罪人判決下付ノ同日、土井大炊頭以下、去年兵火ノ際、尽力セル
者ヲ賞賜スル、各差アリ、独跡部山城守、堀伊賀守ハ其労ヲ慰セ
ラレス、此二人、吏材ノ人ヨリ長ゼルナク、又、豪傑ヲ籠絡スル
ｼﾔｳｹﾂｿｳﾈｲ
術ヲ知ラズシテ、大暴動ヲ激成シ、事興ルニ及テ、其猖獗
獰ヲ
ｶﾂｾｲ ｼﾕｸｹｲｺﾘﾂ
遏制スルアタハズ、既ニシテ陣ニ臨メバ、縮頚股栗シ、戦ヲ定番
ｲﾀ
ノ援軍ニ委ネ、己レ力ヲ矢砲ノ間ニ効サズ、是ノ如キハ、奉行ノ
ﾍﾝﾁﾂｶｸｼｮｸ
任、何クニ在ル、其賞典ニ洩タルハ、固ヨリ論ナク、貶秩革職ノ
ｾﾒ ﾉｶﾞ
譴ヲ免レタル。亦幸ナラズヤ、
御座之間
御刀 美濃国兼定 代金二十枚 土井大炊頭
去酉年、於大坂、徒党者共及乱妨候節、
御城内外警衛、其外万端差図行届骨折候付、被下之、
右於御前、拝領之 大坂御定番
遠藤但馬守
名代 稲垣若狭守
同断之節 御城内 警衛厳重行届、殊に町奉行へ加勢として組
之者共差遣候砌、家来畑佐秋之助差添方見届等之儀、申含候に
付、組之者共、身命を不顧、相働候段、一時之計而已に無之、
平常之心掛も宜義と思召候依之被下之、
右於芙蓉間、老中列座、水野越前守申渡