Я[大塩の乱 資料館]Я
2005.10.12

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「大塩の乱関係論文集」目次


『大 塩 平 八 郎 』 その60

幸田成友著(1873〜1954)

東亜堂書房 1910

◇禁転載◇


 第二章 学者
  二 著書 (5)
 改 訂 版

洗心洞箚記
附録抄








洗心洞箚記
附録







洗心洞学名
学則並答人
論学書略

洗心洞箚記附録抄一冊は主として箚記及附録の贈呈に対し、諸家 贈る所の詩文を収め、之に山陽の文一篇詩六首を加へたもので、 後者の小序に天保五年八月とあれば、是歳是月か、或は之を距る 遠からざる時の出版で、翌六年夏箚記本文と共に版木は書林の手 に引渡された、本書は平八郎の交友を知るに便宜なる史料である から、更に後文に於て再び紹介を試みやう、本書にある杉本祐憲 川北重熹等の尺牘を読むと、箚記本文二冊の外に箚記附録と題す る一冊物があつて、中斎が一斎に与へた尺牘附録(八)を載せてあ ることが解るが、頗る希本と見え、近頃伊勢の神宮文庫に於て漸 く其一本を蔵することを承知した、今日の附録抄には中斎の尺牘 はない、それから本書と反対に、平八郎が友人門弟に答へた尺牘 を集めたのが洗心洞学名学則並答人論学書略一冊で、学名学則は 本文僅かに一丁半で、附載の方が却て本書の大部分を為して居る、 之には序跋もなく、出版年月を推知するに由無いが、附録中答人 読陋撰箚記詰難の一篇がある所から推して、箚記刊行以後のもの たる丈は明である。

 洗心洞箚記附録抄一冊は箚記及び附録の贈呈に対し、諸家贈る 所の詩文中主なるものを収め、之に山陽の文一篇詩六首を加へた ものである。後者の小序に天保五年八月とあれば、早ければ同年 同月、さうで無いとしても之を距る遠からざる時の出版で、翌六 年夏箚記本文と共に版木は書林の手に引渡された。本文中文字を 彫刻せず、或は黒字或は白字を充てた箇処の多いのは編者の遠慮 によるものである。本書は中斎の交友を知るに便宜な史料である から、後文において再び紹介を試みよう。本書にある杉本祐憲川 北重熹等の尺牘を読むと、箚記本文二冊の外に箚記附録と題する 一冊物があつて、中斎が一斎に与へた尺牘を載せてあることは解 るが、頗る希本と見え、神宮文庫の蔵本以外にはまだ目に触れぬ。 よつて之を附録(三)に収めた。それから附録抄と反対に、友人門 弟に答へた尺牘を集めたのが洗心洞学名学則並答人論学書略一冊 で、学名学則は本文僅かに一丁半、附載の方が却つて本書の大部 分を為して居る。之には序跋もなく、出版年月を推知するに由無 いが、附録中答人読陋撰箚記詰難の一篇がある所から推して、箚 記刊行以後のものたるは明白である。


「大塩平八郎」目次2/ その59/その61

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