先　生　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　平八郎
逐日冬景相催御揃益以御安泰被成御座奉恭祝候、然者先頃は近藤
氏御紹介申上、早速無御異辞御逢被下、近藤氏も甚大慶に被存、
猶宜申上候様頼被人候、其後右惣領御入門訂日七日と権八郎を以
御伝声早速相違候処、彼方に少々さし支御座候、十一日後と申上
置、十五日に治定候問、尊家には御さし支無御座候哉承知仕度間、
十五日御さし支之有無乍御面倒被仰知可被下奉頼候、
一近藤より別紙之通申越、右は私内存承りに来候儀にて、備　電
覧候事如何と奉存候得共、私より一己之極を返事仕候儀も難仕、
夫故近藤へハ内々にて備御覧候間、多湖氏抔に寄宿人之有之候事
も御座候様相覚候付、右御振合私へ御内々にて被仰知可被下候、
尊家には右様之事に無御拘、唯御実意を以御世話被下候御中え、
箇様之事御伺申上候てハ却而厚き思召を傷ミ候に当り候へ共、近
藤氏も物堅キ人柄故、中途にて一己之斗り難仕間無拠右申上候間、
多湖氏之御振合御聞せ之程奉願候、先用事而已、緒余拝面万々可
申上候、以上、
　　　　　　　　十月十一日