありがたいの
だが、あえてそれに歯向おうとするかのようなスピード感あふれる演奏。

平成二十三年 2月の”お気に入りの一曲!”
J.Sバッハ作曲

フランス組曲
グスタフ レオンハルト(チェンバロ)

バッハの鍵盤曲は本来はチェンバロ用なのだろうが、現在ではピアノで演奏されることが多い。
当然ピアノの方が強弱など表現力が増しているのだから、芸術として上位のところを目指すと
そうなるのは仕方がない。しかし作曲者が表現しようとしたところをその時代の楽器で演奏することも
源流を知る上で重要だ。そしてこのCDも初めは平板な気がしたが、聞いているうちにその時代の香りが
感じられ、なんとなくゆったりした気分になる。

平成二十三年 1月の”お気に入りの一曲!”
ヴィヴァルディ作曲
2つのヴァイオリンのための協奏曲イ長調RV.519
ナイジェル ケネディ(VN)ベルリンフィルメンバー

しばらく新しい曲を聞いていなかったので、このページも休んでいましたが、今年からまたいろいろ
まだ聞いていない分野に挑戦していきます。今年はバロックを少し聞いてみようかということで、ヴィヴァルディ
を、しかも斬新な演奏で「四季」を売りまくったバイオリニストの演奏で聞いてみた。確かにメリハリがあり、躍動感
は申し分ない。ただグールドのバッハほどの深みは感じられないが、これは曲想の違いによるのかもしれないが。

平成二十二年 9月の”お気に入りの一曲!”
メンデルスゾーン作曲
ヴァイオリン協奏曲
  ハイフェッツ(VN)


ヴァイオリン協奏曲の定番だが、曲自体が完璧なので、あまりこれがすごいという演奏には
出会えない様な気がしていた。ハイフェッツの演奏にしても有名な第1楽章は、ちょっとはやく
弾きすぎでは、と思っていたぐらいだったが、第2楽章をじっくり聞いてみたら、これがさすが巨匠
という演奏だった。スキーの滑降の選手は、緩斜面をいかに滑るかで技量が決まると言われて
いるが、まさにそんな感じ。しびれた。
平成二十二年 8月の”お気に入りの一曲!”
ビリー ホリデー作曲
「レフト アローン」
  E.ドルフィー(fl)


聞いていると実に切なくなってくる。曲も名曲だけれども、ドルフィーのフルートも泣かせる。
ジャズとしてはアヴァンギャルドと対照的な演奏になるが、ドルフィーならば許せるという感じ。

平成二十二年 8月の”お気に入りの一曲!”
「夏への扉」
 山下 達郎

この夏は久しぶりに達郎をよく聞いた。見に行けるわけではないが野外フェスにも久々に出演という
ニュースもあり、やはり夏に聞くにはぴったりの楽曲。この曲は夏向きというわけではないが、SF小説
の最高傑作をモチーフにした曲で、夢とロマンと未来が詰まった小説を思い出し、ノスタルジックな気持ち
にさせてくれる。

平成二十二年 7月の”お気に入りのアルバム!”
「バグス ミーツ ウエス」
 M.ジャクソン、W.モンゴメリー、W.ケリー、PJジョーンズ、S.ジョーンズ

モダンジャズのアルバムのジャケットの図柄はアヴァンギャルドのものや、粋なショットなどそれだけ
でも見あきないものが多いが、このアルバムはミルトジャクソンとウエスモンゴメリーが帽子に冬物の
コートを着て2人並んでこちらを向いて立っているというシンプルなものだが、それが実にこのアルバム
の特性を表していて、好きなジャケットの部類に入る。演奏もヴィブラホンとギターというモダンジャズに
おいては地味な楽器だが、じつに音色がやさしく、心地よくスウイング感を味わえる。

平成二十二年 6月の”お気に入りの一曲!”
ベートーベン作曲
ピアノソナタ「悲愴」
  バックハウス(p)


ベートーベンのピアノソナタは完成された作品だから、あまり演奏者によって違いが感じられない
と思っていたら、このバックハウスの演奏を聴いて、これまで聴いてきたものとは全く違う感動が
あった。もちろん確かな技術は当然のことだが、整然とした中にも微妙な緩急があり、特にこの曲
に2楽章はあらゆる楽曲の中でももっとも好きなメロデイーだが、毅然として媚びない、それでいて
心に沁みわたっていく深みがある。よかった。

平成二十二年 5月の”お気に入りの一曲!”
ブルックナー作曲
交響曲8番
  バレンボイム指揮ベルリンフィル


今まで聞いてきたブルックナーの中では、1番まとまっていたというか、各楽章の特徴がわかりやすい。
1楽章は管と弦のハーモニーが心地よく、2楽章はハープも含んだ弦の響きの美しさが際立ち、3楽章は
ブルックナー独特の螺旋階段式盛り上がり、、4楽章はテインパニーに象徴される怒涛の演奏。
バレンボイム盤は評判はいまいちのようだが、わかりやすいような気がした。

平成二十二年 4月の”お気に入りの一曲!”
フォーレ作曲
「リクイエム」
  同志社大学グリークラブ 他


本来はちょっと取り上げにくい楽曲ではあるが、遇い難いご縁に恵まれてこの自主制作CDを
聞くことが出来たので、今回取り上げさせていただいた。去年からご縁をいただいているご門徒の
方が同大のグリーのOBで、その方がフランスにおられるときに後輩のフランスでの公演に尽力され、
その折制作されたCDということで、クラシックを少しだけ愛好しているとお話したら、貴重なものを
頂戴した。同大とも浅からざる因縁があり、そのグリーは大学のクラブの中でもトップレベルの実力が
あることは在学中から存じ上げていた。ライブ録音らしい緊迫感と荘厳さがあり、コーラスもさすがに
一糸乱れぬ響きで感動した。

平成二十二年 3月の”お気に入りの一曲!”
ブルックナー作曲
交響曲9番
  ヴァント指揮ベルリンフィル


ブルックナー3曲目だが、どうも違いがわからない。第1楽章はこれでフィナーレと思ったらまた
最初のテーマが出てきたり、混沌とした感は否めない。未完ということだが、シューベルトのそれ
のような未完成の部分を想像するような余地はなく、これで充分ではと思ってしまう。信仰の篤い
職人気質の作曲家だったようだから、人に気に入られようとかという思いはなかったのかもしれない。

平成二十二年 2月の”お気に入りの一曲!”
ブルックナー作曲
交響曲7番
  ヴァント指揮バイエルン放送交響楽団


1楽章の締め付けられるようなメロデイー、2楽章の美しいアダージョ。と引き込まれる要素は
あるのだが、なんとも重いイメージがした。指揮者のテンポの取り方なども影響しているのだろうが
その割に3,4楽章は淡白な感じでバランスが悪い。しかし旋律の美しさや弦を重ねていく美しさは
ブルックナーらしい。

平成二十二年 1月の”お気に入りの一曲!”
ブルックナー作曲
交響曲4番
  クーベリック指揮バイエルン放送交響楽団


今年はブルックナーを聞いていこうと思う。まず手始めは4番から。いろいろな要素が盛り込まれいるが
決して難解ということではなかった。弦と管とを丁寧に重ね合わせて、重厚な中にも軽やかなところもあり、
クーベリックの指揮もモルダウを振っているような気持ちよさで大変聞きやすかった。ホルンを用いた3楽章
の狩のようなテーマはいかにもヨーロッパという感じだったが、4楽章のトスカの邪悪のテーマのような旋律が
意味するものは、というところが聞いていて考えさせられた。

平成二十一年 12月の”お気に入りの一曲!”
プロコフィエフ作曲
ピアノ協奏曲2番
  アシュケナージ(p)プレビン指揮ロンドンフィル


アシュケナージがプロコフィエフのピアノ協奏曲5曲を演奏したCDをきいているが、さすがに
ピアノは音がクリアだ。マルゲリッチのも良かったが、やはりこちらの方が力強いか。1,3番が
聞きやすいが、2番の1楽章はほとんどがピアノソロに近く、ピアニストの技量が発揮される。

平成二十一年 11月の”お気に入りの一曲!”
ストラヴィンスキー作曲
「春の祭典」
  カラヤン指揮ベルリンフィル


この変調があり拍子も複雑な曲をカラヤンは見事にまとめあげ、そしてガンガン迫ってくるような
演奏で圧倒された。

平成二十一年 10月の”お気に入りの一曲!”
シューマン作曲
交響曲4番
  シャイィー指揮ライプツィヒゲヴァントハウス管弦楽団


マーラー編曲版とあったので、こういうシンフォニーにも編曲があるということだろう。しかも大作曲家
の編曲ということはかなり原曲と趣が違うのかと思ったらそんな感じでもなかった。とても締まった演奏
で、あらためてシューマンを好きになった。以前フルトベングラーの指揮のものも聞いたが、そちらは格調
高かったが、ちょっと重い感じがしないでもなかった。録音状態にもよるのかもしれないが、シューマンは
こちらの方が気に入っている。ただし2楽章のヴァイオリンのソロのところは、この録音ではいささか音が弱い
ような気もした。

平成二十一年 9月の”お気に入りの一曲!”
O.コールマン作曲
「ロンリーウーマン」
  

時代を切り開いていくような曲というのは、いつ聴いても色あせない。心に突き刺さるような
テーマのあと、アルトとペットの掛け合いがまた楽しい。昨年コールマンのライブを聞きに行ったが
足元はおぼつかなくとも、プレイは少しも衰えていない。ビンビンにアヴァンギャルドした演奏だった。
巨人というのは、生涯巨人であり続けることを見せつけられた。

平成二十一年 8月の”お気に入りの一曲!”
ドヴォルザーク作曲
交響曲8番
  クーベリック指揮ベルリンフィル


クーベリックはチェコ出身だけに、ドヴォルザークには思い入れがあるのだろう。実に堂々たる
演奏。ドヴォ特有の感傷的な音楽を、存分に堪能させてくれる。特に3楽章のとろけるような甘さ
は、9番よりもこちらの方が曲に溶け込ませてくれる。

平成二十一年 7月の”お気に入りの一曲!”
シェーンベルク作曲
交響詩「ペレアスとメザリンド」
  カラヤン指揮ベルリンフィル


有名な話で何人もの作曲家が競作しているが、シェーンベルクの曲も、登場人物のテーマが
決まっていて、聞いているだけでストーリーが想像できる。他の作曲家の曲も聞いてみたくなった。

