山田準『洗心洞箚記』(本文)241 Я[大塩の乱 資料館]Я
2010.11.12

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『洗心洞箚記』 (本文)

その241

山田 準訳註

岩波書店 1940 より



◇禁転載◇

下 巻訳者註

    九三 二程子曰く、「見聞の知は、乃ち物に交つて         知るなり、徳性の知る所にあらず。徳性の知る所  は、聞見を待たず」と。又た曰く、「閲見の知は、  徳性の知にあらず。徳性の知る所は、聞見を仮ら                     ず」と。又た曰く、「良知良能は、皆由る所なし。  乃ち天に出で、人に係はらず」と。又た曰く、                      おしひろ  「夜気の存する所は、良知なり、良能なり苛も拡       あ      たんちう こく  めて之を充てば、旦昼の梏する所を化して、夜気  の存する所と為す。然る後以て聖人に至るあり」  と。程子説く所の四條の知は、皆良知なり、之を  拡充すれば則ち聖人に至る。陽明先生より始まる  にあらざること、此に於てか又た識るべし。   二程子曰、「見聞之知、乃物交而知、非徳性   所知、徳性所知、不於聞見、」又曰、   「聞見之知、非徳性之知、徳性所知、不   仮聞見、」又曰、「良知良能、皆無由、   乃出於天人」、又曰、「夜気之所存   者、良知也、良能也、筍拡而充之、化旦昼   之所捨、為夜気之所存、然後有以至於聖   人也、程子所説四條之知、皆良知也、拡充   之則至於聖人、非陽明先生、於   此乎又可識矣、


二程子。程明
道、程伊川。

徳性。中庸に
「君子徳性を尊
んで、問学に道
る」とあり、天
賦の本性をいふ。

由る所なし。
或る修為の力に
由らぬ。

夜気云々。孟
子告子篇に夜気
を説ける章あり、
夜間静かに養は
れた平旦の純一
の気を称す、良
知良能も孟子始
めて之を言ふ、
旦(朝)昼為す
所の悪事が大き
いと夜気の発生
を阻害(梏)す、
其を化さなくて
はならぬ。


『洗心洞箚記』(本文)目次/その240/その242

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