Я[大塩の乱 資料館]Я
2014.10.8

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『演劇脚本大汐噂聞書』
その1

重扇助

中西貞行 1894

◇禁転載◇

序幕 老婆貢住家の場 (1)

管理人註
  

     役人替名   一 幻の吉五郎  一 百姓権兵衛   一 百姓仁助   一 伊藤伊予守霊魂   一 同 太郎助  一 母 貢   一 同 又作   造物 二重襖、通り押入、納戸口、赤壁   下手塗垂塀 上手障子家体   都て世話場の飾附  吉五郎、仁助と角力を取り、又作、権兵衛、太郎助、居る  誂らへの鳴物にて幕開く  〔ト 両人色々あつて、仁助を見事に投げる 皆 々 ハヽヽヽ 仁 助 何で笑ひさらすのじや、勝負は時の運づくじやわい 権兵衛 何ぼう運づくでも、子供に負ける奴があるものか 又 作「吉五郎に投げられおつた、ざま見され 太郎助 高慢の鼻、ひしげてよい気味じやわい 仁 助 ヤイ吉五郎、能うもおれに打附けさらした、覚へて居いよ 吉五郎 ヲヽ口惜しくば、角力でなりと、喧嘩なりと仕掛けて来い/\ 仁 助 おのれ小びつちよめ、其口止めてこますぞよ  〔ト 納戸より貢出て    是はしたり、何を其様にいふのじや、静かにして下され 仁 助 イヤ婆様、吉五郎めが、おれをばむごう打附さらした故、此様に    いふて居るわいのう    又ほたへが過る故、仕舞にはいさかひが出来るといふもの、吉五    郎、たんなんだがよいわいのう、イヤ何仁助殿、腹も立うが了簡し    て下され、私が誤り升るわいのう仁「仕方がない、婆様の挨拶故、    了簡してやるわい   忝なう厶るわいのう 太郎助 時に往て仕事をば仕て仕舞はうではあるまいか 又 作 ヲヽ夫がよい/\ 仁 助 此返報待てけつかれよ 皆 々 よいわい行け/\  〔ト 橋掛りへ這入る 吉五郎 おのれ其口止めてこます  〔ト 走り出るを    コリヤ待ちや、おのれはなア○今日迄心任せに育てたが、あると    あらゆる悪党の仕次第、コレ迚も悪党するならば、父御の無念を受    難で武士にならうとは、なぜ望まぬ、言甲斐もない、其方はなア 吉五郎 コレ母者人、そんなら私は侍の子じやといはんすか    ヲヽ父御は今川家の大忠臣、伊藤伊予守殿、其方の幼名伊賀之助、    今川家滅亡してより、此八坂へ身を忍び、吉五郎と呼び、成人させ、    父の無念を晴させんと思へとも、其心では思ひも寄らず○  〔ト 位牌を取て来て    其方の様な不所存者、親子の縁を切た徴し、父御の位牌で斯う/\    /\○きり/\此家を出て行きやれ  〔ト 奥へ這入る 吉五郎 フム○今の今迄おれが身は、町人の胤と思ひしが、今母者人の物    語では由緒ある武士の忰、コリヤ分別をせにやならぬわい  〔ト どろ/\になり、上手の切穴より大きなる蛙をせり上る 伊予守 忰々、伊賀之助/\ 吉五郎 扨こそ怪しき  〔ト 出刃包丁を持て突かゝらうとしてたじろく、是にて蛙割れると、   中より伊予守、白の陣立にて出て 伊予守 愚かや忰○某こそは先年桶狭間の戦ひに、無念の打死致したる、    伊藤伊予守が無念の魂魄 吉五郎 ヤ何と

大塩噂聞書」
(摘要)





















誂(あつ)らへ












































厶(ござ)る


『演劇脚本大汐噂聞書』目次/その2

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