平成二十一年 6月の”お気に入りの一曲!”
シューマン作曲
「ヴァイオリン協奏曲」
  クレーメル(VN)アンノンクール指揮ヨーロッパ室内管弦楽団


ヴァイオリン協奏曲としては、格別優れているとは言い難い。もちろんシューマンらしい
美しい旋律は随所に聞かれるが、それ以上にライナーノートに書かれたこの曲が演奏されるに
至る経緯が小説以上に波乱万丈だ。西洋版こっくりさんで埋もれたこの曲の演奏をシューマンが
望んでいる、だのナチスの介入によってドイツ人でなければこの曲の初演がゆるされないとか、
まあいわく因縁つきの名曲ということになる。


平成二十一年 5月の”お気に入りの一曲!”
ベートーベン作曲
「ピアノ協奏曲 5番」
  ポリーニ(P) アバド指揮 ベルリンフィル


ピアノコンチェルトの名曲だけに多くの演奏家が録音しているが、ポリーニはさすがに聞かせて
くれる。余裕があるというか、卓越した技量をフルパワーで発揮するのでなく、ちょっと余して
弾いているようなところが奥行を感じさせる。それに引き替えオケの演奏はなにかもうひとつ
噛み合っていないような気がしたが。ベルリンフィルのメンバーが、どうもイタ公とはうまがあわない
と思っていたのではとかんぐりたくなる。

平成二十一年 4月の”お気に入りの一曲!”
シューマン作曲
「交響曲4番」
  フルトベングラー指揮 ベルリンフィル)


シューマンもフルトベングラーには合っている。ドイツ的な格調高い旋律に堂々としたリズム。
途中バイオリンの独奏のようなところもあるが、抒情的でいかにも古典の風格がある。

平成二十一年 3月の”お気に入りの一曲!”
シェーンベルク作曲
弦楽合奏版「浄夜」
  カラヤン指揮 ベルリンフィル)

あまり期待しないで購入したCDだが、感動した。なんとも叙情的で魂をうちふるわせるような
演奏。楽曲もよかったが、演奏が素晴らしい。ベルリンフィルの一糸乱れぬハーモニーをカラヤン
の指揮が紡ぎだす。アダージョのカラヤンというだけあって第4楽章の美しさは鳥肌もの。
このCDを聞いてカラヤンの才能を再認識した。

平成二十一年 2月の”お気に入りの一曲!”
ドビッシー作曲
ピアノ曲集「版画」
  アレクシス ワイセンベルク(P)
ドビッシーのピアノ曲は絵画的であまり形式とかにはとらわれない。この曲集の「塔」などは
東洋的だし、「雨の庭」はまさにその状況が目に浮かんでくる。ピアノの名曲が他にも多いが
この3曲の味わいは何ともいい難い。

平成二十一年 1月の”お気に入りの一曲!”
アントニオ カルロス ジョビン作曲
「イパネマの娘」
  スタンゲッツ、アントニオ ジョビン、ジョアン&アストラット ジルベルト

「ゲッツ ジルベルト」というボサノバ誕生のアルバムの中の最も有名な一曲。シンプルだが
なかなか楽しめる。これまでジャズというと、ニューヨークの紫煙が渦巻く酒場から流れてくるような
ものしか聞いてこなかったが、これは陽光眩しいプールサイドの午後のうつろいに聞くような音楽。

平成二十年 12月の”お気に入りの一曲!”
ベートーベン作曲
「ヴァイオリンソナタ 春」
  パールマン(VN)アシュケナージ(P)

テレビの名曲探偵で「クロイチェルソナタ」を取り上げていたので、カップリングで録音されていることの多い
この曲も聞いてみた。といってもCDはだいぶ昔によく聞いていて、久しぶりに取り出してなつかしく聞いた。
クロイツエルもいいが、やはりこちらのあの明るい出だしのメロディーが好きだ。3番より4番、5番より6番が
好きということであればここもこうなることはやむ負えない選択。

平成二十年 11月の”お気に入りの一曲!”
ストラヴィンスキー作曲
「ペトルーシュカからの3楽章」
  ポリーニ(P)

難曲として有名なこのピアノ曲のぴかいちの名演といわれる録音。技術的なことはわからないが、
名人が弾くと難易度の高い曲でも、普通に聞こえてしまう。オーケストラ盤は、混沌としてよくわからなかった
が、ピアノの演奏の方が曲のよさはわかりやすいような気がした。

平成二十年 10月の”お気に入りの一曲!”
プロコフィエフ作曲
「ピアノ協奏曲3番」
デュトワ指揮 モントリオールフィル  アルゲリッチ(P)
20世紀のピアノコンチェルトらしい曲。ただプロコフィエフがロシア革命の混乱を逃れて、シベリアから
西欧に向かう途中に日本に立ち寄ったようで、そのとき耳にした「越後獅子」のメロディーを取り入れた
らしい。自然な形で和風な旋律が取り込まれている。そこで個人的な印象から”いけいけどんどん鞍馬天狗”。

平成二十年 9月の”お気に入りの一曲!”
桜井 和寿作曲
「口笛」

ミスターチルドレン


ライブDVDを購入した。まるまるコンサートの録画で30曲近く
入っているのだから、お買い得というか、コンサートに行った気分になれる。そりゃライブ感が違うといえば
そこまでだが、あのスタジアムのスタンドの後ろの方から見ているよりはよく見えて一体感も変わらないの
ではと思うのは、無精者の屁理屈にすぎないのだろうか。その中でもこの曲が一番よかった。

平成二十年 8月の”お気に入りの一曲!”
D.ガレスビー作曲
「ビー バップ」

ソニー クラークトリオ


ちょっと感覚的に古いと思ってしばらく聞いていなかったのだが、ほかのグループの演奏をきいて
オリジナルはどうだったかと思って聞き直したら、これがよかった。ソニークラークはやはり50年代を
代表するジャズピアニストで、なんともいえないグルーブ感がいい。ベース ポールチェンバース、ドラム
フィリージョージョーンズというマイルスグループのこれまた当代一流のリズムセクションだが、ここでは
ドラムのフィリージョーが結構自由奔放に叩いている気がする。やはりあちらではあの目に睨まれるのが
嫌で遠慮していたのかも。

平成二十年 7月の”お気に入りの一曲!”
J.コルトレーン作曲
「ジャイアント ステップス」

J.コルトレーンカルテット


ユーチューブにコルトレーンの演奏に合わせて音符が流れていく映像があると聞いて、アクセスしたら
やはりその流れに圧倒された。まだ初期の演奏だから音符に収まるのだろうが、それでも奔流のような
音符の流れはすごい。それにしてもユーチューブはあらゆるジャンルの音楽映像をそろえているが、これを
見だすときりがない。注意しないと。


平成二十年 6月の”お気に入りの一曲!”
ラベル作曲
「マ メール モア」
クリュイタンス指揮 パリ音楽院管弦楽団


バレーのための音楽らしいが、何となく楽しい楽曲。東洋的な旋律があったり、旅情を感じさせる。


平成二十年 5月の”お気に入りの一曲!”
J.コルトレーン作曲
「ジャイアント ステップス」
トリオ アコーステイック


中古CD屋で衝動的に買った1枚。ハンガリーのピアノトリオだが、やたら元気がいい。上記の
曲も疾走するように演奏されて、短いながらも迫力がある。ビルエバンスやモンクからボブデイラン
までアメリカ音楽をひとまとめにジャズ化したような、いかにも東欧らしい演奏で楽しめた。


平成二十年 4月の”お気に入りの一曲!”
ラベル作曲
「ボレロ」
クリュイタンス指揮 パリ音楽院管弦楽団


NHKの「名曲探偵」という番組で取り上げられていた。いろいろ趣向があるとは思っていたが
ここまで楽器の極限の演奏を強いられているとは知らなかった。クリュイタンスの指揮とこの演奏は
さすがに本家に相応しくテンポといい独奏といい文句がつけられない。


平成二十年 3月の”お気に入りの一曲!”
ブルッフ作曲
「スコットランド幻想曲」
ハイフェッツ(VN) 他 


ヴァイオリン協奏曲のような構成で、ハイフェッツのヴァイオリンがよく歌っている。
スコットランドという地も当時のヨーロッパから見れば辺境ということで、独自の音楽が受け継がれて
いるということなのだろう。むしろそうした音楽のほうがヴァイオリンには合っている。


平成二十年 2月の”お気に入りの一曲!”
ブラームス作曲
「交響曲 3番」
クレンペラー指揮 ウイーンフィル


ライブレコーデイングなので打楽器の音が大きく拾われてバランスのいい録音とは言い難いが
ブラームスの美しい旋律は心地良く響いてくる。4楽章それぞれに甘美なメロデーが取り入れられ、
続いて演奏されているベートーベンの7番より、聞き応えがある。


平成二十年 1月の”お気に入りの一曲!”
バルトーク作曲
「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」
F ライナー指揮 シカゴ交響楽団


新春早々バルトークだ。アヴァンギャルドとはあらゆるものを疎外しない、ということがひとつの
定義となると思うが、いろいろな楽器もしくは音の出るものを取り込んだ音楽というものが、荒唐無稽
にならず、情緒性を保持して万人の鑑賞に堪えうるというものはすごいと思う。


平成十九年 12月の”お気に入りの一曲!”
バラキレフ作曲
「イスラメイ」
ミハイル リッキー(P)


リストが練習のためにいつも譜面台に載せていたという難曲。しかし聞いていくと不思議な
感覚に捉われる。東方的な旋律ということもあるが、人の技術の最高峰までいくと、そこから
別の次元が開けてくるような気もする。今まで夢の中で音楽が聞こえる事はなかったが、この
曲は夢の中で聞こえてきた。魔曲という気がしないでもない。


平成十九年11 月の”お気に入りの一曲!”
ボブ マーレー作曲
「リデンプション ソング」

シンプルなイントロからギター1本で歌い出される親しみやすい歌声。「自由の歌」とも
「償いの歌」とも訳されそうだが、意味はわからなくとも何となく救いを感じる。日本の
カントリーの歌手がバンジョウでカヴァーした自主制作のCDがラジオで流されて、
改めてこの曲のよさがわかった。

平成十九年 10月の”お気に入りの一曲!”
シベリウス作曲
「カレリア組曲」
サージェント指揮 BBC交響楽団


北欧というと暗いイメージが先立つが、聞いていてうきうきする様な旋律。行進曲を聞いている
と、妖精たちが踊り出てくるような気分になる。

平成十九年 9月の”お気に入りの一曲!”
上方落語
「たちぎれ
 桂 文枝

文枝のCDがあったので、この演目なら間違いないと思って購入したが、やはり最高だった。
昭和60年録音ということで小文枝時代かもしれないが、脂の乗り切った艶やかな語り口。
この演目で、現役、いやこれから出てくるどんな落語家ももうこれ以上の出来は考えられない。


