其六
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第六は頼山陽が紛失した菅茶山手沢の杖を数十日内に捜出し、
山陽の其術を問ふや階前は万里なり、阪府の所管僅に方数拾里、
其内在る所の物は繊芥の微と雖もわが眼底を逃れずと答へたと
いふこと、
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その八
第八は頼山陽の依頼により、彼が紛失した菅茶山手沢の杖を
数十日内に捜出して還したので、山陽は詩を作つて之を謝した
が、他日山陽が平八郎に会し、如何にして捜索せられたかと問
ふと、阪府の所管僅に方数拾里、その内在る所の物は繊芥の微
と雖もわが眼底を逃れずと、平八郎が答へたといふことで、こ
れは文政十年の話である。
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