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「大塩の乱関係論文集」目次
東亜堂書房 1910
◇禁転載◇
先 生 後素拝 前刻は拝謁大慶仕侯、扨件之儀、直様相咄候処、止笑不可言之体、 乍然私を以一旦尊公様へ相願候事にも有之候間、其 御頭様御用人中へ内談旁御城入いたし被申侯由被申聞、今日同役 衆へ示談、明朝御城入之積りに御座候間、左様思召置可被下候、 彼の人も磊落之名ハ有之候へ共、実心におゐて余程賢成処有之人 物に付、御用人中へ内談も平和にて御心易思召可被下候、緒余拝 謁万々可申上候得共、先右之段申上度如此御座候、以上、 十月廿五日
以上三通は事実連絡せるものと認む、先生とあるは柴田勘 兵衛、多胡氏とあるは勘兵衛同僚にて天羽流の剣術を能く せし多胡権之助を指す、近藤氏とあるは弓奉行近藤守重の ことなるべく、従つて以上三通は文政二三年のものなるべ し、文意によつて案ずるに平八郎守重の依頼を受け其子を 勘兵衛方に入塾せしるんとして斡旋せるが如し、