平成十九年 8月の”お気に入りの一曲!”
ボビー ティモンズ作曲
「モーニン」
アートブレーキー&ジャズメッセンジャーズ演奏


1950年代の珍しいライブの録画を放送していた。やはり録画であってもあの当時のいきいき
としたジャズの息吹が伝わってくる。特にこの曲はファンキージャズの定番。否が応でも体が
揺れる。

平成十九年 7月の”お気に入りの一曲!”
松任谷由実作曲
「青いエアメイル

テレビで今の旬のアーチストとユーミンが共演する番組の中で歌われていた曲。だいぶ古い
曲だが、少しも古さを感じさせないバラードの名曲。昔はよかった、というのは現役のアーチスト
には失礼になるのだろうが、どうしても同世代だけにこちらがCDを(またはレコードを)買っていた
頃の歌が印象に残る。

平成十九年 5月の”お気に入りの一曲!”
モーツアルト作曲
「交響曲 38番 プラハ」
アンノンクール指揮 ヨーロッパ室内管弦楽団


じつに締まった指揮でめりはりが効いて格調高い演奏。モーツアルトのオリジナルな小編成で
演奏するピリオド奏法というのがブームであったようだが、それだとかえって時代に束縛された
演奏になってしまいそうで納得行かなかったが、この演奏はよかった。それにしてもプラハの人
は幸せだ。こんな名曲をいただいて、うらやましい。

平成十九年 3月の”お気に入りの一曲!”
ベートーベン作曲
「交響曲 2番」
チェリビダッケ指揮 ミュンヘン放送交響楽団


この春「フルトベングラーとカラヤン」という本が評判になっていたので読んで見た。その中に
チェリビダッケも二人の間に少しだけベルリンフィルを振った指揮者として登場する。チェリビダッケ
は写真で見る外観からも、どちらかというと個性の強い一匹狼のようなイメージで正統派なベルリン
フィルというイメージはなかったが、そういう時期もあったのだろう。でこの演奏はおそらく彼の最晩年
の録音。亡くなる二ヶ月前くらいだから、だいぶ肉体的にはきびしいものがあっただろうが、じっくりと
腰を落ち着けた演奏だ。


平成十九年 3月の”お気に入りの一曲!”
桜井 和寿作曲
「しるし」
MR.CHILDREN


23歳の若さでガンで亡くなられた方が好きだったということで、通夜のときや出棺のときに
この曲がながされていた。去年放映されていたテレビドラマの主題歌だったのでよく耳にして
いたし、いい曲だったので印象には残っていたが、こういうシチュエイションでこの歌を聴くと
またメロディーや歌詞がより深い印象を残してくれる。


平成十九年 2月の”お気に入りの一曲!”

「デスペラード」
イーグルス


豪華キャストで高視聴率を稼ぐドラマにこのなつかしい曲が感傷的な場面のバックに流れる。
イーグルスの曲の中でスタンダードと言えるのはこの曲くらいか。いろんなアーチストがカバー
している。「Hカリフォルニア」はイーグルスのあの演奏を越えられない、ということは拡がりが
ないということにもなる。この曲はしんみりさせるにはもってこいだが、安易に出来合いの曲を
使ったり、展開が荒かったりでドラマの完成度はいまいちか。


平成十九年 2月の”お気に入りの一曲!”
モーツアルト作曲
「交響曲 35番 ハフナー」
クレンペラー指揮フィルハーモニア交響楽団


クレンペラーの35,40,41番のお買い得CDのなかでこの曲が一番風格があったような気がする。
この並びであれば一番地味になりそうな曲だが、一楽章から堂々たる響き。緩急自在にその曲を
自分の芸術に引き込んでいく指揮者の力量に脱帽。最近は原曲に忠実にということでせからしい
テンポでこじんまりとした演奏が流行りということだが、やはりスケールを膨らまして壮大な演奏という
方がいいと思うのだが。

平成十九年 1月の”お気に入りの一曲!”
チャイコフスキー作曲
「ピアノ協奏曲 1番」
リヒテル(P)カラヤン指揮ウイーン交響楽団

下記の曲とおなじCDに入っている、これも押しも押されもせぬピアノコンチェルトの定番だが
今まで聞いてきた演奏とは一味も二味も違う。例えていうなら高速道路を150キロで飛ばすとして
2000CCのエンジンの車と、4000CCのエンジンを積んだ車との走りの違いのようなものだ。
といっても後者の車には乗ったことはないが、ゆとりというか音楽の幅が違う。テクニックや体格
それに人間的な深みも投影されてくるのだろう。カラヤンのバックもチャイコは得意とするところ
だけにそつがない。

平成十九年 1月の”お気に入りの一曲!”
ラフマニノフ作曲
「ピアノ協奏曲 2番」
リヒテル(P) ワルシャワフィル

誰もが一度聞いたら忘れる事のないような名曲だが、それだけにだれの演奏でも同じようなもの
と思っていたら、このリヒテルの演奏を聞いてその雄大さに感動した。他のピアニストの演奏が
全く色あせたものになるくらい力強さといい、緩急といい芸術性といいすべてに超越している。
リヒテルはだいぶ昔、ピアノの聖書といわれるバッハの平均律を聞いたことがあったが、当時はその
すごさがわからなかった。このロシアの作曲家の名曲の演奏を聞いて、やはり巨匠であったという
ことを身をもって知らされた。

平成十八年12月の”お気に入りの一曲!”
ショスタコービッチ作曲
「交響曲 5番」
ムラビンスキー指揮 レニングラードフィル

革命という名前をもつソ連時代を代表するような曲。ピアノをはじめあらゆる楽器を用い、勇ましい
ところは精一杯勇ましく、まさに統制社会の音楽という気がする。いつごろの録音かわからないが
ライブ音源で、有名な第4楽章のあのテーマが想像していたよりかなりアップテンポなような気が
した。ソ連の崩壊が近いということを予言した、というのはうがちすぎか。もうこのソ連を代表した
オケもその名は歴史上に止めるだけとなってしまったが。

平成十八年12月の”お気に入りの一曲!”
ベートーベン作曲
「交響曲 4番」
クレンペラー指揮 ベルリンフィル

60年代のライブ録音。ベートーベンの4番は以前から好きだったが、この演奏の迫力には驚いた。
第1楽章のはつらつさにはまさに”芸術は爆発だ!”という感がする。同時期にバイロイト祝祭オケの
ライブもあるようだがそちらも一度聴いてみたい。もっともいずれも5番とカップリングなのでそちらが
ちょっとしんどいのだが。

平成十八年11月の”お気に入りの一曲!”
パガニーニ作曲
「ヴァイオリン協奏曲1番」
サラ チャン(VN)サバリッシュ指揮 フィラデルフィア管弦楽団

天才的ヴァイオリニストの自分が目立ちたいが為の技巧を凝らしたコンチェルト。しかしこの曲は
聞いていても楽しめる。何でも当初はヴァイオリンを際立たせるためにオーケストラよりも
半音高い音で演奏したと言われているが、音響設備の整った現在では同じ調子で演奏される。
しかし一人だけピッチがずれたような演奏で違和感がなかったのだろうか。一度パガニーニと同じ
やりかたで演奏されたものを利いてみたい気もする。


平成十八年11月の”お気に入りの一曲!”
W.モンゴメリー作曲
「キャリバ」
W.モンゴメリー(G)ジョニー グリフィン(S)W.ケリー(P)他

Wモンゴメリーの代表作「フルハウス」の中の一曲。グリフィンのサックスもよくや、リズムセクション
を抜いたWケリーとのかけあいなど聞き所が多い。しかもライブの臨場感があってモンゴメリーの
ブルージーなギターテクも冴え渡り、ゴキゲンな一枚。とくにこの曲はラテンフレーバーもあって楽しい。

平成十八年10月の”お気に入りの一曲!”
ベートーベン作曲
「交響曲 5番」
クレンペラー指揮 フィルハーモニアオーケストラ

テレビで音大生のドラマをやっていて、ということで7番をとりあげたら、去年ここに書いていた
ことがわかって後から変えさせてもらいました。5番がカップリングされているのだけれど、どうも
そのサブタイトルのイメージが重すぎて好きにはなれない。出だしのところのテンポは指揮者に
よってだいぶ異なるようだが、クレンペラーはそんなに重々しくしてないので聞きやすい。

平成十八年10月の”お気に入りの一曲!”
メンデルスゾーン作曲
「真夏の世の夢」
クレンペラー指揮 フィルハーモニアオーケストラ

クレンペラーのメンデルスゾーンは気合が入っていると言うか、情緒性が実に豊かで聞き応えが
ある。妖精の歌のところの美しさは、こころが洗われる思い。

平成十八年9月の”お気に入りの一曲!”
ジョニ ミッチェル作曲
「ウッドストック」
ジョニ ミッチェル・CSN&Y

キャロルキングを聞いていたら、この時代を代表する女性シンガーソングライターのジョニミッチェル
を聞きたくなって、ついベスト盤を買ってしまった。キングと違って繊細な声でシンプルな生ギターだけ
の伴奏で、しかしよかった。特に歌詞はジョニの方がメルフェンチックで時代を髣髴させる。この歌も
初めての野外でのロックコンサートを題材にしたものにしては、実に静かな名曲。歌詞の中で「兵士が
ショットガンを空に向かって撃ったら、弾丸がチョウチョウに変わって世界を覆い尽くした。」というところが
70年前後の時代の風潮を見事に切り取っている。


平成十八年9月の”お気に入りの一曲!”
レスピーギ作曲
「ローマの松」
オーマンディ指揮 フィラデルフィア交響楽団

情景を音楽に写し取るようなガイドブック的管弦楽曲。この手の曲はわかりやすいが音楽と
しての芸術性に欠けるのではないかという先入観があって敬遠してきたが、聞いてみたら
結構楽しめた。一つ一つの曲が短いので深みはないが、工夫を凝らした民芸品的な味わい
があった。


平成十八年8月の”お気に入りの一曲!”
古典落語
「火焔太鼓」
   古今亭志ん生

音楽ではないが、この夏車の中でよく聞いた演目。語り口はスムーズとはいかないが、独特の
テンポと間。これが全く余人がまねできない。むかし米朝師匠が先輩か師匠に言われたそうだが
「努力すれば文楽師匠には近づけるが、志ん生には絶対なれないよ。」という言葉はまさにその
通り。本当の天才とはこういう人のことだろう。

平成十八年8月の”お気に入りの一曲!”
ショパン作曲
「ピアノ協奏曲 1番」
デュトワ指揮 モントリオールフィル  アルゲリッチ(P)

第一楽章の最初から胸を打つ名曲。この曲はゲルマン系の演奏よりラテン系の演奏者が相応しい
ような気もする。理詰めで演奏しようとすると、このなんともいえない甘ったるさというか自己耽美的
熱情が空虚なものになりそうな気がする。この曲は思いっきりこの世界に浸りきる開き直ったような
力強さが必要だ。

