Я[大塩の乱 資料館]Я
2009.9.19

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「大塩の乱関係論文集」目次


『江戸と大阪』
その90

幸田成友著(1873〜1954)

冨山房 1942 増補版

◇禁転載◇


 第五 金 融
  一 両替屋 (6)
管理人註

振出手形三 種

 総称して振出手形といふが、それを区別すると、(一)今の預 手形に相当するもの、(二)小切手に相当するもの、(三)差引 に用ふる手形の三種となる。(一)は両替屋から預金者に差出す 手形で、名宛人は勿論何人でも持参者に支払ふ。この手形は甲か ら乙、乙から丙と順々に流通し、若し不渡となると最後の所有者 の損失となる。(二)は両替屋と取引ある商人から両替屋に振出 す手形で、これを両替屋に持参した時、両替屋に振出人の預金が あれば異議なく渡す。預金が不足すると落印といつて不渡となる。 預金が不足でも予め両替屋の方で通尻何程迄は請合ふといふ約束 があれば支払つてくれる。この手形には流通を容易ならしめるた めに本両替の証印がある。これを甲・乙・丙と順々に融通して、 不渡となつた場合には、元へ戻つて甲と振出人との関係となる。 (三)は両替屋間の差引に用ふる手形で、振出人も宛名人も共に 手代であるから、主人の印を氏名の頭へかぶせる。以上三種の振 出手形の雛形は次の如きものである。

    (一)
    
           覚
    
      一銀    貫目也
    
     右之通慥ニ請取申候、此手形を以て相渡可申候、以上
    
      年 月  日            何 屋 誰
    
      何屋誰殿
    
    (二)
    
           覚
    
      一金    両也
    
     右之金子慥ニ請取候、此手形を以御渡可下候、以上
    
      (右誰殿え御渡可下候、以上)
    
      年 月  日           何 屋 誰
    
       本両替 何屋誰殿
    (三)
    
           覚
    
      一銀    貫目也
    
     右此誰殿え御渡可下候、以上
    
      年  月   日     何 屋 誰
    
       何屋誰殿
    

 


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