■艦隊計画の詳細

 ここからは、日本での艦隊計画について紹介していきますが、その前に、この世界における海軍軍縮条約を紹介します。
 海軍軍縮条約となっていますが、ハッキリ言って軍縮とは名ばかりで、しばらくこれ以上作らないと言う程度の、各国の調整のみで規制もなきに等しいものとなっています。

■ジュネーブ海軍軍縮条約(1924年成立)

■戦艦保有枠

国名

戦艦保有枠
英吉利
亜米利加
日本
仏蘭西
伊太利亜
 5 (隻数:30隻・目標トン数:100万頓)
 5 (隻数:30隻・目標トン数:100万頓)
 4 (隻数:24隻・目標トン数:80万頓)
 2 (隻数:12隻・目標トン数:40万頓)
 2 (隻数:12隻・目標トン数:40万頓)

保有の絶対数が多くなっているので、その反動で隻数と合計排水量双方から保有枠が決定されていますが、隻数のみに厳重な規定がされ、保有排水量に関してはやや緩い規定とされている。
そして、一番滑稽なのが、日英米につき合わされた仏伊が、保有できもしない数量を認められている事だろう。

◆戦艦個体の規制
英国、合衆国、日本の現状の建艦計画を認める代わりに、旧式戦艦の破棄による制限枠内の調整を行う。
向こう10年間の新規計画禁止。
既存計画艦は排水量48000頓を最大上限とする。
近代改装は建造5年以内禁止。
改装は増加排水量3000頓以内に止める。
排水量10000頓以下、主砲口径8インチ以下は制限に含まない。

 ただ、このままだと、日本の艦艇保有量は戦艦24隻ですが、約90万頓以上もの数字になってしまいます。と言っても、英米も似たり寄ったりですので、今後調整していくと言う方向になり、あまり問題にはなりません。歯止めがないよりマシだからです。ただ、英国は第一次世界大戦以前に就役した旧式艦を多数保有せねば、数で日米に対抗できないでしょう。
 また、排水量が48000頓もの大きさになったのは、英日の計画艦に配慮した数量で、米国が抗議したが結局英日の前に押し切られ認められる。
 なお、仏伊にこれだけ大量の戦艦を建造する気はありません。(ついでに、その資金もないと言える。)

■航空母艦保有枠

国名

航空母艦保有枠
英吉利
亜米利加
日本
仏蘭西
伊太利亜
 5 (7万頓)
 5 (7万頓)
 4 (5.5万頓)
 2 (3万頓)
 2 (3万頓)

◆航空母艦の規制
排水量10000頓以下は含まない。
排水量35000頓を最大上限とする。
排水量17500頓を越えるものは、各国2隻までしか建造・保有できない。
他艦からの改装は2隻までとする。

 世界中で沢山戦艦を建造するので、その分どの国も関心が少なくなり史実よりも少ない数字となります。ですから、取りあえずの量的規制に過ぎません。
 一応は、大型戦艦の改装もできる条件が設定されていますが、どの国も戦艦建造に狂奔するので、おそらくどの国も史実のような大型艦からの改装をしないので、この分野での大型艦建造技術は5年は遅れる事でしょう。

■巡洋艦の規定
排水量10000頓以下、主砲口径8インチ以下とする。
保有量に関する制限は設けない。

 すでに5万頓クラスもの戦艦が出現しているのに、果たしてこの数字が世界的に有効な数値とされるか少し疑問がありますが、混乱を避けるために史実と同様とします。
 ですが、結局は条約型巡洋艦は、各国は主力艦の肩代わりとして、熱心に建造されます。そして、やはり八割の海軍力しかない日本は中でも熱心に建造を行います。
 そして、当然これ以下の艦艇についての制限は規定されません。ただし、どの国も戦艦の建造で手一杯なので、史実と同程度の建造しか行いません。