平成十八年7月の”お気に入りの一曲!”
バルトーク作曲
「ヴァイオリン協奏曲 2番」
ラトル指揮 バーミンガム市交響楽団  キョンファ(VN)

バルトークは前衛的でありながら、旋律は民族的な哀調を帯びた心にしみこんで来る曲が多く、
このコンチェルトもそうした一曲。そしてこういう曲になればキョンファの演奏が冴える。

平成十八年7月の”お気に入りの一曲!”
ステファン スティルス作曲
「キャリー オン」
CSN&Y

何十年ぶりかでCSN&Yを聞いたが、懐かしいのと今でも色あせない見事なハーモニーとで改めて
この手だれたちの技に感動した。特にこの曲はハモリがすごい。とても一時的に寄せ集まったとは思えない。
最近の音楽事情は全くわからないが、この時代は個性あふれる一匹狼たちがいろいろな組み合わせで
素晴らしい音楽を生み出していた。まあ古いといえば古いのだろうが、一番感受性の豊な時に出会った
音楽はいつまでも心の底に残っている。

平成十八年6月の”お気に入りの一曲!”
ジョルジュ ムスタキ作曲
「ミロール」
エディット ピアフ

ピアフにしては軽快でノリのいい曲。「私の孤独」などの名曲を独特のやさしい歌声で届けてくれた
ムスタキが若い頃にピアフに提供した曲、というより大歌手であるピアフが若手作曲家の曲を
取り上げたというのが正しいだろう。大歌手というのは晩年の美空ひばりが小椋佳の曲を歌った
ように、常に新しい才能を育てている。それが名曲を生み、大歌手としてのステイタスを保つ
ための必須用件なのだろう

平成十八年6月の”お気に入りの一曲!”
バルトーク作曲
「ピアノ協奏曲 3番」
デュトワ指揮 モントリオールフィル  アルゲリッチ(P)

バルトークの白鳥の歌となった曲で、3楽章は弟子による補作だが、1,2楽章の美しさはそういう
未完の不満を感じさせない。前衛というよりはむしろ古典的な味わいで、ミクロコスモスのような
ピアノの名曲を生み出した作曲家らしい堂々としたピアノコンチェルト。アルゲリッチのピアノもさすが
というしかないほど、この曲の美しさを奏してくれている。2楽章の宗教的静けさともいうべき曲調が
稀代の波乱に富んだ大作曲家の最晩年を思わせてくれる。


平成十八年5月の”お気に入りの一曲!”
キャロル キング作曲
「ウィルユー スティル ラブ ミー トゥモロウ」
キャロル キング(VO)

なつかしのアルバム「つづれ織り」の一曲。30数年ぶりに聞いたが、名曲ぞろいであらためて感動した。
この曲は聴いた瞬間、これは浜省だ、と驚いた。別にいま画壇でいわれているようなことではなく、ともに
名曲だから何ら問題はない。こうしてメロデーは30年の時をタイムワープさせてくれる。


平成十八年5月の”お気に入りの一曲!”
モーツアルト作曲
「フルートとハープのための協奏曲」

いかにも古典室内楽といった楽器の組み合わせだが、二つの楽器の掛け合いのところは実に優雅で
美しい。フルートの得意な貴族の令嬢の結婚式のために書かれたそうだが、天才はそんなやっつけ仕事
でもいいような時でも見事な芸術作品を残してくれている。才能が有り余っているといってしまえばそれまで
だが、サリエリのやっかむ気持ちも判るような気がする。


平成十八年4月の”お気に入りの一曲!”
キャロル キング作曲
「ナチュラル ウーマン」
アレサ フランクリン(VO)

R&Bのベスト盤みたいなCDに入っていた曲。確かキャロルキングの「つづれ織」にはいっていた曲。
このところ無性にキャロルキングが聞きたくなっていたところでこの曲を耳にした。アレサが歌うとソウル
っぽくなるが、さびのところのキャロルキングらしさは泣かせる。まさに今月のお気に入りの一曲。


平成十八年4月の”お気に入りの一曲!”
シューベルト作曲
「弦楽四重奏曲 13番」
アルバンベルク カルテット

シューベルトらしい美しい旋律の室内曲。2楽章のロザムンデの旋律が印象的。こういう美しい
旋律を思いつくといろいろなところで使いたくなるのだろう。強烈に心を揺さぶるというタイプの曲
ではないが、運転でストレスがたまったときには心安らぐ一曲。


平成十八年3月の”お気に入りの一曲!”
「ケアレスラブブルース」
ベッシー スミス(VO)

ビリーホリデーもあこがれたという元祖ブルースの女王のベスト盤を中古で購入。古い録音のものなので
そのままでは雑音がひどいだろうから今まで敬遠していたが、デジタルリマスタリングされてあったので買ってみたら
実に聴きやすく、ローリング20’の雰囲気。車で聞くとT型フォードに乗っているような気分。他にもST.ブルースや
アレキサンダーラグタイムバンドなど聞き覚えのある楽しい曲のオリジナルが聴けてよかった。


平成十八年3月の”お気に入りの一曲!”
メンデルスゾーン作曲
「弦楽八重奏曲」


Wカルテットという珍しい編成の曲。16歳という若さで作曲した曲らしいが、随所にメンデルスゾーンらしい
美しい旋律がちりばめられ、さすが天才は違うと頷かざるを得ない。天才と言っても例えばベートーベンのように
弁証法的に作品が加齢とともに止揚していくタイプもあれば、メンデルスゾーンのように初めから高い水準のまま
高値安定しているタイプもあるように思う。ともかくメンデルゾーンの肩に力の入らない作品は車で聞くには丁度いい。


平成十八年2月の”お気に入りの一曲!”
ブラームス作曲
「交響曲 1番」
セル指揮 クリーブランドフィル

ブラームスの1番は以前から聞いていたが、シンフォニーの1番ということで気負いすぎているのではという
気がして敬遠気味だった。しかし教育TVでの演奏を聞いて、やはり完成度の高い名曲であることを再認識した。
太鼓のリズムで引っ張っていく導入部から、ブラームスらしい親しみやすいメロデーで引き付ける4楽章まで、
想を尽くして仕上げられた感がある。クラシック中のクラシックというところか。


平成十八年2月の”お気に入りの一曲!”
モーツアルト作曲
「ホルン協奏曲 3番」
カラヤン指揮 ベルリンフィル ゲルト ザイフェルト(ホルン)

生誕250年ということでもう一曲。当時のホルンは今のものと構造的に違うらしいが、全曲明るい親しみやすい
旋律で車で聞くにはちょうどいい。特に3番の第1楽章のメロデイーは心地良い。モーツアルトは協奏曲を
親しいホルン奏者のために書いたそうだが、その人間関係がしのばれるような曲調だ。


平成十八年1月の”お気に入りの一曲!”
モーツアルト作曲
「オペラ 魔笛」
C デイビス指揮 

モーツアルト生誕二百五十年ということでまず「魔笛」でようやくオペラ初体験。
このオペラを素材にした山田正紀の小説を読んだので筋書きがわかりやすいので最初に観賞した。
さすがに序曲から歌われる曲も名曲ぞろいで堪能した。フリーメイスンの教義がちりばめられていると
いうことだったが、モーツアルトは会員でありながら本当は自由なパパゲーノに自分を投影したかったのでは、
そう受け止められるところから結社による暗殺説もでてくるのだろう。脇役のパパゲーノの歌もよかった
し、夜の女王のアリアも音楽的にも素晴らしい。それだけに拉致した方のオッサンが正義だったという結末は
疑問。


平成十八年1月の”お気に入りの一曲!”
フレスコバルディ作曲
「パレットという名のアリア」
コープマン(Or)

バッハに影響を与えたという中世のオルガン曲。シンプルだがそれゆえに直接的に伝わってくるもの
がある。オルガンの音色はこころを落ち着かせるような響きがある。それにしても日本では関が原の頃に
ヨーロッパではこういう音楽が奏でられていた、どちらがどうということではなくそれらが同時代であるという
ことが面白い。


平成十七年12月の”お気に入りの一曲!”
シュワルツ作曲
「あなたと夜と音楽と」
ビル エヴァンス(p)P.ジョー ジョーンズ(ds)P チェンバース(b)

エバンスのマイルスグループ時代の演奏。このあとの「ポートレイト イン ジャズ」のような
完成された演奏ではないが、化けきる前の試行錯誤しているようなところが新鮮な感じ。それよりも
この曲の題名がいい。いくら演奏としては格段素晴らしくとも「いつか王子さまが」では字面がいまいち。


平成十七年12月の”お気に入りの一曲!”
リスト作曲
「愛の夢」
シフラ(p)

おなじみの名曲。リストのピアノ曲のCDの一曲だが、この作曲家は精神性にあまりこだわら
ない感じがいい。純粋に音を楽しむというか、思いのままに音を踊らすというところが楽しい。


平成十七年11月の”お気に入りの一曲!”
チャイコフスキー作曲
「序曲 1812年」
カラヤン指揮 ベルリンフィル

勇ましい曲で大砲の音も最後の方で入ってくる。こういう愛国心あふれる曲が書かれるというところが
この作曲家らしいところか。わかりやすい曲だがロシア人以外は共感しにくいという気もする。

平成十七年11月の”お気に入りの一曲!”
カーペンター作曲
「ウォーキン」」
M デイビス(tp)ウイリアムス(ds)ハンコック(p)

「フォア アンド モア」のライブ感あふれる演奏。原曲のゆったりした”歩く”というのでなくこれは
”ランニング”のテンポ。かなりドラムのテンポが突っ込んでいる感じ。この演奏はすばらしいが、このあと
あまり名演に加わっていないことをみると、いささか走りすぎのドラミングだったのか。


平成十七年10月の”お気に入りの一曲!”
メンデルスゾーン作曲
「ピアノ三重奏曲1番」
グールドトリオ

廉価版なので演奏者のプロフィールはわからないが、メンデルスゾーンらしいメロデーの美しい
名曲。


平成十七年10月の”お気に入りの一曲!”
ロリンズ作曲
「セント トーマス」
ロリンズ(TS)ローチ(ds)フラナガン(p)ダグワトキンス(b)

名盤「サキソフォンコロッサス」の一曲。カリプソのリズムが軽快で音を楽しむというかんじが
ストレートに伝わる名曲。ローチのドラムが最高。C.ブラウンとやっている時よりノリがいいと
思えるのは、この曲のせいか。


