発行人 向江強/編集 和田義久
目 次 第124回例会 「塩逆述 巻之七上」 (4)及乱妨候次第風聞書 (5)島原侯蔵屋敷役人からの書 ・大根屋小右衛門について ○「中斎逸話」(3) ○読む会100 回を記念して 尾崎 真二郎 ○私設ホームページ「大塩の乱資料館」と協力のお願い ○「読む会10周年忘年会」案内
第124回例会(『塩逆述』からは第56回)は10月25日に開催、巻七の6丁から12丁まで進んだ。参加者は18人。
(4)及乱妨候次第風聞書
この風聞書を書き留めたのが誰か記載されていないので、わからない。しかし、「私引取候節、十三を罷通り候処、名前等相尋候・付答置候事」との一文が記述されているので、奈良在住の人であろうか。
風聞書なので、だいたい今まで知られている事柄が記載されているが、二、三聞いたことのないもあってそこを中心に例会では議論になった。
「岡部様御立派」は、身仕度がすばらしかったことをいっているのだろうが、「岡部美濃守様・・御在所・御出馬有之、十九日暮方・御着有之由」とあり、岸和田藩主岡部内膳正長和が大坂へ出陣してことが記述されていて、これは史実に間違いないだろう。当時、岡部長和が江戸ではなく、岸和田にいたことは確認されている。美濃守は内膳正の間違いであろう。
また、伯太藩が出兵したとあるが、これも確認されていない事柄である。
島原藩の大坂蔵屋敷役人(岡部武兵衛・羽田喜太夫の連名)が二月二一日に江戸へ送った書状である。
まず、島原藩の蔵屋敷は、現在の日本銀行大阪支店のところにあった(『大阪の町名』)。
さて、問題になったのは、「天満大根屋と申銀主方へ炮烙ヲ打込」の一節に出てく る大根屋のことであった。
大根屋小右衛門について、『尼崎市立地域研究史料紀要』に、林基氏が「藩財政改革家石田小右衛門研究あゆみ」と題して論文が掲載されている。その連載の三)で (通巻六七号・平成五年九月)、史料館の中村がその概要を簡単に紹介しているので引用する。なお、天満の樋之上町にあった大根屋の屋敷は、分家の干物屋「忠右衛門」の 方で、天満11丁目にあった本家の「小右衛門」屋敷とは異なる。また、実際に炮烙 が打ち込まれたのか確認できなかった。
石田小右衛門(こえもん)は、摂津国豊島郡東市場村(麻田藩領、現池田市)の庄屋岸上家に生まれ、大坂天満の商家大根屋を継いだ人物である。
なお、石田小右衛門は、弘化期に麻田藩(豊中市)の財政改革にも関係している。
石田は諸旗本の財政に食い込んだ財政改革家であったといってよい。
『尼崎市史』第二巻 三九二、三九七頁
「中斎逸話」(3) |
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読む会100 回を記念して | 尾崎 真二郎 |
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今年9月の読む会を欠席し皆様方に大変御迷惑をお掛け致しました。釈文の事を気 にしながら結局忘却していました。衷心より御詫び申し上げます。
回顧しますと約10年位前、未だ古文書の知識も殆んど無く、郷里和歌山の歴史を 暫時解明し始めた頃、大阪の歴史的背景を知りたいと希望して入会しました。和様漢 文体の候文には不慣れで、所謂漢文体の読解法でも無く、種々の面で大層理解出来、 大いなる収穫を得られました。毎年の大塩事件研究会行事には到底参加出来ずに、時 折は散策会に出席して、各種の勉学になった点、大いに評価したい。
平成8年8月27日(火)より滋賀県安曇川町へ古文書整理に有志の方々と約1年 半位月に1回程通った事、藤樹書院で小川文書中、松浦三作の手紙に接した事、酒井 一先生と寝食を伴にし、奇しくも紀州有名人を介し親密な御縁を得ました。又元天理 ウ会の役員の所蔵和本を手掛かりにその人の300冊の目録も調査出来ました。未だ 洋書も同数在るのを確認しました。先生の御好意には絶大な御恩恵を謝し度存じま す。 徳島脇町への検証旅行、屋久島調査旅、最近では森鴎外説、大塩逃避筋検証散歩 等、走馬灯の如く彷彿するこの頃です。奈良の島野氏急死に際し膨大な蔵書を2回引 き取りも大変でした。