■海軍艦艇建造計画 『八八艦隊』計画
 さて、前置きが長くなりましたが、いよいよ「八八艦隊」の詳細に入ります。
 まずは、艦隊建造計画全体について紹介していきます。
 ある程度は史実に則したものにしていますが、変更点も見られますので、計画表のあとに補足説明していきます。
 なお、1940年頃までの計画があるのは、リップサービスというヤツです(笑)
 また、艦隊計画が史実から逸脱しているのは、一応予算を考えながら組まれていますが、単なる趣味です。
 有名火葬戦記作家の言葉を借りるなら「あえてそのプロットを選びました。」と言ったところでしょう(爆)

◆八八艦隊計画以前の艦艇
扶桑級戦艦:扶桑・山城
伊勢級戦艦:伊勢・日向
金剛級巡洋戦艦:金剛・比叡・榛名・霧島
防護巡洋艦:筑摩・矢矧・平戸
駆逐艦:磯風級:4隻
    桃級 :4隻

戦艦、巡洋戦艦については多くを語る必要はないでしょう。
それ以外の艦艇は、1930年代初期までは現役だった巡洋艦、駆逐艦たちです。補助艦に関する量的制限に関する条約は成立していないので、今回の八八艦隊では現役艦艇として、二線級ですが艦隊に編入されています。

◆八四艦隊計画(1913年)

長門級戦艦:長門・陸奥
加賀級戦艦:加賀・土佐

天城級巡洋戦艦:天城・赤城

天竜級二等巡洋艦:2隻
江風級一等駆逐艦:2隻
樅級二等駆逐艦:12隻
二等潜水艦:4隻
これらも大級艦については多くを語る必要はないでしょう。
「加賀」、「土佐」、「天城」、「赤城」が、史実通り建造されている点が違いと言えば違いでしょうか。
「江風」級一等駆逐艦は、昭和10年頃まで現役だった艦隊型駆逐艦です。二線級ですが艦隊に編入されています。
他の補助艦艇については、史実でも全て大東亜戦争で現役だった艦艇たちなので、説明の必要はないと思うので、特にコメントはありません。
そして、ここではまだ暴走はしません。

◆八四艦隊計画(改訂計画分)(1914年)
球磨級二等巡洋艦:5隻
長良級二等巡洋艦:3隻
夕張級二等巡洋艦:1隻
樅級二等駆逐艦:9隻
楢級二等駆逐艦:64隻
二等潜水艦:2隻
給油艦:4隻

第一次世界大戦勃発により、改訂された戦時計画になります。史実のものと少し違っています。
「楢」級二等駆逐艦が、この中では特異でしょう。特に建造数が。
艦そのものは史実でも建造された楢級と同じ艦ですが、この世界では日本がより深く第一次世界大戦に関わっているので、欧州に向かう船団の為の護衛駆逐艦として大量建造されています。恐らく、同じように徴用を目的とした大量の高速輸送船やタンカーも建造されているでしょう。
それ以外については、史実と同様の艦になります。また、建造計画時期もほぼ同じタイムスケールです。

◆八六艦隊計画(1916年)
天城級巡洋戦艦:高雄・愛宕
鳳祥級航空母艦:鳳祥
長良級二等巡洋艦:3隻
峰風級一等駆逐艦:12隻
樅級二等駆逐艦:9隻
若竹級二等駆逐艦:8隻
二等潜水艦:18隻
給油艦:7隻
この計画においては、史実を同じとしました。
大戦中ですが戦時計画ではなく、アメリカのダニエルズ・プランが始動し出すので、その対抗として戦時計画でなくその後を見越した計画が急がれたので、急ぎ計画された建造計画となります。タイムスケールは史実とほぼ同じタイミングになります。
そして、「高雄」、「愛宕」は、この世界では計画通り建造されています。
それ以外に、特に特記することはありません。

◆八八艦隊計画(1919年)

