勢揃
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平八郎は済之助から奉行所の様子を聞き、扨は裏切致した者あり
と覚えたり、銘々用意せよと高声に呼はり、使を馳せて同志を呼
寄せ、或は般若寺の人夫を催促し、平八郎父子と済之助とは着込
野袴にて白木綿の鉢巻を占め、渡辺良左衛門・近藤梶五郎・庄司
義左衛門・格之助・若党曾我岩蔵・守口町孝右衛門・般若寺村忠
兵衛・源右衛門・伝七・門真三番村郡次等孰れも着込を着し、刀
を帯び、一同鑓・長刀・鉄砲の類を携へ、五七の桐の紋所下に二
ッ引の印ある 一流、天照皇太神宮湯武両聖王并に東照大権現と
認めた 二流、救民と大書したる四半一本を押立て、大筒四挺を車
台に載せ、溜池埋没に托して雇入れたる人夫を脅し、後陣にあつ
て長持葛籠を担はしめ、殺気天を貫くといふ形勢であつた。
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■勢揃ひ
平八郎は済之助から奉行所の様子を聞き、扨は裏切致した者あ
りと覚ゆ、銘々用意せよと高声に呼はり、使を馳せて同志を呼寄
せ、一同取急ぎ身支度に及んだ。平八郎父子と済之助とは着込野
袴にて白木綿の鉢巻を占め、渡辺良左衛門・近藤梶五郎・庄司義
左衛門・格之助若党曾我岩蔵・守口町孝右衛門・般若寺村忠兵衛・
源右衛門・伝七・門真三番村郡次等は孰れも着込を着し、刀を帯
び、一同鑓・長刀・鉄砲の類を携へ、五七の桐の紋所下に二ッ引
の印ある 一流、天照皇太神宮湯武両聖王并びに東照大権現と認
めた 二流、救民と大書したる四半一本を押立て、大筒四挺を車
台に載せ、溜池埋没に托して雇入れた人夫を脅し、後陣にあつて
長持葛籠を担はしめ、殺気天を貫くといふ形勢であつた。
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