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包紙
門人共へ御別啓拝読、秋冷之候弥御佳祥奉賀仕候、御主人様御領
に生候松菌沢山に被贈下辱奉存候、早速賞味仕候、猶拝唔に可深
謝候、
○郡山へ遺し候尺牘は御読被成候哉、大抵十分に説尽し候、学者
(候カ)
之疑は冰釈可致積に郡山之人も返事さし返、大に発明いたし候よ
し、此節迫々四方より難問到来仕候、しかしなから事極則変もの
に御座候、変候端も来候様に存候、其内貴顔可申尽と心得候、
マゝ
田宮所へも御御状は租了釈いたし候へとも少し解兼候処も御座候、
全御書誤には無之、僕の読方にも不行届候半、是等は面陳ならで
は埒明不申候、然ル処、憤之一字妙と存候、不憤不啓不排不発と
孔子も被仰候、憤は至極宜と存候、巨細ハ前之通貴顔に申残し候、
陽明名道 一冊
此書之義豊田兄へ申遣し候、取寄せ候ハゝ可入御覧と存候、
陽明文選
右唐本出候間為持さし上候、御覧可被成候、此節孝経租出来、遂々
贈進可仕候、芥川兄は黙識之御人に付質難甚稀に候、しかし御多
事と御察候、御序に御伝声可被下候、片君者晩学に付、心術を練
候工夫に精心被籠候趣申来候、珍重に候、緒余者拝面、勿々不備、
九月十二日 後 素
高 雅 君
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