紀伊級戦艦:紀伊・尾張・駿河・近江

川内級二等巡洋艦:3隻
峰風級一等駆逐艦:3隻
神風級一等駆逐艦:9隻

潜水母艦:1隻
一等潜水艦:2隻
二等潜水艦:15隻
給油艦:1隻
給兵艦:1隻

史実では、ここでようやく八八艦隊建造計画が承認され、ここで一気に8隻の大型艦の建造が計画されています。
ここでもほぼ同じですが、史実との違いは、八八艦隊計画艦のうち13号艦級の建造が、この計画に含まれていない事です。他はおおむね計画通りとなっています。ただし、「13号艦」級の建造予算そのものはここで通過しています。建造が遅らされたのは、予算成立当時にいまだ第一世界大戦が継続中で、商船建造などを優先しているのでドックの空きが確保できないからです。
なお、紀伊級戦艦の艦名のうち「近江」は、本来なら徳川御三家と言うことで「常陸」の方が相応しいようにも思いますが、ここは予定艦名と言われた「近江」の方を採用しました。
また、紀伊級戦艦は建造時期をずらす事で、史実とは違った姿、より強力な艦となります。
また、給兵艦は46cm砲を運搬するために特別に建造されるものです。史実にはありませんが、史実の「樫野」に当たる船になります。

◆第二次八八艦隊計画(1922年)

富士級巡洋戦艦:富士・阿蘇・雲仙・浅間

古鷹級一等巡洋艦:古鷹・加古
青葉級一等巡洋艦:青葉・衣笠

(改)川内級二等巡洋艦:綾瀬 初瀬 水無瀬 音無瀬

睦月級一等駆逐艦:16隻

機潜級潜水艦:4隻
巡潜級潜水艦:4隻
海大級潜水艦:12隻
二等潜水艦:8隻
敷設艦:1隻
潜水母艦:1隻
給油艦:3隻
給糧艦:1隻

ここから、史実の計画から大きく変化してきています。
原因は、第一次大戦とそれまでの努力で、この世界の日本の大きな経済力に合わせて予算が編成され、史実よりも贅沢な艦隊編成が行われているからです。
なお、「富士」級が「13号艦」級となります。名前は順番からいけば「妙高」級の名前が相応しいように思いますが、混乱を避けるために日本国内の大きな噴火山より新たに命名しました。
さらに、艦隊編成の拡大に伴い、「川内」級の後期型は史実の計画より1隻、「睦月」級は4隻多く建造しています。計画は水上艦優先ですので、潜水艦については、史実と同様です。
また、給油などの支援艦艇は史実通りの建造枠です。

◆第三次八八艦隊計画(1925年)

葛城級巡洋戦艦:葛城(24年臨時追加)

龍驤級航空母艦:龍驤・龍鳳
最上級二等巡洋艦:最上・三隈・熊野・鈴谷

特型駆逐艦:9隻
高速給油艦:5隻
給糧艦:1隻
工作艦:1隻

ここでは、駆逐艦以外全てが史実と食い違っています。それは、この計画の時点で海軍軍縮条約が成立しているからです。
「葛城」は、関東大震災で大破、解体された「天城」の代艦です。なお、戦艦は軍縮条約でこれ以後は建造はしばらく停止されます。
「龍驤」級航空母艦は、史実の元計画のものなので、格納庫は一段で、バランスの取れた軽空母となります。そして、艦隊の拡大が決定されたので、それに従い2隻建造されます。
「最上」級は、史実の「妙高」級にあたり、軍縮条約の前に基本計画が策定されたので、枠の上では二等巡洋艦となって、川の名前から名がとられるので、史実の最上級より転用しました。
また、ここで日本海軍の戦術ドクトリンが、「漸減作戦」を旨とした「防守艦隊」からの脱皮が始まります。
その大きな理由は、第一次世界大戦への積極参戦により、海上護衛の理念が出てきたのと、遠距離での活動が考えられるようになるからです。さらに、マーシャル諸島が領土として編入され、マーシャル沖での決戦に方針が変更されたのに、それが軍縮条約で基地設営できない事から、そこへの早急な支援部隊の展開の必要性が出てきたからです。
そして、支援艦艇が艦隊の拡大に伴い、史実より多く整備されます。このために多数の高速給油艦と遠距離補給のための給糧艦の整備が開始されます。もちろんこれは、日本の国力増大の影響も受けています。
駆逐艦のみが史実と同じとなります。
ちなみに、給油艦は速力12ノット程度、高速給油艦は16ノット程度の速力発揮が可能なのが最大の違いです。

◆第四次八八艦隊計画(1928年)

