今夜の話も、また変な静澄でない話になつてしまつたが、私の現在は、
さういふ濁つた厭な心境にゐるので、おのづと暴露するものと見える。を
ととひの晩も夜半に目が醒めて、近世日本国民史の大塩平八郎のところを
読んだ。
大塩の文章はとげとげしてゐて豊かなところがない。それに青瓢箪で額
に青筋などが立つてゐて、短気で、憤慨家で、先づ世話焼気質で、何しろ
非常におもしろいので暁まで読んだ。
それから幾分かまどろんだところがその大塩の夢を視てゐたりして、宇
津木といふ門人の死ぬところなどが、目に見えて来て、疲れて私は床を離
れたのであつた。
何しろ大塩には洋々たるところが尠い。丁度このごろの私のやうだ。
|