Я[大塩の乱 資料館]Я
2006.10.3

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「大塩の乱関係論文集」目次


『大 塩 平 八 郎 』 その124

幸田成友著(1873〜1954)

東亜堂書房 1910

◇禁転載◇


 第三章 乱魁
  三 反忠 (9)
 改 訂 版


勢揃   

平八郎は済之助から奉行所の様子を聞き、扨は裏切致した者あり と覚えたり、銘々用意せよと高声に呼はり、使を馳せて同志を呼 寄せ、或は般若寺の人夫を催促し、平八郎父子と済之助とは着込 野袴にて白木綿の鉢巻を占め、渡辺良左衛門・近藤梶五郎・庄司 義左衛門・格之助・若党曾我岩蔵・守口町孝右衛門・般若寺村忠 兵衛・源右衛門・伝七・門真三番村郡次等孰れも着込を着し、刀 を帯び、一同鑓・長刀・鉄砲の類を携へ、五七の桐の紋所下に二 ッ引の印ある一流、天照皇太神宮湯武両聖王并に東照大権現と 認めた二流、救民と大書したる四半一本を押立て、大筒四挺を車 台に載せ、溜池埋没に托して雇入れたる人夫を脅し、後陣にあつ て長持葛籠を担はしめ、殺気天を貫くといふ形勢であつた。

■勢揃ひ  平八郎は済之助から奉行所の様子を聞き、扨は裏切致した者あ りと覚ゆ、銘々用意せよと高声に呼はり、使を馳せて同志を呼寄 せ、一同取急ぎ身支度に及んだ。平八郎父子と済之助とは着込野 袴にて白木綿の鉢巻を占め、渡辺良左衛門・近藤梶五郎・庄司義 左衛門・格之助若党曾我岩蔵・守口町孝右衛門・般若寺村忠兵衛・ 源右衛門・伝七・門真三番村郡次等は孰れも着込を着し、刀を帯 び、一同鑓・長刀・鉄砲の類を携へ、五七の桐の紋所下に二ッ引 の印ある一流、天照皇太神宮湯武両聖王并びに東照大権現と認 めた二流、救民と大書したる四半一本を押立て、大筒四挺を車 台に載せ、溜池埋没に托して雇入れた人夫を脅し、後陣にあつて 長持葛籠を担はしめ、殺気天を貫くといふ形勢であつた。


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