祥鳳級航空母艦:祥鳳・瑞鳳
妙高級一等巡洋艦:妙高・那智・羽黒・足柄

特型一等駆逐艦:15隻

巡潜級潜水艦:1隻
海大級潜水艦:3隻
敷設艦:1隻
高速給油艦:6隻
これも、史実と変わっています。
史実と違いないのは、「特型」駆逐艦と潜水艦の建造のみです。
「祥鳳」級は、「龍驤」が「青葉」級の船体を流用したように、「最上」級(「妙高」級)の船体を利用し、若干大きな軽空母となっています。また、本来なら中型空母を計画すべきですが、その補完として2隻計画されます。
あえて軽空母を重ねて建造したのは、量産効果もありますが、史実と違い改装の大型空母が建造されていないので、この分野での技術蓄積の意味もあります。
また、「妙高」級は、史実の「高雄」級と同じになります。類別はここからいわゆる重巡洋艦になり、山の名前がつけられています。
また、支援艦艇の拡充も可能な限り続けられます。
なお、この計画が完成したら八八艦隊の第一期計画分は完成となります。
そして、次の第一次海軍補充計画の促進に影響され、建造スピードが上昇しています。
もちろん、基本的な建造速度は造船技術・施設が史実より進歩しているので、その分必然的に早くなります。

◆第一次海軍補充計画(1931年)

蒼龍級航空母艦:蒼龍

鳥海級一等巡洋艦:鳥海・摩耶・伊吹・鞍馬

初春級一等駆逐艦:6隻
白露級一等駆逐艦:12隻

占守級海防艦:4隻

巡潜級一等潜水艦:1隻
海大級一等潜水艦:6隻
海中級一等潜水艦:2隻
潜水母艦:2隻
敷設艦:1隻
高速給油艦:5隻
小型給糧艦:5隻
工作艦:1隻
これも、史実との一致を探す方が難しいです。
また、この計画までがアメリカとの激突までに間に合う艦艇になります。
「蒼龍」級航空母艦は、史実の「赤城」か「蒼龍」元計画を具現化したような装備を持つ航空母艦になっています。一種の実験艦なので1隻のみの建造となります。
「鳥海」級は、量産効果を考え妙高級と同様に、史実の「高雄」級と同じものになります。
「初春」級は史実のような制約がないので、「特型」の最後の型となり、妥当な排水量をもった大型駆逐艦になります。その後の「白露」級は特型の純粋な発展型ですので「朝潮」級に匹敵する史実以上の艦になり、さらに予算が潤沢なのでその分多く建造されています。
潜水艦については史実通りです。
「占守」級海防艦は、史実では水雷艇になりますが、この世界では駆逐艦の量的規制はなく、また第一次世界大戦中に大量の小型駆逐艦を建造しているので、その代換艦のテストケースとして建造されています。形としては、史実の「千鳥」級と「占守」級を足して二で割ったようなものとなります。

なお、アメリカとの関係が冷却化し風雲急を告げるので、補給のための支援艦艇が多数計画されています。
そして、この計画艦たちの整備中に風雲急を告げるので、建造が急がれます。ゆえに、全ての艦艇は史実より遙かに速いペースで建造されます。
1934年の開戦時にほぼ出そろっているものとします。


■おまけ

◆第二次海軍補充計画(1934年)

4.8万頓級新級型戦艦:戦後全て建造中止(戦時計画では4隻。)

飛龍級航空母艦:飛龍・雲龍(戦時計画では4隻)

利根級二等巡洋艦:利根・筑馬 大淀・仁淀(戦時計画では8隻)
朝潮級一等駆逐艦:16隻(戦時計画では32隻)
千歳級水上機母艦:千歳・千代田(戦時計画では4隻)

改占守海防艦:8隻(戦時計画では120隻)
海大型一等潜水艦:8隻(戦時計画では32隻)
巡潜型一等潜水艦:8隻(戦時計画では16隻)
潜水母艦:1隻(戦時計画では4隻)
高速油送艦:8隻(戦時計画では20隻)
大型工作艦:1隻(戦時計画では2隻)

