難波湊秋花噂 十 大尾」(表紙) 難波湊秋花噂巻の十 目録 う じ ひこ よし たく もんとう 一宇治山彦九郎大篠桂八郎と吉の屋五郎兵衛が宅にて問答の事 ふ し じさつ 一大篠桂八郎父子自殺の事 み とうるい ざいくは 一桂八郎父子一味同類それ/\御罪科におこなはるゝ事」(目録オ) (空白)」(目録ウ) 難波湊秋花噂 巻の十 とりて う じ くみこ つ あふら さても捕人の役人宇治山氏は組子七八人をめし連れて油かけ町よし野 たく すくさま さい と けなん 屋か宅にいたるやいな直様五郎兵衛か妻りつをめし捕り下女下男にい のこ なは きんみ たるまで残らす縄をかけ吟味」(一オ) さい はくしやう し に及ぶといへども妻りつも白状せず下人どもは元より知らざる事なれ しやうふ をく ざ ばわかるやうなく是によつて宇治山大丈夫の人にて只壱人奥の間座し まこと ゐあわ しの ゐ きへふんごみて間事/\を見るに大篠居合さずいづれに忍んで居るや をく をくざ や ま らんとなを/\奥に入て見るに奥座しきのはなれ家の向ふに一間あり」(一ウ) せうじ やうす 障子立切て内に人ある様子なれば宇治山是を見てさては此内に大篠し ゐ にわ をんじやう のび居るならんと庭をへだてゝこなたの方より大音声にて申されける い は其間の内にしのび居るは大篠桂八郎同勝之助ならずやとありけれは しやうじ こへ 障子の内より声あつていわくいかにも大篠桂八郎勝之助もろとも」(二オ) なによう み 是にあり何用なるやと有ければ宇治山さてこそと身をかまへていわく たしか しんし もう とう しからば汝慥にきけ其方親子及はざる大望をくわだて先年より加徒を おゝ はつ ご 多くかたらひすでに事を発すべき期にのぞんで平井助右衛門かかえり ちう なんじ ぼうけいろ めいうんかき 忠によつて汝らが謀計露けんなす然らは天命運限りをあきらめ」(二ウ) せつふく らんしん いさぎよく切腹いたすこそ誠の武士なれ左はなくして乱人のごとく市 とか くる あくきやくひとうぼうじやく 中を乱妨におよひ科なき諸人を苦しむる事此上もなき悪逆非道法若 むじん ぢうあく しんめい 無仁のふるまひなりかほどの重悪をはたらきながら身命をまつとうせ ひけう てんめいつみ んと身をしのばんとするこそおろかとやいわん比興とやいわん天明科 の」(三オ) かれがたし汝ら親子此家にしのび居る事石川新吾見とゞけしにより身 しやう めい うつて 不肖なれども宇治山彦九郎命をかふむり今日討手に向ふたりもはやの てん いせん ふとう がれぬ天のあみなり汝らも已前は武道をみがき万人の中をぬきん出て じんぜう なわ 大篠ともよばれしものならずやいまだ其心みだれずは尋常に縄かゝ」(三ウ) はむか あいて ゑ へんとう かゝれまた勇あらば某し刃向ふべしわれ相手になつて得させん返答い (ママ) しやうし こへ かにとありけれは障子のうちより桂八郎声あららげ申けるはやあおろ あくきやくひとう み ら ぜんあく かなり宇治山悪逆非道とは其身等が事なりおのれ善悪ただす役人の身 おこな え こ さ た を以てまいなひ等に心をうはばれわたくしの行ひ依怙の沙汰に」(四オ) (ママ)
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