Я[大塩の乱 資料館]Я
2009.1.4

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大塩の乱関係論文集目次


「大塩噂聞書」

その4

重 扇助

『演劇脚本摘要録 第1』中西貞行 1895 所収


◇禁転載◇

本文は、適宜読点・改行を入れています。


四幕目

天満天神前の場

近藤梶五郎と三平は、姿をやつし、吉五郎の捜索に奔走し、爰にて両人行逢ひ、大塩が窮民を助けんとして閉門になりしかども、大塩は初志を貫かんとして、鴻池、三井、岩城、米平へも金子調達の相談に及んだと語り、三平は、書き物を投捨て、大塩の屋敷へ同道し、行く事、
百姓忠兵衛、社内より出て、千日前に妙な祈祷をする人があると聞しが、此病気を治して貰ひたいといひながら、件の書き物を拾ふ、爰へお次、下女を連れ、社内より出て来るを、萩原弥四郎、清水善之丞附いて出て、小山屋へ連れ、お次に酌をさせんとするを、お次、色々断れども聞かず、無理に引ツ張るを忠兵衛止める、萩原等怒つて打擲する、矩之丞来かゝり、萩原等を投げる、萩原等是非なく去る、忠兵衛は、彼書き物を、矩之丞に読んで貰ふ、之は大塩の檄文なり、忠兵衛去りし跡にて、矩之丞は師匠大塩を諫めんと思ひ、お次は、矩之丞を恋しく思ふ事、

同大塩屋敷の場

五人組作兵衛、進物を持つて礼に来るを、三平は、大塩留守なりとて預り帰へす、古手屋喜助来り、お払ひ物があるとの事にて来たといふを、三平は、旦那が窮民を救ふ為、洗心洞の書物迄売ると語り、奥様にお目にかゝるがよいとて、連れ這入る、大塩は、忍びにて出歩るき、帰り来る、妻お勇、出迎へて、喜助の来り居るを告げると、是へ呼べとて、お勇を立たせ、鴻池共より返事の手紙を出して思案する所へ、喜助出る、大塩は、酒を出させ、両人にて呑む内、喜助は、下々には、大塩様のお救ひの出るは、今日か明日かと待兼ね居ると語る、大塩、之を聞き、件の手紙を引裂き、書物、諸道具をよきに計らひくれよと頼む、喜助は又、南辺に吉之助といふ者があつて、三宝に一尺四五寸位の錦で包みたる箱を載せ、之に祈念して病を治すと語り、其者の奢りに引替へ、此様な着物を売つて迄、其日を送る者があるとて、継々の着物を出すを、大塩、其着物を求め、其吉之助こそ吉五郎ならん、又箱の中は、勝時丸なるべしとて、喜助に其者を他出せぬ様、往て留め置けと命じやり、大塩は、倅格之助を按摩に出立たせ、又三平に手の者を連れさせ、自身には、件の継々の着物を着て、乞食に出立ち、宝の詮議に吉之助の所に行く事、

千日前法善寺の場

吉之助は、喜助に酒を呑まし、喜助は吉之助の描きし扇面を褒めなとして居る所へ、糸屋の娘お雪来る、お雪は吉之助に恋慕して居るなり、糸屋の手代、呼びに来り、お雪を連れ帰る、格之助、按摩に来るを、吉之助呼入れ、療治をさす内、喜助は祈祷をする守りハ、神か仏かと尋ねる内、平八郎乞食にて来り、食を乞ふ、吉五郎、喜助に余りの肴を乞食へやらせる、喜助帰りし跡にて、吉五郎は、格之助を盗賊方の廻し者ならんといふを、如何にもとて、大塩格之助なりと名乗り、立廻りの内、三宝の箱を取る、大塩入り来り、其箱を受取つて、平八郎なりと告げ、吉之助も素性を名乗る、是より捕物になる事、
平八郎は、宝剣手に入る上は、軍勢催促は心の儘なりと祝ふ事、吉五郎は、屋根の上にて、捕手大勢と立廻りの事、
捕手は、梯子、棒、屋根の瓦抔使ひ、吉五郎と立廻りの事、
吉五郎は、大勢を相手にして、太左衛門橋へ来り、追込むと、茶船より吉五郎を銃殺する事、


「大塩噂聞書」目次/その3/その5

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