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九三 二程子曰く、「見聞の知は、乃ち物に交つて
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知るなり、徳性の知る所にあらず。徳性の知る所
は、聞見を待たず」と。又た曰く、「閲見の知は、
徳性の知にあらず。徳性の知る所は、聞見を仮ら
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ず」と。又た曰く、「良知良能は、皆由る所なし。
乃ち天に出で、人に係はらず」と。又た曰く、
● おしひろ
「夜気の存する所は、良知なり、良能なり苛も拡
あ たんちう こく
めて之を充てば、旦昼の梏する所を化して、夜気
の存する所と為す。然る後以て聖人に至るあり」
と。程子説く所の四條の知は、皆良知なり、之を
拡充すれば則ち聖人に至る。陽明先生より始まる
にあらざること、此に於てか又た識るべし。
二程子曰、「見聞之知、乃物交而知、非徳性
所知、徳性所知、不待於聞見、」又曰、
「聞見之知、非徳性之知、徳性所知、不
仮聞見、」又曰、「良知良能、皆無所由、
乃出於天不係人」、又曰、「夜気之所存
者、良知也、良能也、筍拡而充之、化旦昼
之所捨、為夜気之所存、然後有以至於聖
人也、程子所説四條之知、皆良知也、拡充
之則至於聖人、非自陽明先生始、於
此乎又可識矣、
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●二程子。程明
道、程伊川。
●徳性。中庸に
「君子徳性を尊
んで、問学に道
る」とあり、天
賦の本性をいふ。
●由る所なし。
或る修為の力に
由らぬ。
●夜気云々。孟
子告子篇に夜気
を説ける章あり、
夜間静かに養は
れた平旦の純一
の気を称す、良
知良能も孟子始
めて之を言ふ、
旦(朝)昼為す
所の悪事が大き
いと夜気の発生
を阻害(梏)す、
其を化さなくて
はならぬ。
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