Я[大塩の乱 資料館]Я
2000.1.13
2000.1.21訂正

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大塩の乱事典目次

大塩の乱関係史料集目次

■ 高   札 ■(高麗橋など)


適宜改行などしています。

日本財政経済史料 第2巻 財政之部2』(大蔵省編 財政経済学会 1922)より

【徒党札】

          
    
    何事によらすよろしからさる事に
    百姓大勢申合候をととう(徒党)ととなヘ 
    ととうしてしゐてねかひ事くはだたつるを
    こうそ(強訴)といひ あるいは申あはせ
    村方たちのき候をてうさん(逃散)と申
    前々より御法度に候條 右儀これあらば
    居むら他村にかぎらず 早々其すじの
    役所へ申出べし 御ほうびとして
    
     ととうの訴人   銀百枚
     こうその訴人   同 断
     てうさんの訴人  同 断
    
    右之通下され その品により帯刀苗字も
    御免あるべき間 たとひ一旦同類に成るとも
    発言いたし候もの 名まへ申出におゐては
    その科をゆるされ、御ほうび下さるへし
    
    一 右類訴人いたすものもなく村々騒立候節
      村内のものを差押へ ととうにくはゝらせす
      壱人もさしいださゝる村方これあれば 
      村役人にても百姓にても重にとりしずめ候ものは
      御ほうひ銀下され 帯刀苗字御免、さしつゞき
      しづめ候ものどもこれあらばそれぞれ御ほうび
      下しおかるべき者也
    
      明和七年(四月)
                奉行
    
    右之通 御料者御代官 私領者領主地頭より村々へ相触
    高札相建之有村方は高札に認相立可申候右通可被相触候
    
大阪高麗橋西詰に建つてゐた御制札之写
(『上方 第35号』上方郷土研究会編 創元社 1933.11)より

(以下同じ)

【忠孝札】

                 横八尺長弐尺 一 親子兄弟夫婦を始め諸親類したしく下人等に至るまで   これをあはれむべし 主人ある輩は おのおの其奉公に   精を出すベき事 一 家業を専にし 惰る事なく万事其分限に過るべからざる事 一 いつはりをなし 又は無理をいひ 惣して人の害になる   べき事をすべからざる事 一 博奕の類一切に禁制之事 一 喧嘩口論をつゝしみ若其事ある時 猥に出合べからず   手負たるもの隠し置べからざる事 一 鉄砲猥に打べからず 若違犯の者あらば申出べし 隠し置   他所よりあらはるゝに於ては罪重かるべき事 一 盗賊悪党の類あらば申出べし 御ほうび下さるべき事 一 死罪に行はるゝものある時 馳集るべからざる事 一 人売買 かたく禁ず 但し男女の下人 或は永年季 或は   譜代に召置事は相対に任すべき事   附 譜代の下人 又は其所に往来る輩 他所へ罷越 妻子をも   持有付候物呼返べからず 但し罪科ある者は制外の事 右の條々可相守之 若於相背は可被行罪料候也   正徳元年五月 日    奉行 右従江戸之御制札也

【毒薬札】

          定      横六尺三寸長一尺七寸 一 毒薬并似せ薬種売買の事禁制す 若違犯の者あらば其罪   重かるべし たとひ同類といふとも申出るにおゐては其   罪をゆるされ 屹度御褒美下さるべき事 一 似せ金銀売買一切停止す 若似せ金銀あらば金座銀座え   つかはし相改むベし つしの金銀も是又金座銀座に   つかはし相改むべき事    附 惣して似せ物改むベき事 一 寛永の新銭金子 壱両に四貫文 一歩には壱貫文たるべし   御料私領ともに年貢収納等にも御定のごとくたるべき事 一 新銭の事 銭座の外一切鋳出すべからざる事 一 新作のならざる書物商売すべからざる事 一 諸職人のいひ合せ作料手間賃等高値にすべからず 諸商売   物本は一所に買置しめ うりし或はいひ合せて高値にすベ   からざる事 一 何事によらず誓約をなし 党を結ぶべからざる事 右の條々可相守之 若於相背は可被行罪料もの也   正徳元年五月    奉行 右従江戸之御制札也