今後、N女史のホウムペ−ジ、和田氏も熱心に取り組んで戴いていますが、微力ながら少しでも貢献出来る事を感謝致しています。
私設ホームページ「大塩の乱資料館」と協力のお願い) |
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今年6月から私設ホームページ「大塩の乱資料館」をインターネットで公開してい ます。
読む会会員の方でインターネットをやっている方は少ないようですが、例会の始ま る前に、成正寺のパソコンで見せていただけると思いますので、関心のある方は、早 めにご来場の上、お申し出ください。
もともとは、大塩事件研究会の公式ホームページを作っていただきたいという願い があったのですが、諸般の事情で、実現がむずかしいと思い、自分でとりあえず作っ てみました。といっても、あまりパソコンのことはわかっていないので、見よう見ま ねでやっています。
目的は、自分で見るのに便利なようなもの、ここを見れば、ある程度「大塩の乱」 についてわかってくるかな、というようなものを作るということです。その点では、 事典の項目を増やしていきたいと思いますがなかなかまとめられなくて、進んでいま せん。
内容項目は別紙のようなものですが、現在、会報や関係論文の転載を中心に、文献 情報のリストアップなど、150ヘージぐらいになっています。向江先生や井形さん のものも掲載させていただいています。森鴎外の「大塩平八郎」の連載も始めまし た。
ホームページ公開にあたっては、大塩事件研究会に協力を依頼し、『大塩研究』か らの転載(大塩事件研究会に著作権のあるもの、著者の許諾を得たもの)など了解し ていただいております。また、成正寺の有光師に、「檄文」の利用、論文の提供など 快諾いただきました。また、「読む会」のみなさまには、会報の転載も含めて、以前 例会で、公開に先立ってご了解いただきました。
ホームページに論文など転載の場合は、『著作権法』 の「公衆送信権」などに触れ ないように、個別に著作権者の許可を得るという作業が必要になってきます。
著作権の保護期間(著者の死後50年)の消滅した論文で、おもしろそうなものも収録したいといろいろ探しています。古い資料は、内容を見ることが容易でありませんから、そのまま再現することはできませんが、先人の研究の一端に触れることができればと思っています。
最近は、読む会会員の方何人かにご協力いただいて論文などの入力を手伝っていた だいております。おかげさまで、収録論文は50ほどになりました。また、ホームページ用に加工する段階も含めて、誤植や間違いもありますので、校正の協力もお願いしています。
●現在の作業
・著作権処理 転載お願い文作成など
・入力依頼の準備 スキャナー読取り、原稿用意など・入力原稿の校正 ホームペー
ジ用加工、公開
・公開後の再度校正
●協力のお願い
・パソコン・ワープロなどへの入力
・校正
・事典などの原稿作成
・所蔵されている古文書などの提供(画像にします)・文献などの情報
・その他なんでも
最近は、いろんなホームページができていて、有益な情報も多く見られるようにな りました。「大塩の乱資料館」も、少しでも「大塩の乱」について理解が深まり、研 究の一助となればと思っています。協力いただける方は、お申し出ください。よろし くお願いいたします。
また、先に亡くなられた島野三千穂氏(以前は「読む会」にも参加されていまし
た)の「追悼文集」のようなものを作って、著作とともにまとめたいと思って著作を
ホームページに公開しながら、準備を進めています。残された蔵書の整理と平行しな
がらやっていますので、こちらへの協力もできる方にお願いしたいと思います。
(N)
「読む会10周年忘年会」案内 今年の忘年会は、大阪で唯一与力門の遺構の残る造幣局の「桜クラブ」 をお借りします。ぜひご参加ください。与力門をくぐって入ります。 日時 12月13日(月)6時半から約2時間 場所 「桜クラブ」06−6352−6205 北区天満1−25−6造幣局 地下鉄「天満橋」下車徒歩10分 バス「東天満」すぐ 会費 5000円くらい 申込 12月3日まで