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ワクワクの本質

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私の知っているある男性は、全米プロバスケットボールリーグ(NBA)でプレイするのが夢でした。けれども彼は身長177センチ、体重73キロとバスケットボール選手としては非常に不利な体格で、運動神経もマイケル・ジョーダンの十分の一もあったでしょうか。体格や運動神経、年齢などから言って、この男性がプロのチームに入れる可能性は皆無と言ってよいでしょう。それでも彼は、NBAのバスケットボールの選手としてプレーする夢をあきらめきれず、明けても暮れてもそのことしか考えられませんでした。その間、彼の人生はチャンス待ちの人生となり、経済的にも困窮し、家族や友人もあきれて見放してしまいました。

私はフィルに、プロのバスケットボール選手のどんな点にワクワクするのかと尋ねてみました。どんな点が君をそんなにまで夢中にさせるのか、と。

フィルがあげたのは次のような要素です。

試合の興奮、競争のおもしろさ、器用さ、運動神経の良さ、激しい動き、肉体の世界、観客の反応、コーチ、チームプレイ、集中力、勝つ喜び、一瞬のうちに勝敗の決まる厳しさ。

そこで私はこう言いました。

「フィル、そうした体験を得るために、かならずしもプロのチームに入る必要はないんじゃないかな。君はプロチームでプレイすることが自分のワクワクだと思い込んでいるようだが、それは勘違いだよ。君が望んでいるのはNBAというプロチームではなく、むしろバスケットボールの試合そのものの醍醐味だと思うよ。チームのメンバーと一緒にプレイしたり、練習したり、チームワークの妙味を味わったり、ということが好きなんじゃないだろうか。プロになる必要はないよ。それよりも君が今話したワクワクの本質を追求すればいいんだ。それが君の本当のワクワクだ。

そこでフィルは地元のバスケットボールチームに目を向け始め、機会があるごとにプレイするようになりました。やがて彼は二軍チームのコーチを務めるようになり、人生でこんなに幸せだったことはないと大満足でした。その生き方にはフィルが望んだ「ワクワクの本質」がすべて含まれていたからです。NBAの選手になれない自分に悲観して空しい日々を送る代わりに、大好きなことが毎日できて、情熱に燃える人生が送れるようになったのです。

誤解しないで欲しいのですが、フィルが二軍チームのコーチになったからと言って、大きな夢をあきらめて手頃なもので間に合わせよ、ということではありません。夢は大きく描いて、どんどん追求してください。夢をあきらめる必要はありません。ただ現在の夢がそのままの形で実現できない場合、夢そのものを捨ててしまわないでほしいということです。

夢を本質のレベルまでさかのぼれば、同じ夢を違う形で実現できるし、あなたが求めていたのは、むしろその夢が実現したらこんな自分になるだろうという、自分の「在り方」なのではないかと言いたいのです。具体的な形に対する執着を捨てると、本質が見えてきて、選択肢が広がります。表面の形ではなく、「ワクワクの本質」に目を向ければ、もっと楽にワクワクが暮らしの中に入ってきます。

私の知人の例をもうひとり紹介しましょう。この男性は、アメリカでも大自然がそのままの形で残っていることで有名なモンタナ州に大きな敷地を所有していました。敷地内に滝まであって、楽園に住んでいる気分です。彼は釣りやカヤックが好きなアウトドア・スポーツマンでしたので、モンタナの暮らしが非常に気に入っていましたが、ひとつだけ問題がありました。彼にはハリウッドの映画スターになりたいという夢があったのです。大自然に囲まれたモンタナ州での野性的で自然な暮らしと、人工的で派手なハリウッドの暮らしとは一見矛盾するように思えます。

私は彼に、二つの欲求の奥にあるワクワクの本質は何かと尋ねました。彼にとってモンタナ生活の魅力は、平和、大自然、静寂、野外生活の楽しさ、まき割り、野生動物、釣り、友人たちとカヤックに乗ることなどでした。一方、ハリウッドでの俳優生活は、演じること、人を楽しませること、影響力、華やかさ、有名になること、主役になるスリルと喜び、多くの美人、高収入、旅行、一流の人間と仕事をする楽しさなどでした。

この男性は、ハリウッドに行くにはモンタナを離れなければならないが、モンタナを離れたくないというジレンマに陥っていました。どちらも欲しいが、どちらか一方をあきらめなくてはいけないと悩んでいたのです。

もちろん物理的にみれば両方の夢をかなえることは不可能です。けれども夢を本質のレベルまで細分してみると、彼が望んでいたのはハリウッドそのものではなかったことがわかりました。彼が求めていたのは、演じることであり、創造性を発揮する喜びであり、一流の人間と仕事をする楽しさでした。自分の創造的エネルギーをうまく表現できる場所を探していたのです。

そこで彼はモンタナのラジオ局を訪れて、週一回番組を担当するようになりました。やがて地元で人気のタレントとなり、二年連続、聴取者人気投票で一位に選ばれました。さらに、金曜日の朝のラジオニュース番組で映画批評も担当するようになりました。そのうち地元の劇団に入って、舞台に立つようになり、主役もいくつか演じました。舞台の監督を務めたり、脚本を書いたりもするようになりました。

結局、彼はハリウッドには行きませんでした。彼がハリウッドでしたかったことは全部モンタナで実現できたからです。たまにはモンタナからシアトルまで出てきて、大都会の舞台で演じたりもします。

このような生き方を選んだ結果、ハリウッドに行って俳優になりたいという夢の要素をすべて彼なりの方法で体験することができました。一方の夢をあきらめずにすんだのです。本質レベルで考えることができたので、自分の夢を二つともかなえることができました。
(後略)

『ソース』 マイク・マクマナス 1999年 ヒューイ陽子訳

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 2003 Yoshiaki Sugimoto