Я[大塩の乱 資料館]Я
2003.3.16

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大塩の乱関係史料集目次


『事 々 録』 (抄)

その20

三田村鳶魚校訂

 『未刊随筆百種 第6』米山堂 1927 収録

◇禁転載◇


天保七年丙申年

雨勝ち、

一 今年は弥生の末より雨ふり出て、五月雨比迄打つヽき、一日快霽なりせば、二日は雨、朝雨ふりて夕にはれなんどしつ、五月六月はなをさら雨にくらしける、七月の十八日は大風雨にて、朝九ツ比より簿暮迄、雨は盆をまくるか如く、辰巳風つよく、民屋樹木吹倒す、夫より十九日ははれけれども、又々廿日より隆つゞく、八月の中旬迄はとかくに雨勝にてやつかれは、浪花にとのひにとれびたちけるか、酒匂川さへ十二三日も往来たへ、大井川、阿部川は猶さらなりしか、よきついてにて、三日ほととゞこふり、浪花にいたりぬ、其後八月十三日、七月晦日も大風雨なりしとそ、故に米のあたへ日に\/貴く、九月にいたりて江戸市中は銭百文に米四合なりとぞ、茄子さゝきなんども少くわけて六七月に西瓜を見ず、白瓜かつてなし、跡より浪花へ来れる鈴木三郎右衛門が妹は、いつかたのか局をつとめて、是へおくるとて南瓜を買ひけるに、南鐐一片に南瓜六ツなりといへり、いやしき南瓜さへ此の如し、


『事々録』目次/その19/その21

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