Я[大塩の乱 資料館]Я
2013.8.30

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「大塩の乱関係論文集」目次


『大塩平八郎』

その4

香川蓬洲

精華堂書店 1912

◇禁転載◇

第一席 (3)

管理人註
   

             ゆが  此大塩平八郎と云ふ人は、曲んだ事の嫌ひな上に、実に正直な人であ つたには違ひは無いが、平八郎だからと云つて木の股から生れたのでは       ちやゝ ない、矢張り青楼の段梯子を昇り降した事はある、二十歳余りの時には、 曾根崎新地へ遊びに往つて、芸妓のお広と云ふのに馴染を重ね、遂に文     みつけ                    やしき 政元年に落藉はしたものゝ、平素の気質が気質だから、自邸へ直ぐに引 入れるなどといふ事は致しません。  此お広といふのは、新地の一丁目、茶屋和市の娘でございましたが、                 かね どうも青楼娘では聞えが悪いから、予て懇意にいたして居る処の般若寺 村、これは天王寺から余り遠くない処でございます、其般若寺村の百姓 で忠兵衛といふ者がある、其忠兵衛の妹と云ふ事にして、名もお勇と改 めさせ、自分の屋敷に離座敷がございますから妾と云ふ事にして、住は せてありましたが、其実は正妻も同様、何くれとなく平八郎の世話から、    まかな 家事の賄ひをして居りました。

   


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