Я[大塩の乱 資料館]Я
2001.5.3

玄関へ

大塩の乱関係論文集目次


「大 塩 平 八 郎」
その12

『異説日本史 第6巻』雄山閣 1932 より


◇禁転載◇

  三 真山氏は醜行ありとする

 しかし真山青果氏の史劇『大塩平八郎』では、この平八郎の不倫の私行を事実であるとしてゐる。前にも断つたやうに仮ひ戯曲であっても、史実の考証精密で博捜な真山氏においては之を見逃す訳にはゆかないのである。即ち、同劇の第一幕の中に、平八郎の門弟たちが密通の一件を噂する次のやうな一節がある。

また第四幕の、高弟宇津木が師の平八郎に向つて諌言する場面に、

とある。これは真山氏の養女に通じた平八郎の不倫な行為についての弁護であると見てよい。森鴎外の『大塩平八郎」の附録には、この事件については何等記すところがない。返忠の吉見九郎右衛門の密訴状中かゝる私行をあばくは就中道理を弁へぬ仕儀ではあるが、これが果して虚に吠える『逃吠』に過ぎな かつたか。咬菜秘記の弁護がこの醜聞を解くに充分力あるものであらうか。


石崎東国「大塩平八郎伝」その64


(異説日本史)「大塩平八郎」目次その11

大塩の乱関係論文集目次

玄関へ