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大塩の乱関係史料集目次

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　前書
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　吉見九郎右衛門伜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　吉見英太郎
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　酉十六歳
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　同断
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　河合善太夫孫
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　河合八十次郎
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　酉十八歳
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　右両人口上

一　私共儀、御組与力大塩格之助同居養父大塩平八郎、不容易企いたし候趣、九郎右衛門申付請、西御奉行所江密訴仕候付、始末御吟味に御座候、

此段私共儀、九郎右衛門、并八十次郎父河合郷左衛門共前書平八郎儒学門人ニ而、私共儀も、七ケ年以前卯年、文武共同人弟子に相成、其節格之助屋敷内江寄宿罷在候処、同人儀は、兼而前書藤重良左衛門門人ニ而、去申年九月頃、同人伜藤重槌太郎を呼寄、炮術稽古いたし候ニ付而は、私共儀も同様致修行候様、平八郎申勧候由ニ而、九郎右衛門、郷左衛門、右良左衛門相頼、入門為致格之助諸共稽古いたし居候処、平八郎儀、当春に相成候ハゝ、格之助に丁打をも可為致積ニ付、火薬棒火矢放録等之拵向、手伝候様申付候間、私共儀も始終平八郎手元江罷出、差図之通相仕罷在候儀に有候処、同人儀、丁打と偽、不容易企いたし、火薬等分外に拵、弥密談に力を入候趣追々洩聞、驚入、案外之儀ニ而、油断難成心配仕候得共、八十次郎父郷左衛門儀は、平八郎密事之返答遅々およひ候迚、同人大に憤、被辱候上、厳敷打擲受候儀に差迫候哉、出奔いたし候仕儀に相成候付、私共申談之上、英太郎儀、平八郎用事申付、罷出候節、帰宅致し、其段九郎右衛門江竊に相咄候処、八十次郎申合証拠立候品手に入候ハゝ、持帰、其外にも異変之儀、及見聞候ハゝ、早々可申聞、其上ニ而密訴之取計方も有之候旨、九郎右衛門申聞候付、猶又平八郎方江立戻候処、当二月十八日夜。同人始徒党之もの寄集、翌十九日、両御奉行方天満辺御巡見御治定ニ付、兼而手筈之通、大筒打掛、引続所々放火およひ候決議相整候次第、私共立聞難捨置候付、右企之証拠にも可相成哉と、竊取隠置候檄文板行摺壱枚持参、同夜四ツ半時頃、申合、塾を忍出、九郎右衛門江檄文相渡、委細告聞候処、同人より封書壱通受取、差図に随、西御奉行所江密訴、差出候手続九郎右衛門申上候通ニ而、八十次郎儀、郷左衛門出奔いたし候趣、其節承候付、不取敢行衛相尋度、心底に有之候得共、猶更滞塾之儀、平八郎厳敷申付受、無拠意外に打過、日夜心掛に存罷在候折�ﾈニ付、旁父之愛慕難堪候間、郷左衛門行衛相尋度、英太郎儀も同組内之儀、同様相尋度竊立出候旨、銘々認残、塾中に差置、前書十八日夜、格之助屋敷を忍出候儀ニ而、最前火薬等取拵之節々、又は平八郎申付、格之助并私共打寄、前書檄文と号候書面板行摺等、毎夜深更まて平八郎手元江罷出、手伝ひいたし居り候儀に候得とも、同人企に荷担相勧られ、誓書に調印いたし候儀は曾而無御座候処、御吟味に相成、褒恐入候事、

右之通相違不申上候、猶御尋之儀は、追々有体可申上候、以上、
　　酉四月
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　九郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　英太郎
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　八十次郎