Я[大塩の乱 資料館]Я
2014.11.23

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「大塩の乱関係論文集」目次


『演劇脚本大汐噂聞書』
その47

重扇助

中西貞行 1894

◇禁転載◇

八幕目 奉行所白洲の場 (3)

管理人註
  

浄るり 情用捨も荒男が、しもとの下に苦しむ稚子見るに、三平堪らへ兼 三 平 アヽモシ、暫らくお待被成て被下升せ 高 橋 ヤイ三平、今弓太郎の拷問を止めるからは 両 人 白状致す心なるか 三 平 是迄日毎の拷問に、肉は破れ、骨も砕くる苦しさも、此身一つに    堪らへ升れど、目の前主人の和子様が責苦にお逢ひ被成升るを、ど    うマア堪らへておられ升せう 伊賀守 フム、白状致せば拷問を致すに及ばず、シテ大塩親子は何れにお    るか 三 平 主人御親子に於升ては、彼騒動の其砌り、尼ケ崎迄落延びしが、    旦那様には、和子様始め奥様方の御身を案じ、私をば彼地よりお帰    し被成し其時に、落着く先をおき申せど、只九州路と斗りにて、夫    が主従別れのお詞、私さへも存じ升せねば、仮令如何程責るとも、    奥様始め彼方がたには、猶以て知らぬ事に厶り升る 伊賀守 ヤア、白状と申故、慥な事をほざくかと思へば、不分明なる申分    ○此上は三平めを天秤にかけ、まつた峯めに水くらはせ 両 人 畏つて厶り升る 浄るり 心得升たと二人の下知、ハツと立寄る牛頭馬頭が、情用捨も荒縄    にくゝる梯子の水責は、此世からなる呵責の苦しみ、業の秤に引替    へて、畚に入れたる幼子の、罪の重しを天秤に、かける姿を見るよ    りも、ノウ悲しやと駈寄れば、中を隔つる獄卒共、てんでに叩く割    竹の、音にも聞かぬ拷問に、二人は次第に身にこたへ 伊賀守 ヤア返す/\も憎い奴、其小忰を打すへい 両 人 心得升た 弓太郎 痛いわいのう/\  〔ト お勇、お峯、見兼ねて お 勇 我子の苦痛を見んよりも 両 人 コリヤモウ寧そ  〔ト いひかけるを 三 平 アヽモシ、奥様、お峯様、和子の責苦に堪へ兼ねて、女子の浅い    お心から血迷ふたので厶り升るか、和子様さへあの苦痛をお堪らへ    遊ばし、知らぬものは知らぬとおつしやるでは厶り升せぬか、必ら    ず麁相を被成升るな 伊賀守 此上は是非に及ばぬ、其小忰の背中を断割り、鉛の熱湯、ソレ両    人 両 人 畏つて厶り升る

大塩噂聞書」
(摘要)


























厶(ござ)り














畚(もっこ)
















寧(いっそ)そ


『演劇脚本大汐噂聞書』目次/その46/その48

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