この世界での、太平洋戦争の戦時計画または戦後再策定された計画になります。ですから、戦争が継続されれば計画通りに、戦争が早期に終了していれば、括弧の外の数だけ建造されます。つまり、戦争が早期に終われば戦艦に至っては、結局建造すらされません。そして、実際建造されるのは計画された艦のうち、ごくわずかな数の艦艇となります。
ただし、建造計画そのものは、大量の航空機を作らねばならなかった1940年代と違い、大半の予算を艦艇建造に振り向ければいいので、日本という国からみれば、非常に贅沢な計画となります。なお、この時点で日本は大東亜戦争開戦時の史実日本を上回る造船能力と船舶保有量を持ちます(800〜1000万頓程度)。
「飛龍」級航空母艦は、史実の飛龍とほぼ同じものになります。
ただ、軍縮条約に従い、17500頓の空母となります。
「利根」級二等巡洋艦は、その後戦争が終結し再度の軍縮会議が開催されれば、15.5cm砲を搭載した純粋な偵察巡洋艦になり、戦争が継続するか軍縮会議が開催されないなら、史実の「利根」級になります。
その他についても、建造数が増えている以外は能力は史実のものと同じになります。

なお、戦時計画で成立した別枠予算で、八八艦隊の大型艦の大多数の大改装予算が別枠で成立しているので、戦争が早期に終結するか、長期戦になっていると順次改装が施されます。

◆第三次海軍補充計画(1937年)

高千穂級戦艦:高千穂 穂高(1936年予算で成立)

翔鶴級航空母艦:翔鶴・瑞鶴
阿賀野級二等巡洋艦:阿賀野・能代・矢矧・酒匂
香取級練習巡洋艦:香取・鹿島
陽炎級一等駆逐艦:18隻

海防艦:4隻
日進級水上機母艦:日進・瑞穂

甲型一等潜水艦:2隻
乙型一等潜水艦:6隻
丙型一等潜水艦:5隻
敷設艦:1隻
潜水母艦:2隻
給糧艦:1隻
高速給油艦:2隻
大型工作艦:1隻

史実では、軍艦「大和」が計画された時のものです。
この計画でも、代艦建造のためかなりが同じものとなります。
ただし、太平洋戦争が終われば、その後新たに軍縮条約が結ばれる仮定ですので、軍縮条約が生き残っており、大和型は建造されず、代わりに中型高速戦艦が計画されています。
「翔鶴」級航空母艦は、史実と全く同じ大型空母になります。ですが、史実より前線での活動を前提とするので、防御力において史実よりも強固にされ、若干重くなります。また、攻撃機よりも戦闘機を重視で搭載する事を考えられているので、その点でも見えない点で若干の変化が見られます。
また、史実よりお金があるので、巡洋艦や支援艦艇も戦争での補充として贅沢に建造します。
「阿賀野」級は、5500頓級の代艦にあたりますが、八八艦隊以降、量産効果を大型艦でも取り入れるようになっているので、史実の阿賀野級でなく、多少贅沢ですが「利根」級二等巡洋艦の改良型になります(主砲が15.5cm砲)。

なお、この世界で日本はアメリカに勝利するのが前提ですので、八八艦隊の消耗は最小限に押さえられているとします。
そして、太平洋戦争(仮)の経験により、目的はあえて設定しませんが、海軍、連合艦隊そのものが「防守艦隊」から「侵攻艦隊」への明確な質的変化を開始します。

◆第四次海軍補充計画(1939〜40年)
大和級戦艦:大和・武蔵
改翔鶴級航空母艦:千鶴・神鶴
大鳳級航空母艦:大鳳
剣級超甲巡:剣 黒姫
白根級一等巡洋艦:白根・鞍馬・筑波・蔵王
香取級練習巡洋艦:香椎・橿原
秋月級直衛艦:6隻
夕雲級一等駆逐艦:24隻
島風級一等駆逐艦:1隻