平成十七年9月の”お気に入りの一曲!”
ベートーベン作曲
「ピアノ三重奏曲2番」


あまり聞かれる事の無い曲だが、こういう曲のほうがそれぞれのパートがしっかり聞き分けられて
判りやすい。この曲の第二楽章のメロデーは美しい。ひょっとしたら他でも使われているのかもしれ
ないが、こうした構成のシンプルな演奏は人間の心の奥底に伝わってくる。


平成十七年9月の”お気に入りの一曲!”
シベリウス作曲
「フィンランディア」
チェコフィル

作曲者の思い入れの大きい曲で、代表曲といわれることもあるが、どうもそうは思えない。短い曲に
起承転結があり、勇ましいメロデイーだが、シンフォニーやVNコンチェルトのほうが聞き応えがある。
ただ祖国(フィンランド)の世界史的状況を把握していないので、そのへんの深読みがあれば違って
聞こえてくるのかも。


平成十七年8月の”お気に入りの一曲!”
「ロングトレインランニング」
ドウビーブラザーズ

お盆の時に、ちょっと景気のいい曲も聞きたくなるかも、と思って6年以上前に買ったCDを持ち込んだ。
ベスト版なのでこれまでは「チャイナグローブ」のほうが気に入っていたが、この曲の洗練された音が
気に入ってきた。FMでもドウービーでよくかかるのはこの曲。時代に色あせない曲ということか。


平成十七年8月の”お気に入りの一曲!”
「プロミス」
ジョン マクラフリン(g)J ベック、マイケル ブレッカー他

マクラフリンの様々なセッションからよせ集めてきたようなアルバム。しかしジャズの名曲「ジャンゴ」を
ベックとロック風に演奏したかと思うと、シタールとの共演あり、パコデルシアなどとのアコーステックの
ぶつかり合いがあり、ホーンも入ったジャズのプロヴィゼイションもあったりで楽しめた。ドラムがこの前
観てきたサンタナらのコンサートに出ていた デニス チェンバースだった偶然もあり、あらためてあの
コンサートのドラムを思い出した。


平成十七年7月の”お気に入りの一曲!”
マーラー作曲
「さすらう若人の歌」
F ディースカウ(br)フルトベングラー指揮 

あまり歌曲集は聞いたことがなかったが、演奏メンバーにつられて買った。ドイツロマン派臭が濃厚な作品
だが、聞き覚えのあるメロデーもあり、よかった。ディースカウの歌も、「冬の旅」で聞いていたものより若い
頃のようだけに、初々しさがあるように思えた。マーラーは交響曲より歌曲くらいの方が自分にはあっている。

平成十七年7月の”お気に入りの一曲!”
「ベスト オブ チェットベイカー シングス」
チェット ベイカー(VO)チコ フリーマン(P)他

中古CD屋で3桁の値段だったのでつい買ってしまった。ジャズのスタンダードナンバーのボーカル入り
が聞けるというくらいの期待度だったが、薄ら寒くなるようなボーカルは夏場にピッタリ。お買い得だった。

平成十七年6月の”お気に入りの一曲!”
シベリウス作曲
「交響曲第6番」
H.カラヤン指揮 ベルリンフィルオーケストラ

最初から心洗われる様なメロデー。それでも従来のシンフォニーの形式を変えているという事だから
「美しきアヴァンギャルド」といったところか。第4楽章の最初のところは、以前違う曲で聞いたような
気がするのだが思い出せない。北欧の美学が感じられる曲。


平成十七年6月の”お気に入りの一曲!”
「スタディー イン ブラウン」
ブラウン ローチクインテット

クリフォードブラウンを代表する一枚。モダンジャズの名盤に必ず入る素晴らしい演奏。ブラウンの
歯切れのよいラッパが、縦横に響き渡る。マックスローチのドラムもいいが、それよりテナーの
ハロルドロイドが素晴らしい。まあ他のグループでの演奏はあまり聞かないから、このグループが
実によかったということか。


平成十七年5月の”お気に入りの一曲!”
ベートーベン作曲
「交響曲第7番」
O.クレンペラー指揮 フィルハーモニアオーケストラ

ベートーベンの奇数番では7番が一番好きだ。というか他のは疲れる。このCDも5番とのカップリングだが
こちらの方を聞いてしまう。演奏も重厚になりすぎず、しかし風格を充分感じられる。


平成十七年5月の”お気に入りの一曲!”
フッカー作曲
「ブーム ブーム」
D.バード(tp)H.ハンコック(p) 他

ファンキージャズのお気に入りだったアルバム「アップ ウイズ ドナルドバード」からの一曲。コーラスも入った
ノリのいい楽曲が続く。特にこの曲は25年くらい聴いていなかったにもかかわらず、耳の底に留まっていたほど。
ただ聞きなおしてみて思ったのは、何れの曲もフェードアウトになっている。これは昔のレコード盤の時間の限界
があったからこうした編集がされたのだろうが、今となってはこのあとどんなアドリブがあるのかと気になってしまう。


平成十七年4月の”お気に入りの一曲!”
モーツアルト作曲
「ピアノ協奏曲23番」
F グルダ (P)アンノンクール指揮  アムステルダムコンセルトヘボー

この月はモーツアルトのピアノコンチェルトをいろいろ聞いてみたが、この演奏がよかった。実は中古CD屋で300円
だったのであまり期待していなかったが、録音もまずまずカーステには充分で、演奏もよかった。グルダのモーツアルト
は定評があるところだが、アンノンクールの指揮もテンポもモーツアルトらしい。以前日本人には本当のモーツアルトは
振れないと読んだ事があるが、どこかそんな記事を思い浮かばせるようなモーツアルトだった。


平成十七年4月の”お気に入りの一曲!”
「ニュームーンドーター」
カサンドラ ウイルソン (VO)

NHKFMでワールドミュージックの番組があり、土曜の午前という時間だがその時間車に乗っていれば、楽しみ
に聞いている。その番組のDJがピーターバラカンという人で、その人がこのアルバムのライナーノーツを書いていた。
J コルトレーンのヴィレッジバンガード、B マーリーのキャッチザファイアー、B ホリデーの初期のアルバムに匹敵する
衝撃、と書いてあったので、つい買ってしまった。何回か聞きなおしたが、これのどこが、という感は否めなかった。個性的
ではあるがインパクトに欠ける。まあ売れるように書かれるのが紹介文の極致だとすれば、これはまさにその典型。


平成十七年3月の”お気に入りの一曲!”
M.ジャクソン作曲
「バグズグルーブ」
M.デイヴィス、M.ジャクソン、ソニー ロリンズ 他

輸入盤で購入したが、ジャケット裏のメンバーの名前にはピアノはホレス シルヴァーしか入ってなかったが、
ジャケット表にはセロニアスモンクの名前があった。これはマイルスとモンクのいわくつきのアルバムだけに
はっきりしない。モンクのピアノのほうが面白いがマイルスにとってこれは気に入らないだろう。ロリンズのサックス
がよかった。

平成十七年3月の”お気に入りの一曲!”
ドヴォルザーク作曲
「弦楽セレナーデ」
クーベリック指揮  イギリス室内管弦楽団

大変美しいメロデーが心を癒す。魂に響いてくるようなパンチ力はないが、ひたすら心地良い。
特に第4楽章は心に染み入ってくる。こういう単純な曲は車で聴くにはもってこいだ。


平成十七年2月の”お気に入りの一曲!”
「リラクシン」
マイルス デイヴィス クインテット

JAZZのアルバムで最初に買ったレコード。CDで買いなおして聞いたら、最初の”刷り込み”が
効いているのか、実によかった。マイルスのミュートが一番冴えているのは印象にあったが、駆け込み
録音の緊張感が、5人の絶妙の掛け合いを醸し出している。P.チェンバースのベースが弾んでいる。

平成十七年2月の”お気に入りの一曲!”
モーツアルト作曲
「ピアノ協奏曲27番」


20番、21番というところがピアノコンチェルトではよく聞かれるが、最晩年の27番が気に入っている。
特に第二楽章の静かなゆったりとしたメロディーは胸に沁みこんでくる様で、感傷的にさせてくれる。


平成十七年1月の”お気に入りの一曲!”
ドヴィッシー作曲
「子供の領分」
アレキシス ワイセンベルグ(P)

楽しいメロデイーの並んだピアノ曲集。ちょっと東洋的なものもあり、それが琴で演奏されているのを
TVで聞いて、少しも違和感がなかった。和風のシーンのBGMに使われてあったのだが、それを聞いて
その曲の作曲者がフランス人とわかる人はどれだけいるだろう。

平成十七年1月の”お気に入りの一曲!”
シューベルト作曲
「交響曲第8番 未完成」
クレンペラー指揮  バイエルン放送交響楽団

昔のレコードに「運命」「未完成」というカップリングがよくあって、その字面がいかにも意味ありげな
組み合わせだと思ったものだ。もっとも曲のスケールはだいぶ違ったが。普通なら最後にくるフィナーレ
のような楽章がない分、しりきれとんぼのようにも感じられるが、逆にそこにどんな音楽が描かれたのか
という想像も膨らまされる。

平成十六年12月の”お気に入りの一曲!”
フォーレ作曲
「パヴァーヌ」
マリナー指揮 ロイヤルフィル

今年は最初もフォーレの美しい曲であったので最後もそれに劣らぬフォーレの名曲
で締めよう。歌付きのものだが、哀愁をおびた心にしみわたる美しいメロディー。
今月車の中で何度しんみりと聞いた事か。

平成十六年12月の”お気に入りの一曲!”
フォーレ作曲
「マスクとベルガマスク」
マリナー指揮 ロイヤルフィル

序曲が楽しい。これからどんな物語が始まるのかウキウキした気分。ドイツオペラの
重々しさとも、イタリアオペラの職人技とも違うフランス独特の優美さを感じる。

平成十六年11月の”お気に入りの一曲!”
モーツアルト作曲
「ピアノソナタ11番」他
グールド 演奏

グールドのモーツアルトはどうかと楽しみにしていたが、どうもバッハの時のような躍動が
かんじられない。まあバッハと違ってこちらははじめから躍動感がある曲だから、逆手をとりにく
かったのかもしれないが、有名な11番をどう料理してくれるかと思ったら意外に普通な感じ。
ちょっと拍子抜けした。

平成十六年11月の”お気に入りの一曲!”
ブラームス作曲
「交響曲 第4番」
ケンペ 指揮 ミュンヘンフィル

サガンの「ブラームスはお好き」という小説があったように思うが(映画の題名だったか)、
この第一楽章の出だしもなかなか甘い調べだ。だいたいブラームスのシンフォニーは随所に
素晴らしいメロデーラインが登場するが(いろいろなところから拝借してきたという噂も)、全体的
なまとまりというか芯を貫くテーマというのがわかりづらい。

