Я[大塩の乱 資料館]Я
2012.4.5

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「洗心洞通信 53」

大塩研究 第65号』2011.6 より

◇禁転載◇


◇大塩中斎忌法要・講演と総会

  二〇一一年三月二十六日午後一時半から成正寺において、同寺主催の「大塩父子及び関係殉難者怨親平等慰霊法要」が有光友信住職・友昭副住職によって営まれ、本堂前の墓碑に展墓した。
 その後、本会主催の記念講演がおこなわれ、横田冬彦氏(京都橘大学教授)が「本を読む村人」と題して講演した。同氏は日下村の庄屋森長右衛門をはじめ、各地の庄屋や医者、在郷商人が記した日記のなかから、読書や書籍に関する記事を詳細に見ていくことで、行商の貸本屋の存在や蔵書の内容などについて明らかにし、近世の村人のライフスタイルのなかに「読書」が組み込まれていたことを指摘した。講演のあとには、同氏が持参された『節用集』を見せていただいた。
 小憩ののち、内田正雄委員の司会で総会が開かれた。久保在久事務局長の挨拶に続いて、常松隆嗣委員から一〇年度の会務報告(会誌六三・六四号の「洗心洞通信」参照)があった。つづいて、久保事務局長から一〇年度の会計報告、相蘇一弘会計監査委員から会計監査報告があった(会誌六四号参照)。一一年度の活動方針については、松永友和委員から六月に開く例会の概要とその後の行事計画(見学会も含め、年五〜六回程度)が提案された。
 また、本年は委員の改選期にあたることに加え、酒井一会長の急逝をうけて、委員の大幅な交代を提案した。委員の新たな構成として、顧問有光友信・井形正寿・向江強、会長薮田貫、副会長久保在久・常松隆嗣、事務局長内田正雄、委員井上宏・柴田晏男・島田耕・志村清・白井孝彦・西山清雄・松井勇・松浦木遊・松永友和・山崎弘義、会計監査委員奥野まさ子・政埜隆雄の諸氏を提案した。
 いずれの案件とも拍手で承認され、柴田委員の閉会の辞で締めくくった(常松)。
 なお、当日の参加者は、(略) 計三六名

◇酒井−先生を偲ぶ会

 本年一月九日逝去され、葬儀は親族のみで執り行われました。会長が死去されたことは、直後に全会員に葉書でお知らせしました。四月九日に「偲ぶ会」が実施されることになり、本会が中心になって準備作業に取り組みました。本会会員一四〇名、酒井先生のご交友関係約七〇〇余については案内状を発送。それに龍谷大学酒井ゼミ「龍酒会」関係の三〇〇余通は岸本隆己氏(本会会員)が中心になって発送されました。
 本会の事務局を置かせていただいている成正寺様には郵便物の受け取りや連絡でお手を煩わせました。また、郵便物の発送に当たり、PLP会館様には館長で本会会員の荒木伝様のご厚意により、発送作業場の確保、コピー機の使用の便宜を図っていただき、正善院加藤貫彦様にはコピー用紙を提供して頂きました。二月二三日の発送作業には、本会会員の泉淳子、井上宏、内田正雄、柴田晏男の各氏にお手伝いをお顔いしました。「偲ぶ会」当日には内田、山崎弘義様に書籍の運搬等でお世話をおかけしまし た。記して厚く御礼申し上げます。(久保)

◇特別会計の閉鎖について

 本会計は、一九九〇年度に「大塩事件追悼碑建設委員会」から引き継いだ基金をもとに発足し、大阪西区の「終焉の地」建碑や、ビデオ「大塩平八郎と民衆」制作などの事業を行ってきました。昨年の「三十五周年記念事業」もこの会計で実施したところです。また、便宜上本会付属の「大塩の乱関係資料を読む部会」や、会の刊行物の販売代金などをこの会計科目に計上して運用してきました。
 しかし今後は建碑など特別な事業が見込まれる予定もいまのところなく、特別会計の役割はすでに終わっていることや、「読む部会」や刊行物販売代金は、別会計にする意義があまり認められず、むしろルーチンワークに近いことから、統合してはどうかという論議もなされていました。このため、本年度をもって特別会計を閉鎖します。今後、特別会計として取り扱うべきべき事案が生じた場合は、その時点で、別途検討することにします。本年度決算(一月末現在)における残高は、二七万四九九四円となっています(二月六日会計監査済み)。
 本年一月二二日の拡大委員会において、この残高を長年功績のあった酒井一会長に報いるため「偲ぶ会」経費等に充当することが承認されました。
 これにより主として「偲ぶ会」開催の案内経費、運営費等に充当することにし(五月一二日の拡大委員会で報告済み)、下記の通り支出しました。
 これにより残高ゼロとなりましたので、「偲ぶ会」が開催された四月九日をもって本会計を閉鎖します。以後は会に関わる収入支出は、すべて一般会計に一本化します。(五月一二日の拡大委員会において報告済み)(久保)

◇『大塩平八郎の総合研究』刊行

 酒井前会長の発案で進んでいた論集『大塩平八郎の総合研究』が四月九日、偲ぷ会に合わせて発刊されました。「まえがき」には、酒井先生が大塩事件研究会創立三五周年に当たって用意された文章が配され、二〇〇〇字におよぶ大塩の檄文が本書をカバーするという苦心の作品です。薮田貫、相蘇一弘、竹内弘行、向江強、深谷克己、森安彦、青木美智男、山田忠雄、常松隆嗣、松永友和、吉田公平、山崎國紀の十二名(掲載順)の力作が掲載されています。とくに山田忠雄氏には本年正月元旦にご逝去され、ご遺著となりました。本号に若尾政希先生の紹介記事掲載。

◇東日本大震災義損金

 会員の皆様に「総会」及び「関係資料を読む部会」の会場にて「東日本大震災」への募金をお願いしましたところ、五九〇〇円が寄せられました。ご協力誠に有り難うございました。早速、全額を三月三一日に吹田千里丘上郵便局を窓口としまして「日本赤十字社東北関東大震災義損金」口座へ振り込みましたのでご報告致します。(内田)

◇会員の訃報

福島雅蔵氏 本会創立時の会員の一人。一一年三月二六日死去。一九二一年大阪府生まれ、京都大学文学部史学科卒、花園大学名誉教授。 著書に『近世畿内政治支配の諸相』(和泉書院、二〇〇三年)など、『狭山町史』の編纂にも関わられ、狭山池に関する論文も。酒井会長の「偲ぶ会」には生前に弔電を寄せられていた。三五年余にわたる本会へのご協力に深謝します。

浜田博美氏 一一年四月四日死去、〇七年三月入会、東大阪市在住、七九歳。例会には熱心に参加されていた。


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