城代定番加
番大番
蔵役人
四ケ所
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大阪城の守備としては城代・定番・加番、是等は小いながら大
名であつて、銘々若干の家来を有して居るのみならず、定番に
は配下の与力同心あり、大番と称して毎年江戸から来る旗本も
あるが、其職務とする所は皆大阪城の警衛であつて、三郷市民
と豪も関係は無い、城中の軽輩が無銭で芝居小見世物を見物し、
木戸番と悶着を引起したり、俗にもう六といふ仲間小者の類が
サシ
緡を町家に押売したりする位で、武士と町人の関係は無い、又
蔵屋敷には留守居を始として役人がそれ\゛/居るが、之は自
クラモノ
国の物産を蔵物として売捌き、又それを抵当として出入町人よ
り金を借出すのが職務で、要するに武士の町人である、用談と
称しては出入町人を招いたり、出入町人に招かれたりして、馴
染の茶屋で酒を飲み、其間に貸借の相談を為るのであるから、
一般市民とは何等の閲係も無い、されば下は掏摸白ゆもじの取
締より上は社寺・土木・触書発布に至るまで、各方面に渉つて
実権を掌握した与力同心の威権は驚くべきもので、従つて与力
同心の出役に件ふ四ケ所の者共も、虎の威を仮る狐の如く、黠
しげなる眼を以て非違を発いた、四ケ所といふは天満・天王寺・
トビタ
鳶田・千日前以上四ケ所に住する一種の部落で、略して四ケと
もいひ、伝説には関ケ原役に徳川方に打敗けた諸侯の家臣であ
チヤウリ コガシラ
るといふが正確とは思へぬ、頭分を長吏といひ、その下に小頭
ワカキモノ
若者等があつて、与力同心の手先を勤め、一方にはまた銘々受持
の町内があつて、其町内に冠婚喪祭等があれば、それに乗じて金
銭酒食を強請する非人乞食の類を追払ふ役をする、明治維新に為
つてから長吏を一時非人年寄と改称したのも之が為で、而して非
人追払の報酬としては毎年々末に四ケ所から町中に印刷物を廻し
て金銭を集める、その板木は四ケ所から一部分づゝ持寄つて漸く
一枚の完全なる板木となるので、節季候・鳥追・大黒舞といふ名
儀の下に、町中の家持から心附を得るのである、四ケ所を使役す
るは掏摸盗賊の類を検挙するには都合がよいが、翻つて考ふれば
是等のと悪漢と狎れ易い位置に居る者共であるし、又町家に対し
コハモテ
ては随分強持の方であつたらしい、
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大阪城の守備としては城代・定番・加番、是等は小さいながら大
名であつて、銘々若干の家来を有して居るのみならず、定番には
配下の与力同心あり、大番と称して毎年江戸から来る旗本もある
が、職務とする所は皆大阪城の警衛であつて、三郷市民と豪も関
係は無い。城中の軽輩が無銭で芝居小見世物を見物し、木戸番と
サシ
悶着を引起したり、俗にもう六といふ仲間小者の類が緡を町家に
押売したりする位であつた。また蔵屋敷には留守居を始として役
クラモノ
人がそれ\゛/居るが、之は自国の物産を蔵物として売捌き、又
それを抵当として出入町人より金を借出すのが職務で、要するに
武士の町人である。用談と称しては出入町人を招いたり、出入町
人に招かれたりして、馴染の茶屋で酒を飲み、その間に貸借の相
談を為るので、一般市民とは何等の閲係も無い。されば下は掏摸
白ゆもじの取締より上は社寺・土木・触書発布に至るまで、各方
面に亙つて実権を掌握した与力同心の威権は鷲くべきもので、従
シ ショ
つて与力同心の出役に件ふ四ケ所の者共も、虎の威を仮る狐の如
く、黠しげなる眼を以て非違を発いた。四ケ所といふは天満・天
トビタ
王寺・鳶田・千日前以上四ケ所に住する一種の部落で、略して四
ケともいひ、伝説には関ケ原役に徳川方に打敗けた諸侯の家臣で
チヤウリ コガシラ
あるといふが正確とは思へぬ。頭分を長吏といひ、その下に小頭
ワカキモノ
若者等があつて、与力同心の手先を勤め、一方にはまた銘々受持
の町内があつて、その町内に冠婚喪祭等があつた場合、金銭酒食
を強請する非人乞食の類を追払ふ役をする。明治維新に為つてか
ら長吏を一時非人年寄と改称したのも之が為で、さうして非人追
払の報酬としては毎年々末に四ケ所から町中に印刷物を廻して金
銭を集める。その板木は四ケ所から一部分づゝ持寄つて漸く一枚
セツキゾロ
の完全な板木となるので、節季候・鳥追・大黒舞といふ名儀の下
に、町中の家持から心附を貰ふのである。四ケ所を使役するは掏
摸竊盗の類を検挙するには都合がよいが、翻つて考ふれば彼等は
掏摸竊盗の類と狎れ易い位置に居り、また町家に対しては随分
コハモテ
強持の方であつたらしい。
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