奉納書籍聚
跋
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宮崎文庫は外宮附属の文庫で、今は山田市の有志数十名の私有と
なり、林崎文庫は内宮附属の文庫で、今は神宮文庫と改称し、平
八郎寄贈の書籍は両文庫に現存し、彼が自筆の跋文は覧る者をし
て漫に往時を追懐せしむる種子となつてをる、是等の跋文は夙に
洗心洞塾にて奉納書籍聚跋と題し、本文六丁序文一丁の冊子とし
て希望者に領布したのであるが、その伝本は極て少い、序文は中
斎の筆で癸巳秋九月とあれば伊勢へ行つた翌月で、朱子文集を伊
勢豊宮崎林崎両文庫に奉納するの跋、陸子象山全集を伊勢豊宮崎
文庫に奉納するの跋、伝習録を伊勢豊宮崎林崎両文庫に奉納する
の跋、古本大学を伊勢豊宮崎林崎両文庫に奉納するの跋、陽明王
子文抄を伊勢林崎文庫に奉納するの跋、都合五篇を取め、「我が
朱子を尊ぶの志は則ちその文集の跋に載せ、朱陸の同異を弁析す
るは則ち陸子文集の跋に載せ、良知を核覈するの本は則ち伝習録
の跋に載せ、古本大学を用ふるの由は則ち其跋に載せ、而して陽
明子文抄の跋は則ち只だ我志を述ぶるのみ」と中斎の序文に見え
て居る。
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宮崎文庫及び林崎文庫は今合して神宮文庫と改称し、中斎寄贈
の書籍は陸象山全集を除くの外皆現存してゐる。彼が毎部の巻末
に加へた跋文は夙に洗心洞塾にて奉納書籍聚跋と題し、本文六丁
序文一丁の冊子として希望者に領布したが、その伝本は極めて少
い。朱子文集を伊勢豊宮崎林崎両文庫に奉納するの跋、陸子象山
全集を伊勢豊宮崎文庫に奉納するの跋、伝習録を伊勢豊宮崎林崎
両文庫に奉納するの跋、古本大学を伊勢豊宮崎林崎両文庫に奉納
するの跋、陽明王子文抄を伊勢林崎文庫に奉納するの跋、都合五
篇を収め、「我が朱子を尊ぶの志は則ちその文集の跋に載せ、朱
陸の同異を弁析するは則ち陸子文集の跋に載せ、良知を核覈する
の本は則ち伝習録の跋に載せ、古本大学を用ふるの由は則ちその
跋に載せ、而して陽明子文抄の跋は則ち只だ我が志を述ぶるのみ」
と中斎の序文(癸巳秋九月)に見えて居る。
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