Я[大塩の乱 資料館]Я
2009.1.9

玄関へ

大塩の乱関係論文集目次


「大塩噂聞書」

その9

重 扇助

『演劇脚本摘要録 第1』中西貞行 1895 所収


◇禁転載◇

本文は、適宜読点・改行を入れています。


大 詰

油懸町三好屋の場

此内は、紺屋商売にて、染物の注文に来る、又下役大塩父子の人相書を廻はし来る事、
年寄与三郎来り、女房お常と話しの所へ、五郎兵衛帰り来る、与三郎は、番所へ行きしは何事であつたかと問ふ、五郎兵衛は、大塩の詮議にてありしといひ、又弟の三平は大塩に奉公して居たれと、悪党故に跡々月暇が出て、此大坂に居ぬと語る事、
与三郎は、密に五郎兵衛に向ひ、大塩をかくまふて居はせぬかと問ふを、かくまふてなければこそ、内山が今日無事に帰しくれしと答ふ、与三郎は帰る、高橋は、捕手を連れ、大塩の詮議に来り、五郎兵衛を召捕りにかゝる、内山忍びにて来り、五郎兵衛が大塩をかくまひない事ハ明白なり、といふを、高橋は、訴人があるとて、元の下女お松と其親孫助を連れ来らせるを、内山ハ、大塩の詮議は、跡部より此内山が蒙り居るとて、高橋を追帰へし、孫助に縄をかけ、引立てさせ、内山は、五郎兵衛に身代りを出せと、夫とはなしに諭し、五郎兵衛案内して、奥へ這入る、久七は、娘お駒と末を約し居て、白子屋へ嫁入すると聞き、恨みをいふを、五郎兵衛聞き居て、女夫に仕してやらうとて、内祝言の用意せんと、久七を連れ這入る、お駒は、母を呼び、父の許しを受けたとて悦ぶ事、

同奥座敷の場

大塩父子は、身の成行きを歎息し、切腹せんとするを、内山、出て止め、情の計らひにて勝時丸を取返し、両人を出家にして落しやる事、
五郎兵衛は、久七の得心せぬを無理に格之助の身代りに殺し、自分は大塩の身代りにならんと切腹する事、

阿波座堀捕物の場

捕手共は、大塩の落行きしと聞き、追ふて行く事、大塩親子は、捕手大勢と立廻りあつて、追込み、両人は、切腹せんとする所へ、内山来り、罪科赦免の由を伝へ、両人は、深山へ身を隠さんと別れ行く事、

 

右ハ明治廿七年五月廿六日附第二〇、四七九号ノ版権登録証ヲ受領セリ


「大塩噂聞書」目次/その8

「大塩の乱関係論文集」目次

玄関へ