Я[大塩の乱 資料館]Я
2012.3.30

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「大塩の乱関係論文集」目次


「大塩が事は素志の達せざるに発す」

南梁居士編  1911

『偉人豪傑言行録』求光閣書店 所収

◇禁転載◇

一五 大塩が事は素志の達せざるに発す管理人註
   

     つと 大塩後素、夙に大志あり、常に云ふ、余、小官なりとも、一たび          あずか          ねがひ 出て、天下の大政に与ることを得ば、吾生涯の願足らんと、或時 林大学頭の家宰、大坂に来りて金を仮ることありしに、或人、こ         いは れを後素に告げて云く、祭酒は大府の儒官にて、常に人才をも推                             いらい 薦するよしなれば、此度を幸いに金を仮し、密に素願の趣を倚頼 すべしと、後素、喜んでこれに従ふ、是は彼の家宰より祭酒に請 託して、勘定所の勘定に挙げらるゝやうとのことなるよし、然る          よう に家宰、東帰の後、杳として一信なし、これを促せども尚その報 を得ず、後素、堪かねて自ら江戸に下り、親しく家宰に就て、こ           つい れを催促したれども、竟に其事成らずして、空しく帰坂す、然る       こえ   ていいう に、僅に年を踰て、丁酉の乱あり、 因て思ふに、此ことは全く家宰の承諾までにて、祭酒は初より知       らざること歟、又は祭酒もこれを知て推めたれども、其機熟せず            ふた して、事成らざりし歟、両つの内に必ず其咎の帰する所あらんと、 此説は余り世人の伝へざることなり、

祭酒は
林大学頭
のこと















 


 適宜読点、改行を加えています。


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