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上司、目上とのコミュニケーション

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性格だからと諦める

上司・目上と上手にコミュニケーションを図ろうとするなら、何はともあれ相手の性格を見抜くこと。これが最初の一歩である。

「うちの課長は部下に命令するばかりで、自ら手を汚すタイプじゃない。まるでコンドルみたいだ」

「彼はサイだ。明るく元気なうちは猪突猛進するんだけど、いったん落ち込むとなかなか回復しない。小回りの利かないサイとそっくりだ」

「ふんふん、うちの部長は一見温厚そうに見えるけど、その実、内に激しいものを秘めていて、けっこう執念深いところがありそうだな。下手に反対意見を言おうものなら、後々まで恨まれることになるぞ」

そうやって性格を見抜いたら、次にどうするか。前述したように、「あれは性格なんだからしょうがない」「性格だから変わらない」と思って早く諦めること、これが上司・目上とのコミュニケーションを図る上で一番大事なのだ。

なぜ、上司・目上に腹が立つのか。なぜ、上司の言動にガッカリするのか。なぜ、虚しさや憤りを感じるのか。その腹が立ったりガッカリしたり、虚しさや憤りを感じる情感の奥に何があるのだろうかと考えたならば、上司・目上に対する期待感がある。これがクセものなのだ。

もっとやさしく言ってほしい、上司なら上司らしく振る舞ってほしい、いざという時には責任を取って欲しい --- 誰だって上司・目上に対する期待、願望というものがあるが、その期待感を持っている限り、上司・目上とはうまくいかないのである。

「係長、背丈の高い木の葉ばかり食べてないで、もっと地面に近いところの草を食べるべきではないですか。たまにはゴミでも拾ったらどうですか」

「課長、直進ばかりしていないで、たまには左右を見たらどうですか」

「部長、なぜ部下に命令するだけなんですか。たまには自分で動いたらどうですか」

などと、キリンに言ってもしようがない、サイに言ってもしょうがない、コンドルに言ってもしょうがないのと同じように、上司・目上に言ってもしょうがないのである。

人間も同じである。「上司なんだからこうあるべきだ」「目上なんだからこうすべきだ」と期待しても、叶うわけがない。そこでついつい、腹が立ったり、がっかりしたり、悲しくなったり、虚しくなったりするわけだ。

上司・目上に対する期待感を捨てろ

サイにはサイの習性があるように、キリンはキリンの習性があるように、コヨーテにはコヨーテの習性があるように、上司には上司の習性があって、それは永遠に変らない。部下が文句を言ったところで変わるわけがない。40年、50年生きてきた人が、「あなたの性格、ここを直したほうがいいよ」と忠告されたところで、おいそれと直せるわけがない。年を取れば取るほど、石膏で固めたみたいに頭も性格も固くなるのだから、変わることなど絶対にない。だったら、自分が変わるしかない。「浮き沈みの激しいところを直してほしい」なんていう望みを捨てて、相手の性格に自分を合わせたほうが、問題がずっと早く解決するし、相手に合わせていく分、人間としての幅が広がるというものである。

それがじつは、大人になるということなのだ。その諦めと悟りの境地に立ってはじめて、人間は大人になれるのである。

ところが、大人になり切れず悟りの境地に立てない間、すなわち性格だからしょうがないと諦め切れず、何らかの期待感がある間は、腹が立つし、虚しく感じるし、悲しくもなる。まあピュアと言えばピュアではあるけれど、まだまだ子供、単純なだけ、と言ったら言い過ぎだろうか。

いずれにせよ、上司・目上に対する期待感がある限り、スムーズなコミュニケーションは難しい。どんなに上手に表情を繕おうが、言葉を操ろうが、ハートの奥に眠っている感情は隠しようがなく、知らず知らずのうちに顔に出てくる。当然、相手もそれを察知する。その結果、相手に警戒心を抱かせることになり、その分、コミュニケーションもどこかぎこちなくなる。

だから、ハートの奥を変えない限り、絶対に上司なんてうまくいかない。外見上は調子よく振る舞っていても、おなかの中ではブツブツブツブツと文句を言っていたのではストレスが溜まるだけである。

上司はもう本当に気分屋で、公私混同はするし、どうしようもない奴であったとしても、ハートの奥の期待感をなくしてしまう。すると、「ああ、そういう人なんだなあ」とごく自然におつき合いができるし、相手も、「おっ、こいつは何か、自分に好意を抱いてるんじゃないか」と思ったりする。つまりハートの奥は以心伝心で相手に伝わるわけで、期待感をなくせばなくした分だけ、相手も可愛がってくれるものなのである。

いずれにしても上司・目上に対する期待感は早く捨てるべきだ。期待感を抱いているうちは腹は立つわ、イライラするわで、健康にもよくない。反対に、期待感をなくすと相手を心から理解できるから、腹が立たないし、虚しくならないし、反抗的にもならない。

「ああ、上司はサイだったのだ。サイなんだから、真っ直ぐにしか進めなくて当然だ。小回りが利かなくて当然なんだ。それなのに、ライオンのようであってほしいと望んだ自分がバカだったのだ」

「ああ、上司はキリンだったんだ。だから上ばかり見ていたんだ。それをワニのように地面を這ってほしいと思っていた自分が愚かだったんだ」

人間の成長とは、実はこうした行為の積み重ねによって、知らず知らずのうちになされるものなのだ。

上司・目上の関係といっても、ポイントはたったそれだけのこと。それを悟るのに私も長い年月がかかった。(後略)

『人づきあいで人を動かす』 深見東州 2001年 たちばな出版

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 2003 Yoshiaki Sugimoto