登殿、雑務如 常、退出の後、大久保氏を訪ふ、明日水府へ発足する
ゆゑ也、
○夜、津田右仲来りて云へらく、親類檜山勘衛門、夫婦和せずして、
離縁にも至るべきさまなれども、幼子一人懐姙せり、婦人不良不順の
こともきかず、然るに勘衛門、かく離縁をもせんといふは、理なきわ
ざなれば、其父母親類、ひたすらにとゞむれ共、更にうけがはす、あ
はれ一言せちにいさめとゞめ給へかし、答て曰く、父母親類のとゞめ
玉ふをうけざるうへは、いかで朋友のいさめを用ふるの理あらむ、然
れども、閨門のことは親子兄弟中に而は、えいふまじきことも、朋友
にはかたりやすきこと、世にあることなれば、いかにも御頼みにま
かせ、いさめまゐらせんとぞ約しける、
|