Я[大塩の乱 資料館]Я
2010.2.21

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「大塩の乱関係論文集」目次


『江戸と大阪』
その154

幸田成友著(1873〜1954)

冨山房 1942 増補版

◇禁転載◇


 第九 株仲間 (8)管理人註

株仲間の解 放

 幕府は天保十二年十二月十三日の町触で、菱垣廻船積問屋共は 従来年々金一万二百両づゝを上納し来たつたが問屋共に不正の趣 も聞えるから以来上納に及ばず、尤も以来右仲間株札は勿論、そ の外都べて問屋仲間并びに組合などゝ唱へてはならぬ。就いては 右船に積来つた諸品は勿論、都べて何国より出づる何品でも、素 人直売買勝手次第である。且又諸家国産類その外惣じて江戸表へ 相廻した品々も、問屋に限らず、銘々出入の者共にて引請け売捌 くことも勝手次第であると令した。  翌年三月二日には、旧冬の令を誤解し、問屋商売は勝手である 所から、矢張り問屋といふ名目を存し、従つて組合を解かず、同 商売の内で下直に売買し、または素人で荷物を引受ける者に故障 を入れるものある由、よつて自今組合仲間または問屋と唱へる儀 は一切廃止し、油商は油屋、炭商は炭屋とのみ唱へよ。売方も仲 買へ卸すばかりでなく、小売を専らにせよ。品払底の節は卸方は 見合はせても、小売は差支なきやうにせよ。また仲買の者共謀し て卸方より小売の方の直段を高直にしてはならぬ。旧冬の触書を 誤解し、十組(菱垣廻船積問屋)以外は構ひなしといふものある 由、十組以外でも株札・問屋・仲間・組合杯と唱へては決して相 成らぬ。是迄冥加として納めた無代納物・無賃人足・川浚・駈付 等は都べて差免すから、銘々正路に売買せよ。追々同商売の者が 出来ても決して故障を入れてはならぬ。品物を手前に買取つて追々 に売出すのは勝手次第であるが、然し他国へ前金等をやつて、買 留め、積送を見合はさせ、其処へ囲置くことは占売にあたる不正 の筋であるからそれは相成らぬ。湯屋髪結の類は諸色直段にかゝ はらぬ故に、組合仲間停止の儀は沙汰をしなかつた所、同商売の 内で賃銭を引下げたものに対し、組合から故障を入れることは不 埒である。よつて右両商売の分も株札は勿論、組合仲間と唱へる ことは停止すると令した。

 

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