【火付札】

               一 火事出来の時 みだリに馳集るべからず 但役人差図のものは   各別たるべき事 一 火事場へ下々相越 理不尽にるにおゐては御法度の旨申き   かせ通すべからず 承引なきもの搦捕へし 万一異儀に及ばゞ   討捨たるべき事 一 火事場其外いづれの所にても金銀諸色ひろひとらば奉行所迄   持参すべし 若隠置他所よりあらはるゝにおゐては其罪重かる   べし たとひ同類たりといふとも申出る輩は其罪をゆるされ   御褒美下さるべき事  右條々可相守之 若於相背は可被行罪料もの也   正徳元年五月 日    奉行

【駄賃札】

                      横七尺八寸長壱尺八寸
    
    大阪より駄賃并人足賃銭収方迄
     荷物壱駄        弐百五十五文
     乗懸荷人共に      同 断
     から尻馬壱疋      百六十六文
    
        附 あふつけはから尻に同じそれより重き荷物は
          本駄賃銭に同じかるべし
    
    守口迄
     人足壱人        四拾四文
    
    堺迄
     荷物壱駄        百弐十参文
     乗懸荷物共に        同 断
     から尻馬壱疋      七拾九文
     人足壱人        五十九文
    
    平野まで
     荷物壱駄        七拾九文
     乗懸荷人共に      同 断
     から尻馬壱疋      五拾三文
     人足壱人        三拾九文
    
    松原迄
     荷物壱駄        百弐拾三文
     乗懸荷人共に      同 断
     から尻馬壱疋      七拾九文
     人足壱人        五拾九文
    
    
    伊丹迄
     荷物壱駄        百八拾六文
     乗懸荷人共に      同 断
     から尻馬壱疋      百廿五文
    
    神崎迄
     人足壱人        四拾壱文
    
    尼崎迄
     荷物壱駄        百三十六文
     乗懸荷人共に      同 断
     から尻馬壱疋      八拾七文
    
    泊々にて本賃銭
     主人壱人        参拾五文
     召仕壱人        拾七文
     馬壱疋         参拾五文
    
    右之通可取之 若於相背は可為回事もの也
    
      正徳元年五月 日    奉行
    

【駄賃札】

                  横四尺八寸長壱尺五寸
    
    駄賃并人足荷物之次第
     御伝馬并駄賃の荷物壱駄   重サ 四拾貫目
     歩もちの荷物壱人      重サ 五貫目
     長持壱丁          同  参拾貫目
    
    但し人足壱人もち重サ五貫目の積リ参拾貫目の荷物は六人して
    持べし それより軽き荷物は貫目にしたがひて人数減すべし 
    此外いづれの荷物もこれに准すべし
    
     乗物壱丁       次人足六人
     山乗物附壱丁     次人足四人
    
    一 御朱印伝馬人足之数 御書付の外に多く出すべからざる事
    
    一  道中次人足次馬の数 たとひ国持大名たりといふとも其家
      中共に東海道は一日に五十人五十疋に過べからす 此外の
      伝馬道は弐万五人弐拾五疋に限るべし 但し江戸京大阪の
      外道中におゐて人馬ともに追越すべからざる事
    
    一 御伝馬駄賃の荷物は其町の馬不残出すべし 若駄賃おほく
      入時は在々所々よリやとひ たとひ風雨の節といふとも荷物
      なき様に相はからふべき事
    
    一  人馬の賃 御定の外 増銭を取るにおゐては牢舎せしめ 其町
      の問屋年寄は過料として鳥目五貫文づゝ 人馬役のものは家
      壱軒より百文づゝ出すベき事
    
       附 往還の輩 理不尽の儀を申かけ 又は往還のものに対し非分
        の事あるべからざる事
    
    右の條々可相守之 若於相背は可為回事もの也
    
      正徳元年五月 日    奉行
    
    右 従江戸之御制札也
    
    

【火付札】

                    横四尺長壱尺五寸
    
    一 火を付る者あらは早々申出べし 若かくし置におゐては其罪重
      かるべし たとひ同類たりといふとも申出るにおゐては其罪ゆ
      るされ屹度御褒美下さるべき事  
    