海防艦 56隻
甲型一等潜水艦:1隻
乙型一等潜水艦:14隻
海大型一等潜水艦:10隻

給兵艦:1隻
給糧艦:1隻
高速油送艦:5隻
大型工作艦:1隻


さて、どん尻に控えているのは、恐らくこの頃巻き起っているであろう第二次世界大戦かそれに類する大戦争に当たり、海軍が策定した艦隊建造計画になります。
この時点で軍縮条約が解禁になるので、戦争を前提とした贅沢な建造計画が立てられます。
目玉は何と言っても「大和」級戦艦です。あとは、制空権奪取を目的としてさらに特化されるであろう「大鳳」級航空母艦でしょう。それ以外にについては、史実よりも若干多めに建造計画が立てられているだけになっています。
「大和」級戦艦は、既に18インチ砲を搭載した13号級などが存在しますので、史実よりも強力で八八艦隊計画艦と共に行動できる、より大型の戦艦となります。
しかも、史実と違いそれまでの戦艦建造経験も豊富ですし、戦訓も得ていますし、史実よりも遅く計画が立てられているので、必然的に史実のものよりも強力になります。
おそらく、八八艦隊に対抗して建造されるであろう敵戦艦を完全に撃滅するため、20インチ砲を搭載した9万頓クラスの大型艦になっているのではないでしょうか。
改「翔鶴」級は、「翔鶴」の直接防御力を若干強化したものです。アメリカで建造されたエセックスクラス並に強化されています。
「大鳳」級航空母艦は、史実よりも大きくなり、防御力をより重視した、より前線で使用する事を前提とした大型空母になると思われます。おそらく3〜4万頓クラスの大型重装甲空母になっているのではないでしょうか。なお、史実の「飛鷹」級航空母艦は、余程戦雲急を告げない限り客船として就役します。改「翔鶴」級はその代わり的な位置にあります。
「剣」級超甲巡については、太平洋戦争での水雷戦隊の活躍とその後の拡充により計画されたもので、史実の計画にあったものと同じです。空母の直衛は出来ますがあまり考えられていません。
また、「白根」級一等巡洋艦が、戦没した巡洋艦の補充としてようやく建造されています。もちろん、量産効果を期待して「利根」級二等巡洋艦の準同型艦となります(主砲の違い)。

なお、これ以降についてはここでは扱いません。
もし扱うことがあっても、これ以後が続いている時になります。その場合は、八八艦隊がリタイアし出すもう10年先、1950年ぐらいまで見ていきたいと思います。


以上で、艦隊建造計画そのものの概要は終わります。
では、最後に1934年、太平洋戦争勃発時点での日本海軍の艦艇ラインナップを紹介してこの項を終わりたいと思います。

◇「八八艦隊計画」主要計画艦艇 (1934年次)

主力艦

補助艦

補助艦・支援艦艇

主力戦艦
紀伊級:紀伊・尾張・駿河・近江
加賀級:加賀・土佐
長門級:長門・陸奥

巡洋戦艦
葛城級:葛城
富士級:富士・阿蘇・雲仙・浅間
赤城級:赤城 愛宕・高雄

旧式戦艦
伊勢級:伊勢・日向
扶桑級:扶桑・山城
金剛級:金剛・比叡・榛名・霧島

河内級:摂津(標的艦)

大型航空母艦
蒼龍

小型航空母艦
龍驤・龍鳳・祥鳳・瑞鳳・鳳祥

偵察巡洋艦(条約型重巡洋艦)
10000t型:
最上・三隈・熊野・鈴谷
妙高・那智・羽黒・足柄
鳥海・摩耶・伊吹・鞍馬
8600t型:
古鷹・加古・青葉・衣笠

水雷戦隊用巡洋艦(軽巡洋艦)
5500t型:18隻
3000t型:3隻
防護巡洋艦:3隻

駆逐艦(一線級)
艦隊型駆逐艦(特型以後):42隻
艦隊型駆逐艦(神風・峰風・睦月級):36隻

駆逐艦(二線級)
小型艦隊型駆逐艦:46隻
護衛駆逐艦:64隻
旧式駆逐艦:10隻

潜水艦
伊号(大型):35隻
呂号(小型):47隻

支援艦艇

特設水上機母艦:4隻
潜水母艦:4隻

工作艦:2隻

高速給油艦:16隻
給油艦:18隻
給兵艦:1隻
給糧艦:7隻


File05 : 軍備に関する補足  File07 : 『88fleet・シスターズ』