平成十六年10月の”お気に入りの一曲!”
「オラトゥンジコンサート」
ジョン コルトレーン 他

コルトレーン最後のコンサートのライブ録音。これはすごすぎる。車で一人で聞くのは
危険だ。それだけ強引に引きずり込む圧倒的パワーと、現実を転倒させるような強烈な
エモーションが爆発している。人生の最終局面でこの演奏には恐れ入る。

平成十六年10月の”お気に入りの一曲!”
シベリウス作曲
「交響曲 第2番」
レヴァイン 指揮 ベルリンフィル

シベリウスのシンフォニーは叙情性豊かで、この曲などはベートーベンの6番のような
趣きがあるように感じられる。レヴァインのタクトは得意の歌劇の序曲のように、物語の
始まりのような弾んだ気持ちに誘ってくれる。

平成十六年9月の”お気に入りの一曲!”
マーラー作曲
「交響曲第1番巨人」
ショルテイ 指揮 シカゴフィル

かなり物語性の強い交響曲。マーラーでもこの曲はわかりやすい。
特に第3楽章は舞楽の「還城楽」などで用いられる『乱序』とそっくり
な気がする。マーラーは東洋趣味もあったようだから、雅楽も聞いていたのかもしれない。

平成十六年9月の”お気に入りの一曲!”
シベリウス作曲
「交響曲第5番」
レヴァイン 指揮 ベルリンフィル

何となく大自然の雄大さを感じさせるスケールの大きな曲。特に最終楽章の管が奏するゆったりした
力強い旋律は、北欧のフィヨルドの風景を思い起こさせる。フィンランドにフィヨルドがあるかどうかは
知らないが・・・。


平成十六年8月の”お気に入りの一曲!”
ドヴォルザーク作曲
「交響曲第9番『新世界より』」
セル 指揮 クリーブランド交響楽団

ベートーベンの6番とともに、小さい時にクラシックの素晴らしさを教えてくれた曲。子供の時に
聞いた時は壮大なイメージがあったが、今聞いてみるとこじんまりした感じがする。ただ旋律の
美しさは少しも色あせない。演奏もこのオケの一番充実していた頃のものだけに、引き締まって
聞き応えがある。懐かしさを感じた一曲


平成十六年8月の”お気に入りの一曲!”
「自由(freedom)」
女子十二楽房

中国のCD屋で10元(約140円)で購入した。TVなどで容姿を拝みながら聞くのは
いいが、CDまでは買う気にはなれなかったが、本場でこの値段なら、ということで
買った。デビューアルバムと思うが、まあBGMで聞くには悪くない。ということでこの一曲。


平成十六年7月の”お気に入りの一曲!”
「フリー ジャズ」
オーネット コールマン 他

オーネットとドルフィーがそれぞれ変則カルテット(tp,b,ds)でのまさにフリーな演奏。
テーマらしきものはあるが殆どアドリブの応酬。実験的な域を出ないような気もするが
スコットラファロがベースにはいっていたり、FハバードとDチェリーのペットがなかなか
よかったりしてそれなりに楽しめた。

平成十六年7月の”お気に入りの一曲!”
 モーツアルト作曲
「弦楽四重奏曲 22番」

プロシア王セットと言われるカルテットの2番目。晩年の作品だが、弦四の最高傑作か。
十代の頃のミラノセット、ウイーンセット、充実期のハイドンセットと較べても、らしさには
少しも衰えが無い。最後の23番はさすがに凡庸になったような感じだが、この曲は  らしい。

平成十六年6月の”お気に入りの一曲!”
 山下 達郎曲
「潮騒」

車の中では殆どCDしか聞かないが、唯一必ず聞いているFM番組が日曜の山下達郎の番組だ。
思いもかけないような50年代、60年代のアメリカンポップが聞けたりする。べたな曲リクエスト大会
のようなプログラムの時に、久しぶりにこの曲を聞いた。死ぬまで心に止まるような自分にとっての
永遠のスタンダードだ。

平成十六年6月の”お気に入りの一曲!”
J.S.バッハ曲
「無伴奏ヴァイオリン パルテイータ第2番」
メニューイン (VN)

最終楽章にシャコンヌのあるバッハの名曲。メニューインの演奏は些かべとっとした粘着性
のある演奏のようにも聞こえたが、風格はある。超絶的技巧を要するこの曲を音楽性豊に
演奏できるかでVN奏者の腕前がわかる。

平成十六年5月の”お気に入りの一曲!”
プロコフィエフ 作曲
「ヴァイオリン協奏曲第2番」
ハイフェッツ (VN)ミュンシュ指揮ボストン交響楽団

プロコフィエフといえば、一昔前までは「ピーターと狼」くらいしか知らなかったが
この曲も親しみやすいメロデイーに現代的な奏法を組み入れた名曲。それをハイフェッツの
超絶的技巧が引き立たせる。同時代を生きた二人の天才のコンビネーションが名演を生み出した。

平成十六年5月の”お気に入りの一曲!”

「YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS」
エリック ドルフィー「ラスト デイト」より

このアルバムがドルフィーを代表するものとはいえないが、この曲に関しては、珍しいフルートでの
プレイということもあり、ドルフィーらしさを感じさせる名演だ。

平成十六年4月の”お気に入りの一曲!”

「ミスター ボージャングル」
ニッテイグリテイダートバンド

最近車のCMで流れているなつかしいナンバー。NGDBはブルーグラス系のバンドだが、この曲は
唯一のポップス調の名曲だ。この曲の入ったアルバム「アンクルチャーリーと愛犬テディ」は名盤で
「プー横丁の家」などのポップス調からブルーグラスのインストまで楽しめる。古きよきアメリカ音楽。
この曲はどっかのおじいさんがハーモニカ(味のあるへたくそさ)を吹いて、それに愛犬が合わせて?
ほえるというところから始まる。

平成十六年4月の”お気に入りの一曲!”
シューマン 作曲
「交響曲1番 春」
クーベリック指揮 バイエルン放響

第一楽章のテーマで”春”を感じさせてくれる曲だ。しかもきわめてドイツ的な春を。
ベートーベン始めドイツの作曲家はあまたの名曲を残しているが、ドイツ的な雰囲気というものが
あるとすれば、シューマンの曲に一番それが感じられる気がする。しかもそれは例えばベートーベン
のように全世界にひろがりを持つようではなく、世界を睥睨するようなある意味閉鎖的な、後年の歴史
を作り出した優越感をもったゲルマン精神をシューマンの特に交響曲に感じられる。それでも心地良く
聞いてしまうのは、芸術のすごさか、優越感への共感か。


平成十六年3月の”お気に入りの一曲!”
ホルスト 作曲
「組曲 惑星」
ロリン マゼール指揮 フランス国立管

一番有名な「木星」のメロデーに歌詞をつけた歌が、好評のようだ。確かにこの曲は「木星」で
もっているような曲で、他はゲーム音楽のようなかんじであまり聞かなかったが、改めて聞いてみると
天王星あたりも面白い。じっくり聴く曲ではないが、車で流すにはいいかんじではないだろうか。


平成十六年3月の”お気に入りの一曲!”
モーツァルト 作曲
「弦楽四重奏曲 14番」


モーツアルトの弦楽四重奏曲のハイドンセットといわれるもの。演奏者は輸入盤で記載はある
のだが、ちょっと読めなかった。ただ演奏者につづいて「クレモナ 1870」とあるので、使用された
楽器まで記載してあるのは、いかにも輸入盤らしい。曲は第一楽章から引き込まれていくような
美しい旋律だ。交響曲なら楽器編成で時代の制約を受けるが、弦楽四重奏曲ならハイドンから
バルトークまで同じ土俵で争える?時の流れに風化しないまさにこれぞ”クラシック”。


平成十六年2月の”お気に入りの一曲!”
 バーリン作曲
「チーク トウ チーク」
フレッド アステア 歌 映画「トップハット」より

クラシックが続いたので、ちょっと毛色を変えて。映画が夢物語を見せるものだとすれば、この
映画でこの歌が歌われるダンスシーンこそその真骨頂だろう。「グリーンマイル」では死刑囚が
最後の願いとしてこの映画を観賞し、W アレンの「カイロの紫のバラ」ではミア ファーローが
輝きに満ちた瞳がスクリーンに釘付けになる。黒澤や小津ではこんな夢は描けないし、現代のアメリカ
ラブコメデイでもこんな晴れやかな夢は見せてくれない。映画史に残る名場面を飾る名曲!


平成十六年2月の”お気に入りの一曲!”
チャイコフスキー作曲
「ヴァイオリン協奏曲」
フリッツ ライナー指揮 シカゴ交響楽団 ヤッシャ ハイフェッツ(VN)
シャルル デユトワ指揮 モントリオール交 チョン キョンファ(VN)

ハイフェッツは20世紀最高の技量のヴァイオリニストだということは
ベートーベンの協奏曲などを聞くと納得できる。ただしVN協の場合、ちょっと歌わせるような
悪く言えばあざとさ、よくいえば感情のこもった演奏が要求される。チャイコンの第一楽章などその典型
なのだがハイフェッツは15分半くらいで演奏している。まあこれは指揮者の影響もあるだろうが、チョンの
演奏は18分強でこぶしをうならせるように歌い上げている。(あまりほめ言葉にはならないが)
好き嫌いはあるだろうが、この曲もチョンだ。

平成十六年2月の”お気に入りの一曲!”
チャイコフスキー作曲
「交響曲4番」
カラヤン指揮 ベルリンフィル

2時間ドライブすることがあって、カーステにチャイコの4,5,6番を入れていった。
ムラヴィンスキーのもあったが、久しぶりにカラヤンを聞いてみようと思った。
カラヤンは前を歩いた巨人フルトヴェングラーを意識してか情緒よりもリズムの的確を
優先させていたように思う。その分ベートーベンやブラームスでは面白みに欠ける
気がするが、チャイコのように曲自体がドラマ性過多があれば、楽譜に忠実な演奏で
あっても、楽しめる。この4番など派手な曲は情緒的な演奏よりカラヤンくらいがちょうどいい。


平成十六年1月の”お気に入りの一曲!”
石浜 恒夫 作詞
「大阪ロマン」

まったく毛色がちがう曲になってしまったが、このところのカラオケのおはこである。町会等の
おつきあいで年配の皆さんとご一緒の事が多くなってそれならばフランク永井か、ということで
この歌になってしまった。実際にフランク永井の歌を聞いたのはラジオで1回か2回くらいか。
ただこの歌の歌詞が気に入った。「夫婦善哉笑うて泣いて 恋も意気地の文楽人形」と大阪の
文化的な味わいが歌詞に込められてある。もう一曲の愛唱歌「硝子のジョニー」も石浜さんの
作詞ということを最近知って驚いた。とても自分と感覚が近い方だったということだろう。

