Я[大塩の乱 資料館]Я
2009.1.3

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大塩の乱関係論文集目次


「大塩噂聞書」

その3

重 扇助

『演劇脚本摘要録 第1』中西貞行 1895 所収


◇禁転載◇

本文は、適宜読点・改行を入れています。


三幕目

大阪城内の場

大岡紀伊守、上使として来り、将軍家には、国々の重器を集めて見分あらんとの思召にて、勝時丸の短刀を受取り帰れとの上意なりと達ぶ、城代堀伊賀守は、相役跡部山城守病気に附き、一存にて計らひ難しとて、暫時猶予を願ふを、大岡は許さず、内山彦次郎、跡部の内意を受けたりとて、出て、宝剣は座を改めて渡さんといふを、近藤梶五郎争ふ、内山之を諭し、上使を広間へ作はし、内山は、坂本之助に密意を授け、手紙を持たせ、小納戸菅野孫右衛門方へ遣はす事、
小頭城内は科人を召捕り来る、弓削新左衛門は、其科人を奥庭へ引かせ、城内の手柄を褒める、大塩平八郎出て、城内の悪事を見破る、城内は、終に悪事を白状し、弓削と共謀したるを告げる、大塩は、城内及び科人を獄屋へ引かせ、弓削に詰寄り、短刀を其腹に突込み、切腹の体にもてなす故、伊賀守は、弓削の家を其子新之助を以て相続さすを許るす、大塩は、伊賀守へ兼て願ひし欠所金5万両と難波の蔵米を以て窮民救助の義を催促するを、伊賀守は、大塩に逆意ありとて、取糺す内は閉門なりと言附ける事、
家中の娘大勢は、上使の気を慰めんと、花筒を持ち来る、大岡は大塩の娘お次を留め、大塩の言附けにて宝受取り、猶予の願ひに参つたであらうが、我心に順けば猶予致さうといふを、内山出て、猶予は願はず、短刀を渡さんとて、別間へ伴ふ事、
之助短刀を持来り、内山より大岡に渡し、大岡は帰る、伊賀守出て内山の計らひを感心なし、且大塩の心底訝かしと話す所へ、大岡引ツ返し来り、贋物を以て上使を偽りしとて怒る、内山も贋上使と見破り、大塩の若党三平を呼び、突合はす、大岡、実は吉五郎にて、三平は吉五郎を探索の為、馬士となり、居し鹿蔵なり、大岡終に空井戸より迯げるを瀬田済之助、跡を追ツ駈ける事、
遠見の心にて、吉五郎は子役にて、塀を越へ、迯げやうとするを、子役の三平追ひ来り、立廻りの事、
三好屋五郎兵衛は、手代を連れ、旅より帰り、城外を通る所に、吉五郎、三平、塀より上り、宝剣を奪合ひ、終に吉五郎、宝剣を取つて迯行くを、三平追ふて行く、此時三平守袋を落す、之を五郎兵衛拾ひ見て、幼い時に別れたる弟にて、あつたかと思入れの事、


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