Я[大塩の乱 資料館]Я
2014.11.22

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『演劇脚本大汐噂聞書』
その46

重扇助

中西貞行 1894

◇禁転載◇

八幕目 奉行所白洲の場 (2)

管理人註
  

弓太郎 モシ、伯父さま、なぜ母様を叱らしやる、モウ堪忍して上げて被    下いのう、夫共母様を叩くのから、其代りにぼんを叩て被下いのう お 勇 ヲヽ能ういふてたもつたのう、仮令母はどうなるとも、何の其方    に棒一つ当さゝうか、サア、お疑ひがあるなれば、妾を勝手に被成    升せ 又兵衛 ヤア、しぶとい女郎め、水責の用意致せ 伊賀守 ヤレ待て、又兵衛、某、工風を以て白状致させん、何高橋、召捕    置きし女引出せ 高 橋 ハアヽ  〔ト 上手へ這入る 又兵衛 コリヤお勇、今白状をさせて見せる、待ておれ 浄るり 無残なるかや峯が身は、昨日に変る飛鳥川、罪なき淵に沈み行く、    水の哀れや三平も、共に棚む憂涙、今日ぞ散りなん風情にて、足の    踏度も定めなく、白洲にこそは引すへる、お勇は見るより お 勇 其方は三平 お 次 お峰殿 弓太郎 ヤ、三平か 浄るり 走寄る稚子、支へる高橋、二人は寄らんと思へども、身は儘なら    ぬ縛り縄、泣より外の事ぞなき、三平は、顔を上げ 三 平 奥様、浅猿いお身におなり被成升たなア お 峯 弓太郎様にも御無事なお顔を見升た嬉しさ、囚はれとなりしより、    旦那様のお行衛を白状せいと毎日の責め○ 浄るり 仮令此身はひしびしつ、責め折檻に会ふとても、 お 峯 知らぬ事はどう白状が仕られ升せう 浄るり 本に難而、殿様と身を打伏して泣居たる お 勇 ヲヽ道理じやわいのう、私さへ知らぬ夫の行衛、何のこなたが知    つてよいものかいのう お 次 どうぞお峯殿をお赦しあつて、其代りに私を拷問被成て被下升せ お 峯 エヽ申、勿体ない、私が身に代つてやらうとのお詞は、死んでも    忘れは致し升せぬ 浄るり と手を合はさねど詫涙、高橋はとがり声 高 橋 此上にも白状せねば、どいつこいつの用捨はないぞ 又兵衛 サア早く白状致せ 三平・お峯 夫じやといふて知らぬ事が 又兵衛 ぬかさにや爰にて拷問せうか 両 人 サア夫は 高 橋 白状するか 四 人 サア/\/\ 敵二人 此上は寧そ手短かに 伊賀守 コリヤ/\、両人、白状致さす仕様は様々、先其忰を打すへい 両 人 畏り升た 浄るり 畏つたと両人が、かよはき稚子鷲掴み、見るに母は堪り兼 お 勇 アヽ、コレ/\此余丈けない者を拷問とは、お情ない、其子の代    りに私をお叩き被成て被下升せ お 峯 何の因果で此命が早う終らぬ事かいなア、早う、死たい/\わい    なア 浄るり 叶はぬ手先で稚子をかき寄せ/\、抱きしめ、天を白眼で血の涙、    シヤ面倒なと、両人が白洲に引すへ打たゝけば 弓太郎 アヽ痛いわいのう 高 橋 白状せねば斯う/\/\

大塩噂聞書」
(摘要)





































浅猿(あさまし)い

















































寧(いっ)そ


『演劇脚本大汐噂聞書』目次/その45/その47

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