平成十六年1月の”お気に入りの一曲!”
フォーレ 作曲
「ヴァイオリンソナタ 一番」
コラール(P)デュメイ(VN)

同じ時期に購入したドビッシー、フランク、サンサーンスに較べて一番お気に入りの曲。
フランスのVNソナタのピアノはどれも水の流れを連想させるようなフレーズ。印象派の世界
なのか。その中でフォーレが気に入ってしまうのは独特のフォーレ節に取り付かれているからか。


平成十六年1月の”お気に入りの一曲!”
フォーレ 作曲
「シシリエンヌ」
ジャン フィリップ コラール(P) フレデリック ロデオン(CEL)

チェロとピアノの小品だが、なんとも心地良いメロディーである。他にもフォーレの曲には
独特の哀愁を帯びた旋律がある。よく癒しの名曲集に入っているようないわば通俗的な曲では
あるが正月早々重厚な曲もしんどいので、フランスらしい小粋な曲で今年のスタートだ。

12月 第三週の”お気に入りの一曲!”
ベートーベン 作曲
「弦楽四重奏曲 16番」
アルバンベルク クワルテット

第九の季節であるが楽聖ベートーベンの最後の作品はこの弦楽四重奏曲だ。いくら楽聖でも
死ぬ間際にあんな交響曲は書けないだろう。この曲はそれまでの楽曲に較べるとこじんまりして
いるが、第4楽章、つまりベートーベン最後の曲ということになりますが、そこに出てくる第二主題
ともいうべきメロデイーがなんともシンプルでまるで幼い童の手になるような旋律だ。終曲まぎわに
もピチカートで演奏されるが、あの荘重な交響曲や華麗なピアノソナタなどを生み出した大作曲家の
辿り着いたメロデーがここにくるとは、人生は円還の如くということか。


12月 第ニ週の”お気に入りの一曲!”
ベートーベン 作曲
「弦楽四重奏曲 15番」
アルバンベルク クワルテット

ベートーベンの後期の弦楽四重奏曲。交響曲と違って室内楽曲は掛け合いの妙ともいうべき
味わいがある。どの楽章も美しいメロディーで特に最終楽章は胸が締め付けられるような感動が
ある。演奏はちょっと角張った感じがしないでもないが、音質もよくこれが4枚組みの中古CDで
2800円とは得した感じ。しばらく車の中は弦楽の響きで満たされる事になる。。


12月 第一週の”お気に入りの一曲!”
プッチーニ 作曲
歌劇 「トスカ」
レナータ ティアベリ (SP)

二枚組み880円という廉価盤で買ったCDだが、音質も充分耐えられるもので、これなら同じ時に
売っていた「ラボエーム」も買えばよかった、と後悔した。オペラはあまり聞いたことが無かったが
これは長さといい、筋のわかりやすさといい、メロディーの親しみやすさといい入門にはピッタリだった
かも。ただ主役のレナータ ティアベリという方の経歴がわからなかったので、この価格だから二流の
人かなと思ったり、それにしてはしっかりとした歌唱に聞こえるが、と思っていたら、新聞の宣伝にカラス
に匹敵する正統派の歌手と書かれてあり、納得。

11月 第四週の”お気に入りの一曲!”
ラロ 作曲
「スペイン交響曲」
チョン キョンファ(VN)デユトワ指揮 モントリオール響

交響曲といっても実際はヴァイオリンコンチェルト。サラサーテに捧げられた曲らしいが
ヴァイオリンをよくうたわせて、五つの楽章それぞれに楽しませてくれる。デユトワもうまくオケをならして
リードしている。N響ももっと仕込んでこれくらい柔軟にしてくれたらよかったのに。

11月 第三週の”お気に入りの一曲!”
中島みゆき 詞 曲
「ファイト!」
アナム & マキ 歌

日本の歌のCDで一番最近かったもの、といっても1年近く前のことになる。ラジオから聞こえてきた
剥き出しの刃のような歌い方が気になって買ってしまった。ぞくっとするような中島みゆきの詞に
若い二人の女性の切り込むような歌い方が新鮮にマッチしていて、これはこれでよかった。

11月 第二週の”お気に入りの一曲!”
モーツァルト作曲
「交響曲36番 リンツ」
ベーム指揮 べルリンフィル

天才モーツアルトの曲はどれも素晴らしいが、若くから仕事に追われて、その才を浪費したか
のような感があり、聞いているとしんどくなる気がする。案外楽しくやっていたのだろうと思う
反面、パトロンのために次から次へと曲を生み出していく労力を思うと、大変だろうなと考えてしまう。
この曲は例の印象に残る第一楽章の五連続音のテーマが好きだ。

11月 第一週の”お気に入りの一曲!”
グラズノフ曲
「ヴァイオリン協奏曲」
ニコラス シュナイダー(VN)

こじんまりとした曲だが、最終楽章のハリーポッター的な曲想が心和ませる。楽器の様々な奏法
が次々楽しい魔法が繰り出されるようで、短いながら楽しませてくれる。

10月 第四週の”お気に入りの一曲!”

「クール ストラッテイン」
ソニー クラーク曲

センスのいいジャケットに釣られて買ってしまった。昔から有名で
イソノテルオ氏の番組のテーマソングであったりして耳障りのいい演奏。しかしいかんせん古い。
1958年の録音でマイルスのクッキン、リラクシンの頃だがだいぶ感じが違う。

10月 第三週の”お気に入りの一曲!”
マル ウオルドロン曲
「ファイアー ワルツ」
E,ドルフィー(as)B,リトル(tp)M,ウオルドロン(p)E,ブラックウェル(ds)R,デイビス(b)

「ファイブスポット」でのライブ録音。名演だ。馬のいななきと称されたドルフィーの連続音、ちりとてち、
ちりとてちのブッカーのペット。マルもソロでは催眠術師だがここでは独特のフレーズで場を沸かせる。

10月 第二週の”お気に入りの一曲!”

「アイル ネヴァー ビーン トウ ミー」
 ランデイー クロフォード 歌

シャリーンで有名になった曲だが、ランデイーの歌声のほうが、情感がある。クルセイダースの
「ストリートライフ」のボーカルで伸びやかで艶やかなシルキーボイスに魅了されて以来、アルバム
を買ってきた。デイランやレノンの曲も彼女が歌うと哀愁を帯びて心の琴線にふれるように感じられてくる。

10月 第一週の”お気に入りの一曲!”
セロニアス モンク曲・演奏
「ラウンド アバウト ミッドナイト」

マイルスの名演で先にこの曲と出会ったが、オリジナルともいうべきモンクのソロピアノによる
演奏も味がある。思索的な感のある独特の間。音を聞いているだけでそこに一人の人間の魂の
鼓動が聞こえてくる。モンクの前にモンクなく、モンクの後にもモンクなし、と言っても過言でない
ような個性のどぎついまでの主張が耳に飛び込んでくる。

9月 第四週の”お気に入りの一曲!”
シベリウス作曲
「ヴァイオリン協奏曲」
チョン キョンファ演奏 

車で疲れたときに聞くには、ヴァイオリンがいい。というわけでキョンファさま二度目のご登場。
シベリウスも出だしのいかにも北欧的な深みのある曲調といい、ヴァイオリンを技法的に最大に
生かした流れといい、キョンファさまにうってつけだ。以前あるHPでこの曲の演奏の人気投票をしていて
ハイフェッツがトップだったのでキョンファさまに投票したら、トップが並んだ事があった。確かにハイフェッツも
超絶技巧で正確無比だけに凄い演奏と思う。(実はこの曲の演奏は聞いた事が無い)しかしこういう曲は
演歌のふるさとでもある韓国人の方がうたうような感じがでて合っている様な気がする。まあ独断と偏見に
満ちた判断ではありますが・・・。

9月 第三週の”お気に入りの一曲!”
J.S.バッハ曲
「ゴールドベルグ変奏曲」
  グレン グールド演奏

バッハのピアノ(鍵盤)の曲は好きな人は好きだろうがそうでなければ眠りの素になりかねない。
しかしグールドのバッハは刺激的だ。子供がインベンションを練習するので、親父がセットで買っていた
クラシックのCD全集から借りてきて聞いたのがグールドとの最初の出会い。びっくりしたというか、これでは
子供に聞かせるわけにはいかないな、というのが第一印象。創造的演奏というか引き込まれるような魅力を
持った演奏だ。コンサートを拒絶してスタジオ録音に拘った、まあ変人扱いされたかもしれないが、芸術家は
それくらいでないと面白くない。

9月 第ニ週の”お気に入りの一曲!”
J.コルトレーン曲
「チェイシン ザ トレーン」

 アルバム「ヴィレッジヴァンガード」収録
コルトレーンの演奏が続きますが、偶々スーパーをうろうろしていたらCDの安売りの棚があり、
どうせ廉価盤は寄せ集めだから買うつもりはなかったのが、ヴィレッジヴァンガードのライブだけの
CDがあったので買ってしまった。LPの頃はインプレッションとヴィレッジの2枚に分かれていたのが
1枚で聞けるのは有難いし、980円というのも魅力だった。マッコイ、エルビン、ジミーのクアルテットに
ちょっとだけエリックドルフィーがはいっているのだが、演奏は上記の曲が最高だった。ともかく吹きまくる
スタイルの躍動感は他の追随を許さない。さすがにこういう演奏になると付いていけないのかマッコイタイナー
は抜けて、エルヴィンのドラムとジミーのベースだけのサポート。

9月 第一週の”お気に入りの一曲!”

