| 下巻 国事及安寧第二 |
一 天保八酉年二月土井能登守様大坂御加番中同町騒動に付、御家中の人よリ江戸表御藩中へ文通之趣左の通り、
天満与力大塩平八郎と申者、町奉行跡部様に被有之、去十八日暁忍入、指殺さんと致候処、仕損し候に付、火事といつて町奉行を引出し殺さんと計、棒火矢炮烙にて放火いたし、制しの人と見候へは、大筒を以打払候に付、当り近辺へ難近付、火事を防候者無之、老若男女逃走、只泣叫火事おこリ次第如何成行候哉、危殆に思ひ、誰しも安き心なく、御加番様方、大筒具足玉薬、何程にても御貸被成候故、誰様にも御借用、此方様にも百目の大筒御借用、極楽橋南詰に御居被成候、誠に天草以来の事と申事に御座候、猶後便御注進可申候、