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思い切りよく押し強く勇敢に断行せよ

人生は明快な決断力を有する人のためにのみ、よい座席をあけて待っていてくれるのである。不決断の人の前にはたとえ空席があろうとも、彼がその座席に坐るまでに、ほかの一層決断力ある人がその椅子にかけてしまう。それがため決断力の鈍い人は永久によい椅子にかけることはできないのである。進むが利か、進まざるが利か、明らかならざる時には決して躊躇逡巡することなかれ。躊躇している間に時は過ぎ行き、又とない好機会は失われる。この電車がどこ行きか不明の時には躊躇していないで電車に飛び乗って車掌にきけ。一歩進めば次の一歩が明らかになるのである。十里の先が見えないならば、十里の旅ができないというならば、その人はいつまでも十里の旅に発足することはできないであろう。好機会は寝ていてはつかむことができないのである。好機会は自己創造のものである。自分で好機をつくる者のみが好機会をとらえるのである。成功者は常に熟慮断行の人であった。かの有名なドイツのモルトケ将軍の標語は『熟慮と断行』の五字であった。熟慮はするが一たび決定した以上は、人から見ていかに望み少なき冒険であろうとも、大胆に勇敢に駿足に兵を進めよ。 およそ大胆と勇敢と決行の迅速と、どこどこまでもやりとげる押しの強さとは大人物なるものの一つの資格である。左顧右眄して人の思惑に気兼ねし、猫を恐れるネズミのように周囲に気兼ねしてコソコソ、オズオズ自分の行為を進める者は一生大事業を成し遂げ得ない人である。 周囲に対して愛深き思いやりのあることはぜひとも我らに必要な美徳ではあるが、この周囲に思いやりあることと、周囲に対して気兼ねをすることとは、全然別物であるのだ。周囲に対して深く思いやることはその人の愛の深さと強さとからくるのであるが、周囲に対して気兼ねするということはその人の弱さからくるのである。前者は強き性格から来るがゆえに、ある行為をなすことが人類のためになるとか、神への奉仕になるとかいう場合には、周囲の人々の思惑などに対しては少しも頓着することなく断断固としてやってのけるのである。これに反して周囲の思惑に気兼ねする者は、ある行為をなすのが人類のためになるとか神への奉仕になるとか思ってもそれを敢えてしたならば周囲のものがどう思うだろうかとか、誰かが笑いやしないかとか、そんなことばかり気にして、ついに最も大切なる人類へのつとめ、神への奉仕までも閑却してしまうのである。 諸君よ、ひとたび『このことは善事なり、行うべし』と決定したる以上は、それを『自己の内に宿る神』の最後の宣告であると思いて断行せよ。それを決行しなければ人生における苦しみの刑期が延びると思いて必ず実行する習慣をつけよ。かくのごとき決断の習慣に馴らされてくるときにはその人は、人生において躊躇逡巡する間に空費する自分の生命力を非常に節約することになるのである。実際不決断は苦しみの時間を長びかすほかに何もない。断行すれば、ただの十分間、ある人に面会するだけで解決する問題を、その人に会おうか、会うまいかと思案投げ首、腕こまねいて煩悶焦慮屈託して半日も一日も不決断に考えこんでいるような人々が世間にはあるものだが、この間に失われる時間と生命力とがいかに夥しいものであるかを思え。たとえ自分の目指すある人に十分間面会して、何の結果も得られなかったとしても、それはただの十分間の損失ではないか。実際現実に打ち当たる十分間が無効に終わったとて、半日一日を思案投げ首して暮らす時間のうちにはなお新しい試みの十分間が幾たびも幾たびもあるではないか。幾たびつまずいても、幾たび倒れても起き上がるものは、やがて自己の生命が実に偉大に生長してくることを発見するであろう。常に起き上がりさえするならばつまずくこと、倒れることは自分の生命に経験をまし、自分の生活体験を豊富にし、人への思いやりを増し、愛を深めて、その人を一層完全な人とする資料となるのである。 諸君よ、決して倒れることを恐れず、自己の不決断のみを恐れよ。倒れることは、再び起き上がりさえすればかえって喜ぶべきことであるのだ。 『光明の生活法』　谷口雅春　１９６１年　日本教文社 ●カウンセリングとコーチング ●ビジネス・コーチング入門 ●社会人のためのカウンセリング ●ライフワーク・コーチングの奨め 主要メニュー コーチングを受けて見ませんか　　コーチングとは　　コーチとは コーチングの例（パーソナル）　　コーチングの例（ビジネス） 体験コーチングの進めかた　　　　体験コーチングの申し込み

2003 Yoshiaki Sugimoto