J.コルトレーン曲
「ウエルカム」
 アルバム「クルセママ」収録

コルトレーン狂の友人に言わせれば、この曲はコルトレーンらしさが感じられない、と言うだろう。
「バラード」がトレーンの最高傑作といえばそれはトレーンを冒涜していることになるだろうが、この曲や
「ネイマ」はトレーンの本質を表していると思う。それは限り無い「やさしさ」だ。あの烈しいプレイもやさしさ
の裏返しのように感じる。このゆったりとした曲を聞くと無限の沃野が眼前に広がっているような気持ちになる。

8月 第四週の”お気に入りの一曲!”
チャイコフスキー作曲
「交響曲第五番」
  チェリビダッケ指揮   ミュンヘンフィル

チャイコの名曲ですが、これはライブ音源です。というかチェリビダッケという指揮者はスタジオ録音を
しなかったそうです。音楽は聴衆と一体になって演奏されるものという信念があった方なのでしょう。
亡くなられた後そのライブ録音されたものが発売されています。この曲も独特のテンポと間の取り方は
ライブならではのものでしょうか。余談になりますが冨田 勲がTVで話されていた時の話、ジャングル大帝の
テーマ音楽を依頼され手塚先生から「ターラーララー ラララララー」というこの曲の二楽章のイメージで
と注文があったそうです。それをチャイコの4番のとおっしゃったら、すぐ視聴者からそれは5番です、と指摘が
ありました。しかし世界のトミタに恥をかかせるとはなんたる不心得者とNHKに腹を立てました。ちゃんとメロデーを
口ずさんでおられるのだから分かる者は分かる、そう言ってやりたかったです。

8月 第三週の”お気に入りの一曲!”
「アンフォゲッタブル」 
  ナタリー コール &ナット コール 歌

ナタリーコールが父親のナットキングコールとのデュエット、といっても父親の録音にあとから
娘の唄をかぶせたもの。声質は似ているが父のほうがシルキーボイスといわれただけあって
心に響く。しかしこういう企画ものは楽しい。女性ボーカルのJAZZYなものは疲れた体に沁みこんで
心地良い。このナタリーのアルバムには「スマイル」などスタンダードをしんみり聞かしてくれる。

8月 第二週の”お気に入りの一曲!”
「フォギーマウンテンブレイクダウン」 
 アール スクラッグス・曲  ニッテイグリテイダートバンド プレイ

この曲と出会ったのは映画「俺たちに明日はない」を見たとき。なんとかっこいい映画で
その中で流れていたのがこの曲。バンジョーのインスツルメンタルがT型フォードと
マシンガンと銀行強盗にピタリとはまっていた。短い曲だがブルーグラスの名曲だ。しかし
今この曲のCDを手に入れるのは難しいのではないかと思う。カセットに入れてあったものを
MDに録音して久しぶりにニッテイグリテイを聞きながらお盆まいりした。
横にフェイ ダナウエーがいなくとも次から次へボニーとクラウドの気分で車を走らせた。

8月 第一週の”お気に入りの一曲!”
メンデルスゾーン作曲
交響曲第三番 「スコットランド 」 
 レヴァイン指揮   ベルリンフィル
 クレンペラー指揮  バイエルン放送交響楽団  
 

メンデルスゾーンの大変美しいメロデイのシンフォニーである。ここで二つの演奏を
とりあげたのは、正統派と異端というか、はっきりいうとクレンペラーのほうは原曲の第4楽章
の最後の95小節を全く違った形で編曲してしまっている。確かに指揮者によってテンポを変えたり
楽器編成を変えたり、スコアもアレンジされてあるものはたくさんある。しかし曲の最後の部分を
全く変えてしまうというのは驚きだ。そりゃこの曲の全体を流れる静かな哀調を帯びた感じからすると
原曲の終わりの部分は急に派手派手しく違和感を感じるかもしれない。しかしそれはメンちゃんがそうしよう
と思ったんだからしようがないと思うのだが、人の心を読む指揮者は本当は作曲家もこうしたかったはずだ、
と平気でおせっかいをやくらしい。まあ個人的には正統派のレヴァインの方が好きではあるが、指揮者の
権限というのはかくも大きなものであるのか知らされた演奏である。


7月 第四週の”お気に入りの一曲!”
「時代は変る」 
   ボブ ディラン 詞・曲  カーリー サイモン、ジェイムス テーラー (VO)

ボブデイランの歌声を聞いたときは 正直たまげた。高校生のころ聞いていた
日本のフォーク歌手の原点がデイランだというのでレコードを買ってみたが、流れてきた
のは鼻詰まりのダミ声。これがフォークの神様かと損した気分になった。しかし今もCMで
流れるバーズがカヴァーした「ミスタータンブリンマン」など曲としては素晴らしいものが多い。
「時代は変る」はデイランのも味があるが、カーリーサイモンとジェイムステーラーが夫婦だった頃
「ミューズコンサート」というライブでデュエットで歌ったものが気に入っている。エアーチェックした
カセットテープしか持っていないが、さびのハモっていくところが野太いカーリーの声と少年のような
ジェイムスの声の対照の妙もあってすばらしい。

7月 第三週の”お気に入りの一曲!”
「 水辺にて 」 
        ビリー ホリデー (VO)

耳について離れないフレーズがある。二十年以上直接聴いていない曲なのに
知らないうちに脳裏にメロデーが甦り、つい口ずさんでいる時さえある。それがこの曲だ。
「I cover the waterfront,i'm wathin' the sea.」 という気だるい ノイズまじりの歌声が
いつも聞こえている。今の曲は何度聴いても忘れてしまうが、本当に気に入った曲は記憶の
底にいやでも留まってしまう。ビリー ホリデーは天性のジャズシンガーだ。
その歌声がこの曲
にはまっているように感じるのは私だけだろうか。一生この曲とは離れられない。


7月 第二週の”お気に入りの一曲!”
「ワルツ フォー デビー」   
       ビル エヴァンス トリオ

『最後はビル・エヴァンスの「ワルツ・フォー・デビー」だった。 窓の外では雨が降り続けていた。』
村上春樹の「ノルウエーの森」の一節だが、こういう時候のときはこうした静かなJAZZもいいものだ。
かつては火を噴くようなアドリブの応酬がジャズの醍醐味と感じていた時期もあったが、今では
じっくりとしたそれでいて洗練された音が織り合わさって産み出されるメロデーが心地良く身体に
染渡っていく感じでむしろお気に入りの演奏だ。下記の曲紹介ともダブるが、ここで見事なテクニックを
披露したベースのスコットラファロはこの演奏のあと間もなく23歳という若さで世を去る。その人が
生きていた時間の数倍いや数百倍もその演奏は聞き継がれていく、なんと幸せな事だろう、と思う。


7月 第一週の”お気に入りの一曲!”
「エルガー チェロ協奏曲」   
  カトリーヌ デュプレ(Cello) サー バルビローリ指揮ロンドンフィル 
このところもっぱらクラシックを聴いています。同じ曲にしても演奏家によって味わいが違うし、
その演奏家の背景を知ることによって、受け止め方がまるで変ってきます。デュプレは女流チェリスト
として若くから活躍し、まだまだこれからというときに難病に罹り演奏も不可能になりました。その時
様々な葛藤もあったでしょうが、やがて40代の若さでこの世を去りました。限られた凝縮された時間の
中で残された名演ということでこの曲を聴くと心に響いてくるものがあります。英国人である彼女にとって
エルガーには特別の想いもあるでしょうし、サポートも英国屈指のメンバーとなれば他にはあまり
聴く事のない曲ですがこの演奏がベストといえると確信します。


6月 第四週の”お気に入りの一曲!”
「 街 」   ダ ミ ア 歌
   

戦前のシャンソンです。ダミアは「暗い日曜日」でも有名ですが、この曲や
「人の気も知らないで」など感情表現に優れた歌手です。フランス語はわかりません
が、その歌い方によって歌の内容を受け取る事が出来ます。「街」もパリの下町で
酒場では陽気な会話が弾み、あちらの角では恋人同士の恋の語らい、とおもえば
世情に不満をもつ群集の蜂起とそれを弾圧しようとする大砲の音。そしてまた次の朝は
いつもの「街」の活力をよみがえらせる、そんな内容を勝手に想像しています。



6月 第三週の”お気に入りの一曲!”
「NO WOMAN, NO CRY」
  ボブ マーレー 
アンド ザ ウエイラーズ ライブ 1975年

ライブレコーデイングの最高傑作がこのアルバムだと確信している一人です。
ジャマイカのレゲエという独特のリズムを刻む音楽のスーパースターがボブ マーレー。
彼のライブを録音したこのアルバム、この曲と続いて歌われる「I SHOOT THE SHERIFF]
は観客との一体感がなんともいえない。この曲に関しては邦題が”女よ、泣くな”となっていました
が、英語の原題の方がやさしさを感じます。否定形を重ねて強調する表現。
お釈迦様のお教えにけしの種の話がありますが、それに通じるものがあるように思います。
貧困、抑圧、差別との闘いの中から生まれてきた音楽、そこには人を引き付けて止まない
やさしさとぬくもりのある名曲です。


6月 第二週の”お気に入りの一曲!”


「ブルッフ ヴァイオリン協奏曲1番」
 チョン キョンファ(Vn) ルドルフ ケンペ指揮ロイヤルフィル  1972録音


第二回はクラシックから。オーケストラのシンフォニーを聞く場合はスピーカーが左右に分かれて
あるほうが臨場感が増すのでしょうが、ヴァイオリンコンチェルトですと、ソリストの演奏を忠実に
再現するのは難しいといわれます。その点カーステレオは殆ど中央から聞こえてくるので、VNのソロ
が聞きやすいということになります。VNコンチェルトはベートーベンが別格でしょうが、ブルッフの協奏曲
も聞かせどころの多い名曲です。特にキョンファさまの演奏は溌剌として情感豊かな名演です。
最終楽章ののびやかさは聞くものを虜にしてしまいます。確かな技術と天性の表現力の豊かさ
音色の美しさ、いずれも当代屈指と賞賛されてしかるべき名ヴァイオリニストです。
同じアジア人として、誇りに思いますし、ぜひとも日本でコンサートをまた開いて欲しいと念願しています。
余談になりますが今春実弟のチョン ミュンファ指揮の東京フィルが売り出し中のヴァイオリニスト ヒラリー
ハーン嬢を招いての演奏会でブルッフのコンチェルトをする予定であったところ、ハーン嬢が突然のキャンセル
となり、そんなことなら「姉ちゃん ちょっとやって。」となれば面白かったでしょうが、
そうはいかなかったようです。


6月 第一週の”お気に入りの一曲!”

「ノー ブルース」
 ウィントン ケリー トリオ ウイズ ウエス モンゴメリー
  『スモーキン アト ハーフノート』 1965年 収録

記念すべき(自分ひとりのことですが)第一回は、ジャズのライブ録音から始めましょう。
客のざわめきがあり、グラスのあたる音が入り、そしてそこからいきなりスウィング感あふれるJAZZが
浮かび上がってくる。そうするとたちまちに渋滞でいらいらする車の中がNYのJAZZクラブにワープした
かのように心が沸き立ってくる。目の前にはバーボンがあるかのよう、紫煙にけむるステージではあの
ウエス モンゴメリーのハイテクニックが炸裂し、それをサポートするウイントン ケリー(P)ポール 
チェンバース(B)ジミー コッブ(DS)のマイルスグループでも活躍した手だれが火花を散らす。音楽の持つ
魔力を遺憾なく発揮した名演です。
ジャズのライブ盤となるとこれまたお気に入りのドルフィーの「5スポット」も甲乙付け難いところでしたが
ジャズのメインストリートということで今回は誰にも躊躇なくオススメできる一曲です。



お 気 に 入 り の 一 曲