    一 火付る者を見付け これを捕へ早々申出べし 見のがしにすべか
      らざる事
    
    一 あやしき者あらば 穿鑿をとけて 早々奉行所に召連来るべき事
    
    一 火事の節 地車だいはち車にて荷物をつみのくべからず 鑓長刀
      刀脇差等ぬき身にすべからざる事
    
    一 車長持停止す たとへあつらへ候ものありとも造るべからず 
      一切に商売すべからざる事
    
    右の條々可相守之 若於相背は可被行罪科者也
    
      正徳元年五月 日    奉行
    

【切支丹札】

                 横三尺八寸長壱尺五寸 きリしたん宗門は累年御禁制たり 自然不審成ものこれあらば 申出べし御ほうびとして   ばてれんの訴人    銀五百枚   いるまんの訴人    銀三百枚   立かへり者の訴人   同 断   同宿并宗門の訴人   銀百枚 右の通下さるべし たとひ同宿宗門の内たりといふとも 申出る 品により銀五百枚下さるべし かくし置他所よりあらはるゝに おゐては 其所の名主并五人組迄 一類は可被行罪科候也   正徳元年五月 日    奉行 右従江戸之御制札也

【抜荷札】

                横七尺五寸長壱尺八寸
    
    唐物抜荷の儀に付 先年より度々相触る処 近来不正の商売いた
    すもの有之趣 粗相聞不届に候 以来は 海陸捕方村町間道筋且
    船中にてもあやしき荷物と見かけ候はゞ相糺 不正の荷物に有之
    は早速荷物人とも其所へ留置 荷物は所役人荷主立会封印の上
    預り置 長崎奉行所 又は其所の奉行 或は御代官領主地頭へ申
    出べく候 もし荷主宰領等取逃候はゞ其所の役人共立会 荷物
    封印せしめ差出べき事
    
    一 たとひ同類たりとも 差出におゐては 其罪をゆるし 荷物に
      したがひ 多分にほうび銀下さるべき事
    
    一 抜荷差押へ候者并村役人は勿論 すべて不正物附送り候を
      差押へ出るにおゐては 其支配筋役人場所にて始末相尋 
      奉行所江其暇届出へく候 しかるにおゐては右の者共奉行
      所へ不及差出間 掛り合の処をいとはず 心がけ差押さへ
      差出べく候 其荷物にしたがひ 多分に褒美銀下さるべき事
    
    一 薩州よりは白糸紗綾にかぎリ京都に問屋定置相廻し 対州
      よりは蓬砂其外薬種類唐物等紛敷品は箱の上 朝鮮産の旨
      相記し売先送り状等紛敷無之様 宗対馬守役人送り状を以
      相廻す儀に候 右の外すべて唐紅毛持渡の品は長崎表にて
      買受け五ケ所糸割符宿老手板証文添相廻す儀に候 手板無之
      荷物の分は不正物に有之間 其旨相心得べき事
    
    右之外先年より抜荷筋之儀に付 度々被仰出処之触書の趣 
    無遺失屹度可相守之者也
    
      文化二年二月    奉行
    
    右従江戸罷仰下候 堅可相守者也
    
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【渡海札】

                   横四尺五寸長壱尺六寸
    
    今度松平周防守元領分石州浜田松原浦罷在候無宿八右衛門 
    竹嶋ヘ渡海いたし候一件 吟味之上右八右衛門其外 夫々厳科
    被行候 右嶋往古は 伯州米子のもの共 渡海魚漁等いたし候
    といへども 元禄の度 朝鮮国ヘ御渡相成候 爾来渡海停止
    被仰出候場所に有之 隨而異国渡海之儀は重き御禁制候條 
    向後右嶋之儀も同様相心得 渡海いたすましく候 勿論国々
    の廻船等 海上におゐて異国舶に不出合様 乗筋等に心かけ
    申べく旨 先年も相触候通 弥相守 以来は成べくたけ島沖
    乗不致様乗廻り申べく候
    
     右被仰出候触書之趣 無違失屹度可相守之者也
    
      天保八酉年四月    奉行
    
    右従江戸被仰下候 堅可相守者也
    
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 本文(欠字)のところは、次の文献などにより、補いました。 また、【忠孝札】などの見出しは同書を参考にしました。

『高札 −支配と自治の最前線−』大阪人権資料館 1998


高札(画像)

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