Я[大塩の乱 資料館]Я
2003.5.18

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大塩の乱関係史料集目次


『事 々 録』 (抄)

その42

三田村鳶魚校訂

 『未刊随筆百種 第6』米山堂 1927 収録

◇禁転載◇


天保八丁酉年

時疫、

○時疫流行侯節、此薬を用ひて其煩ひをのがるべし、

一 時疫には大粒なる黒大豆をよくいりて壱合、甘草壱匁、水ニてせんじ出のんでよし、右医握ニ出、

一 時疫にば茗荷根と葉を搗交せ汁を取、多く呑てよし、備急方ニ出、

一 時疫には牛房突くだき、汁を絞り茶碗半分つゝ、弐度にのんでよし、其上桑の葉を一握程火ニてよくあぶり、黄色に成たる時、茶碗に水四盃を弐盃にせんじ、一度に呑で、汗をかきてよし、もし桑の葉なくば、枝にてもよし、孫道人食志ニ見ゆ、

一 時疫にてねつ殊之外つよく、気違ひの如く、さわぎくるしむには、芭蕉の根をつきくだき、汁をしほりのみてよし、備急方ニ出、

一 一切の食物毒にあたり、胸くるしく腹張り痛ミには苦参を水ニてよくせんじ飲、食を吐出してよし、右同書、

一 一切の食物にあたりくるしむに、大麦の粉をいりて、かふばしくし、素湯ニて度々飲てよし、本草網目ニ出、

一 一切の食物にあてられて、口鼻より血出て、もだへくるしむには、葱をきざみて壱合水ニてよくせんじ、ひやしおきていく度も飲べし、血出やむまで用ひてよし、衛生易筒ニ出、

一 一切の食物毒にあたり煩ふに、あか小豆の黒焼を粉にして、蛤貝に一ツほども、水ニて用ゆべし、獣の毒にあたりしにはいよ\/よし、千金方ニ出、

一 菌にあてられたるに忍冬の芝葉とも、生ニてかみ、汁を飲てよし、夷災志ニ出、

右之薬法、凶年之節辺土之者、雑食の毒に中り、又凶年之後、疫病流行之事有、其為簡便方を撰べし、其旨被仰付諸書之内より致吟味出也、

  享保十八辛丑年十二月      望月三英
                     丹羽正伯


右享保十八丑年飢饉之後、時疫流行致候処、町奉行所ニて板行被仰付、御領所村々江被下候、右は当時諸国村々疫病流行致、又は軽き者共雑食の毒に中り相煩ひ難義致候様相聞候、天明四辰年御薬法為御救相触候処、年久敷事故、村々ニて致防失候儀も可有之候ニ付、此度為御救右之写、猶又村々領主地頭より可被相触候、

  酉四月


『事々録』目次/その41/その43

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