| 坂騒落着 (１) |
○洛騒落着
大坂町奉行跡部山城守組同心
吉見九郎右衝門
其方儀、組風の旧弊、奉行の存寄を以、改革等可致は素よりの儀にある処、組内勤向未熟又は我意申募り、風儀に拘る者共は、組替申付可有之抔、風説承り歎敷存、且は向組の者共取計向をも疑惑いたす折柄、兼て学問并勤向をも教示受、随順罷在、同組与力大塩格之助養父大塩平八郎奸舌に被惑、弥心得違存込、其上平八郎儀、近来違作打続、諸民難渋および、一体御政事向に付、同人存意に不応儀間々有之、世を憂る心難堪間、大義を唱へ往々王道に帰す様致し度、附ては計策を以奉行を討取、大坂御城を始諸役所、并市中共焼払、豪家の貯金等窮民へ分遣し、一且摂州甲山へ可楯籠心底之旨、平八郎申聞、近国へ為告知る積之檄文読聞、右書中には無此上恐多文言も認有之を、不容易と乍心付、徹心いたし候事も有之迚、右企に一味連判致す始未、重々不届至極に付、引廻の上於大坂磔可申付処、対公儀恐入、賊徒発起以前、右謀計之次第、忰吉見英大郎等を以及密訴に付、御仕置御看免の上、取来る高の儘、御譜代被成下、小普請入被仰付之、