河村与一郎(貞山)
赤志忠雅堂 1888
ｹﾔ 判決書 其尤ケキ者ヲ挙ゲ、以下、之を畧約ス、 大坂町奉行 跡部山城守組与力 大塩挌之助養父 大塩平八郎 右 大塩挌之助 右之者共、平八郎は、表に謹厳之行状を飾り、文武忠孝之道を *1 講じなから、内実実子挌之助へ可嫁合約束に而養置候摂州般若 寺村忠兵衛娘みねと及奸通、特に諸人之信用に随ひ、慢心を生 じ、軽き身分を不顧、御政道を批判いたし、其上浅はかなる儀 候とも、不容易謀計を企、師命を称し、愚昧の門弟等を威伏為 致、追而米価高直、諸民難渋の折を窺ひ、仁慈を行候存立に託 し、又は同組与力同心等の気合を量り、品々奸舌を以て不平の 志を募らし、夫々一味連判に引入、猶人気を為靡候ため、所持 の書籍其余、摂州兵庫西出町長太夫等を申掠、出金為致、買調 候書物をも売払、一己之慈善に申成、右代金難渋人ニ施遣し、 或は反賊之名聞を厭ひ、諸民惑乱可為致ため、無思慮大言を綴、 不軽文言をも認載候檄文を村々へ為捨置、剰名家之末孫抔申触、 救民計義と偽唱、計策を以奉行を討取、大坂御城を始、諸役所 并市中をも焼払、豪家の金銀を窮民へ分与へ、一且同国甲山へ 楯籠べく旨申合、右企露顕之期に至り、逆意に不随門弟宇津木 矩之允を為及殺害、一味荷担之者共一同、兵具を帯、鎗長刀等 携、恐多文字書記候籏押立、百姓共を申威、多人数徒党を結、 大筒火矢等打払、所々放火及乱妨、捕方役人へ敵対致し、挌之 助義も、右体之企申合、愚民を誑惑致候、平八郎倶に反賊之所 業に及、捕方人数に被打立、銘々逃去候後、油掛町五郎兵衛申 威、同人方に忍罷在候始末、不恐 公議仕方、重々不届至極に 付、両人共塩詰之死骸引廻之上、磔、