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「答えはあなたの中にある」というコーチング哲学の功罪
 
「答えはあなたのなかにある」・・・これはコーチングをかじったことのある人なら誰もが知っている、コーチングのキャッチ・フレーズです。実はこの真意が誤解されることがたいへん多いのです。

邦題『コーチング・バイブル』の原書では、Four Cornerstonesという章に、

The client is naturally creative, resourceful, and whole.
The coach does not have the answers; the coach has questions.

と書かれています。

「クライアントは生まれつき創造的であり、全てを持った存在である」
「コーチは答えを持たず、コーチは質問を持つ」

とあるのです。

「答えはあなた(クライアント)のなかにある」

人間ひとりひとりは宇宙・真理とつながった存在です。だから、どの人も無限の可能性を持つ存在という意味なのですけれど、その原則論・本質論だけで物事解決するわけでは決してありません。

「答えはあなたのなかにある」という、原則論・本質論を表面的に解釈していくと、出てくるのは次の考え方です。

「答えはクライアントのなかにあるなら、コーチという助言者は、コンサルタントみたいな専門知識がなくても、お手軽に勤まるわけだな。よ〜し、これはいいぞ」

この調子で多くの人が安易にコーチングに跳び付くわけです。現在コーチング講座はよく売れていますが、このお手軽感がベースになっていると私は感じています。巷間の書籍をみても、お手軽な会話術万能の論調に少なからず辟易してしまいます。
 
そして、コーチングをかじった人はふた言目には言うのです。
 
「答えはあなたのなかにあります。私はそれを引き出すだけです」
 
会話術を身につけても、コーチ側に人間力がないため、使い物にならないケースが圧倒的に多いのです。単に会話術を学んだだけです。「答えは相手のなかにあって、それを引き出すだけ」なら会話術さえ磨けば、高校生でもベテラン社会人を相手にできる理屈ですが、もちろんそんなことは無理です。
 
しかし、現状のコーチング業界ではコーチの人間力は敢えてあまり問題にしません。
 
「答えはあなたのなかにある」という、原則論・本質論はもとより正しいし、「人間が無限の可能性を持つ」という理想主義は人をひきつけます。とにかく従来あるコンサルティングに対して「差別化」がはかれなければ、コーチングの教育商品の存在意義はないわけだし、せっかくのお手軽感を敢えて否定することはないのです。
 
答えはクライアントにある、と言って置けば、成果が出ない時はクライアントのせいにできるため、断然好都合です。「答えを与えるとクライアントが頼って来るから良くない」はコーチが提案できない言い訳としてはまことに具合がいいのです。
 
以上から「答えはあなたのなかにある」という原則論・本質論、「人間は無限の可能性を持つ」という理想主義を喧伝し、会話術ばかりで人間力がない弊害には敢えて目をつぶる結果になっています。
 
もののわかった人はコーチングとその業界をどう感じるでしょうか。正直な感想としては、
 
「確かに見るべき点はある。しかし、口先だけでいい気なものだ」
 
でしょう。コーチングの光と陰、効能と弊害は、
 
「答えはクライアントのなかにある」
 
この金科玉条の解釈から派生しているのです。
コーチング:黒板
口先ばかり

日本のみならず本場アメリカでも「コーチングは胡散臭い」のだそうです。なぜでしょうか。一言でいうと、高い料金設定をしているのに、口先ばかりで、問題解決力がない、ということです。なぜこんな現象が起きているのでしょうか。

助言にはコンサルティング、カウンセリング、そしてコーチングといった手法があります。手法自体は無色透明で良い悪いはないのですが、それぞれに長所と弱点があり、TPOに応じて使い分けなくてはなりません。
 
近年コーチングが助言手法の独立した体系として専門化した結果、多くの人々がプロをめざしてコーチングの訓練講座でコーチングを学ぶようになりました。ところが訓練講座ではコーチングしか教えません。コーチングのクラスで他の手法を用いることは禁忌事項です。でないとコーチングの訓練講座として成立しません。

その結果、コーチングの訓練を受けた多くの平均的な人はコーチングしか知らないのです。そのため、助言を100パーセントコーチングのみで通そうとします。他の手法、特にコンサルティングに関しては全くの素人であることが多いのです。

さらに「コーチングの3つの哲学」と呼ばれる無邪気な原則論がこの傾向に拍車をかけているように思われます。これは:

@人は皆、無限の可能性を持っている。
Aその人が必要とする答えは、すべてその人の中にある。
Bその答えを見つけるためにはパートナーが必要である。

というものですが、コーチングのクラスではAを盾にとって、提案を積極的には教えません。提案は発想の呼び水、程度の扱いです。むしろクライアントが自分で問題解決するよう、助言者はできれば提案を差し控えるべきである、というように教えています。その結果、提案を罪悪視する人すらいます。

昔テレビのコマーシャルに「あなた作る人、私食べる人」というのがありましたが、稚拙なコーチングでは、「あなた答える人、私質問する人」になってしまっています。それをもって「あなたの気付きと潜在能力を引き出します」というのですから、いい気なものです。

こうした事情から、コーチングというサービスを提供している人々には問題解決能力のない人材が多く、コーチングを売り込んでは顰蹙を買っているわけです。

もちろんコーチングの訓練を受けた人のなかでも、スキルのある人はコーチングの弱点を十分認識し、コアの手法としてはコーチングを使いながら、必要に応じて他の手法を補完的に用いています。
コーチング:黒板
コンサルティング力のあるコーチを
 
一般のコーチング理論では「答えはクライアントの中にある」とし、助言者があれこれ提案するのは奨励されません。クライアントの成熟度が十分に高ければこれで何の問題もありません。しかしクライアントの成熟度が低い場合は、クライアントからは凡庸極まりない発想しか引き出せないものです。それに拘泥している限り、堂々巡りして前に進まない事態に陥ります。
 
たとえば、転職するべきか思い悩んでいるクライアントさんがいて、この人が転職するためにはまず仕事を辞めなければならない、と思い込んでいたとします。
 
この場合、コーチが単に話を聞いて、辞めたい気持ちを承認してあげるだけなら、この人は転職するために、まず辞表を出すところから出発することになります。これはずいぶんとリスクの高い無鉄砲なやり方です。その結果、このクライアントさんは本当に辞めるべきなのか、さらに迷い続けることになります。

スキルのないコーチはクライアントから引き出した発想なら、どんな凡庸な発想でも、「それがクライアントの答えなのだから」で終わってしまい、その発想に付加価値をつけることができません。もしそんなコーチに当たったなら、愚痴を言って鬱憤を晴らすくらいがせいぜいです。

しかし、クライアントは成熟度が低いからこそ、助言者を求めているわけです。助言者に支援能力がないとわかると、その場は円満に引き下がっても、普通それ以上助言を頼みたいとは思わないでしょう。

こんな場合は助言者が積極的に提案をし、クライアントがその提案を踏み台により高い発想ができるようにする必要があります。つまりコーチングのためにコンサルティングを活用するわけです。
 
このケースでは、私ならこう言います。
 
・次の職が見つかるまで今の会社にいることを考えませんか。
・せっかく長年働いて来たのだから、暫く休職して職探しをするのはどうですか。
・鬱になったことにして、病院で適当な診断書を書いてもらえば休職できますよ。

私の提案から発想すれば、このクライアントさんは給料をもらって職探しをして、たとえ職探しがうまく行かなくても、復職できる選択肢を手にすることができるかもしれません。

「戦略のないコーチングは不可である」とも言われます。戦略とは何か?結局コンサルティング力です。少なくとも問題解決の方向性くらいは瞬時に導けなければなりません。コーチングと言えども、クライアントの話を要約したり、質問したり、感想を述べたりする過程で、分析・提案といったコンサルティング力を行使しているのです。

世間一般の人々はあらゆる悩みを抱えています。コンサルティング要素がゼロの単なるコーチングだけではたいして役に立たない、というのが実感です。コンサルティング力(分析・提案)を補完的に行使できてはじめて助言者として役に立つのです。

コーチングとコンサルティングを併用することなど、何ら目新しいことはなく、助言の当然のあり方のはずです。しかし、コーチングという新しい概念が生まれて専門化した結果、コーチングしか知らないコーチが数多く生まれたというわけです。

コーチングの実情から言えば、コーチングであってもコンサルティング力は絶対必要です。口先ばかりでコンサルティング力がなければ、一般社会人相手のコーチングでは相手にしてもらえないと思います。クライアントの獲得も維持もできないでしょう。コンサルティング力は一朝一夕にはつくものではありませんが、この現実はしっかり押さえておく必要があります。

結論:
コーチングはコンサルティングと組み合わせることによって最高の威力を発揮する。コーチングのみにこだわるのはナンセンス。


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 2003 Yoshiaki Sugimoto