Я[大塩の乱 資料館]Я
2014.2.25

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「大塩の乱関係論文集」目次


「大塩平八郎の再生」
その5

川島文郎

『戦争によつてのみ貧乏人は救はれる』
(新興戦争文学集) 天人社  1931 所収

◇禁転載◇

第二幕 第二場 管理人註
  

  鵬化山麓野陣の場。   洪秀全始め諸王その他、威儀を正して並んでゐる。(支那歴史に見へ  る長髪賊の集団であるが故に、総て長髪である。)   正面に上帝の祭壇を設け、九濤が秀全に渡した卷物を捧呈してある。  秀全演説を続けてゐる。 秀全 ……爾来満洲人は二百年に亘る長年月の間、支那の王位を世襲しつゝ  ある。けれども、吾々は満洲人をのみ王位に戴くことを誓つたものでは  ない。然るに彼等満洲人は戦争に馴れたる土族強軍を率ゐて、吾等の平  和を撹乱し、吾等の財宝、土地、政府を略奪してより此の方、天下を彼  等の天下と心得、天下に上帝あることを無視し、暴戻惨虐その極みを尽  し、吾等が上帝の意に従ひ、鰥寡孤独を慰め、餓えたる兄弟姉妹を救は  んとするさへ、之れを暴徒一揆と見做し吾等に向つて軍兵を派遣し、良  民を圧制殺戮したものである。此の罪、此の悪、何ぞ上帝の免し給ふと  ころぞ!上帝窃かに、余に一卷の書を下して汝等に告げしむるものであ  る。   秀全、恭しく卷物を捧げ持つて来て読む。一同礼拝する。 秀全 (卷物を読む声、朗々として響く)嗟、爾有衆明かに予が言を聞け。  予惟ふに天下は上帝の天下にして胡虜の天下に非ず。衣食は上帝の衣食  にして、胡虜の衣食に非ず。女子人民は、上帝の子女人民にして、胡虜  の子女人民に非ず。慨す。満洲の毒を肆にして、中国を混乱せしより、  六合の大九州の衆を以て一にその胡虜に任せ、恰として怪しむを為さず。                       中国に尚人ありと為す乎。妖胡虜焔蒼穹を燔き、淫毒宸極を穢す。醒風  は四海に播し、妖気は五胡に惨たり。而も中国の反て低首下心甘んじて  婢僕となる甚しい哉。中国に人なき乎。それ中国は首なり。胡虜は足な  り。中国は神地なり。胡虜は妖人なり。中国を名づけて神地となすは何  ぞや。天父上皇帝は真人なり。天地山海は、是その造成するところ、故  に従前、神地を以て中国と名けたり。胡虜を目して妖人と為すは何ぞや。  蛇魔邪鬼なり。韃靼の妖胡は惟だ敬拝す。故に当今、妖人を以て胡虜と  目せり。奈何ぞ、足は反りて首を加へ、妖人は反りて神地を盗み、我が  中国を駆りて尽く妖魔に変せしむるや、南山の竹簡を馨くするも、溝地  の淫汚を写し尽さず、東海の波濤を洗するも、満天の罪を洗浄せず。  予謹みて略其彰著なるを云はん。   この時、祭壇の背後より白煙蒙々として立ち昇り、白煙の中に神化し  た九濤(平八郎)の姿現れる。   一同、地に跪きて礼拝する  ……(幕)

石崎東国
「大塩平八郎−太
平天国の建設者
大塩格之助−鰥寡孤独
(かんかこどく)
妻を失した男、
夫を失した女、
親のない子、
老いて子のな
い人。
大塩「檄文」
にも見られる
言葉




嗟(ああ)








(ほしいまま)
















奈何
(いかん)

馨(かぐわし)く

(げき)








跪(ひざまず)
きて
 


「大塩平八郎の再生」目次/その1(登場人物)/その4

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