金座厄払 |
○金座後藤三右衛門一件に付、
慾払ひ アヽラ目出たひ共\/、 目出たひ事で笑ひましよ、 七慾神が恵方から、 先づ二分金の始より、 一歩小判や一朱金、 草字二歩金二朱金や、 当百銭に吹揃ひ、 〆て七吹寄合て、 積重ねたるかねの山、 夫がこふじて七人の、 妾狂ひの奢より、 金の茶釜や下屋敷、 馬に乗るやらなり上り、 大小さすが信濃者、 喰ひそばへし有様は、 後藤大事や金ほしや、 満ればかくる光次の、 うか\/暮す真中へ、 とんだ矢部から棒が出て、 コリヤヤイ外道めよつく聞け、 非道で溜た蔵の金、 是迄吹し其金の、 位を下る横道者、 御益々々と言ふらし、 めつたやたらに目くら蛇、 うはべは色と山吹の、 中はどふやら白銀の、 白ひ黒ひを下詮義、 するが(駿河)こつちの役廻りと、 詰掛られて今更に、 もとへかへすもかへされず、 たゞ南鐐とうろ付所を、 御勝手方がかいつかみ、 御救ひ小家とは思へども、 御金蔵へさらり\/、 御役はげみませふ慾落し、 三右衛門が慾鬼福神と入かわりても 金は吹がらの正月をする、
右は、金座後藤三右衛門奢によりて、不正の事あり、御勘定奉行矢部駿河守吟味あり、