Я[大塩の乱 資料館]Я
2014.12.3

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「大塩の乱関係論文集」目次


『近江聖人百話』(抄)
その1

南山隠士

大学館  1910

◇禁転載◇

藤樹書院

管理人註
  

 藤樹書院は、近江国高島郡上小川村にあり。上小川村に至るには大津内 出の浜より汽船に塔じ、大溝港に至り北に向ひて進めば、永田、出鴨の村々 平坦砥の如き街道を挟み、鴨川の清流東に注ぐを見るべし。尚ほ鴨川堤に 沿うて東にすゝみ、数町にして橋を渡れば一小村あり。これ即ち上小川に して、藤樹書院は境内百坪余、園庭嘉卉の観るべきものなけれど、今尚ほ 老いたる藤樹の枝蔓蜿蜒、緑葉青々として繁茂し。先生が此の下に在りて。 書を講ぜらたる五十余年前の古を偲ぶべし。  書院の正面なる仏壇には、中央に先生、右に母堂、左に常省先生の位牌 を祀る。藤樹先生の位牌には、   藤樹先生。先生姓中江。諱原。藤惟命。号軒。称藤樹先生。   慶安六年戊子八月二十五日卒。邑東北玉琳寺。 西壁に先生の像を掲ぐ。之れを拝するもの、其の豊頬肥満、温醇玉の如く 大徳自ら備はられたるを想ふに余りあらん。書院の扁額は、分部大溝侯の 筆にして、玄関正面の『致良知』の三字は、藤原宣光が、勅を奉じて書し たるもの也。大広間の左榻間には、大塩中斎の遺墨を掲ぐ。



現在は
高島市安曇川町





嘉卉
(かき)
美しい草木

蜿蜒
(えんえん)
うねうねとどこ
までも続くさま



常省先生
中江常省
(なかえ じょうせい)
藤樹の三男













榻間
(とうま)
 


『近江聖人百話』(抄)その2
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